後継者

後継者である私が未来を予測する方法

後継者の方が、将来の経営に関してモヤモヤした不安を抱えることがある、というお話を昨日の後継者が「経営」を学ぶ必要性を感じる時、何が起こっているのか?という記事でお伝えしました。
そのモヤモヤした不安の一つに、「俺たちの会社を今後どうしていけばいいのだろう?」「業界の未来はどうなるのだろう?」というものがあるのかもしれません。
実は、私には私なりの未来予測を行うトレーニングをしてきたつもりです。
小さな分野に限定していますし、詳細な部分では外れている事のほうが多いかもしれません。
しかし、大枠においてはそこそこ悪くない正解率だと思います。
今回、その予測をどう立てるかをお話ししたいと思います。


私の著書です。

関心を持っていただいた方は、画像をクリック。

親の会社を継ぐ技術

親の会社を継ぐ技術

 

 

 

 

 

 

 

 


 

■小冊子『なぜ親子経営では確執がおこるのか?~そのメカニズムを知り、後継者が”今”を打開するための5つのステップ[要約版]』無料ダウンロードはコチラ

いきなり偉そうなことを書いてしまいましたが、未来予測というより未来の仮説といったほうが正しいかもしれません。
つねに、未来のイメージを自分の中に明確に持っていて、それを信じて動いています。
予測の明確さほど、行動は明確ではないのですが・・・(^^;

その仮説を立てる際の情報源とその利用の仕方について、早速ご紹介しましょう。

1.情報収集・分析が上手い人が発信する情報を収集する

おいおい、いきなり人頼みかよ!とお叱りをいただきそうですね。
はい、人頼みです。
私は、自分が各種の白書を読み漁り、データ化し、分析するなんて言う事は苦手なことを知ってます。
苦手なだけでなく、膨大な情報をピックアップして、統合して見解を作るなんて、中小企業のオヤジの仕事じゃないと思ってます。
さらにいうなら、自分の仕事に繋がる情報があればいいわけです。
とはいえ、後述しますが、自分たちの業界のニュースだけに触れているのはかなり危ない状態だと思っています。

だから、全般的な情報を、頭がよく、たくさんの情報網を持ち、出来れば海外の文献を読める人に頼ってます。

といっても、ジャーナリストの情報は、社会性が高い反面ビジネスに直結しにくい事が多いので、未来志向で活躍するコンサルタントや、経営者をフォローするのをお勧めします。
具体的には、小宮慶一さんや、大前研一さん、堀江貴文さんなど、誰でもいいのですが、ご自身が共鳴できる方を選ぶといいと思います。
一人をメインディッシュとして、あとはサブとして複数名フォローできると理想的ですね。

なぜ一人に特定しないかというと、こういった方々は往々にして自らのビジネスを意識した発言が混じっている事があります。
そんなバイアスがかかることも意識して、一人の人の考え方に依存し過ぎないように気を付けています。

どの様に情報を取るかというと、たとえば、NEWS PICKといったサービスでのピック内容や、twitter、インタビュー記事やメルマガ、書籍・セミナーといったところになります。
facebookなどのSNSが彼らの脳内を知る手段になることもありますね。

私の場合、メインは神田昌典さんで、幸いにして氏の場合、毎月「ダントツ企業実践オーディオセミナー」というものがあります。
神田氏がホストを務め、毎月気鋭の経営者との対談音声が届けられて月々3,500円なのでかなり重宝しています。

2.書店で平積みの本をざっとチェックする

毎週と言っていいほど、大型書店に行くのですが、その時に平積みされている本のタイトルをチェックします。
大抵、平積みされている本は売れている本ですから、そのタイトルに含まれるキーワード、内容は多くの人が求めているものである可能性が高いと思われます。
目次や前書きをさっと見て、自分も関心がありそうなものであれば当然買って読みます。

小説やマンガでももちろんOKです。
なぜなら、世相を反映したストーリーが世の中に選ばれるものだからです。
これは私の考察ではありませんが、「ワンピース」がバカ売れした背景には、仲間という絆を求めているとかそれが希薄な社会だからだ、という人がいます。
また、「進撃の巨人」のヒットに関しては、得体のしれない不安といった社会背景を反映しているという人もいました。

重要なのは、「なぜ売れているのか?」と考えるクセをつけるという事です。
昨年の記録的ヒット、「君の名は」は果たして、なぜあれだけ多くの人が求めたのでしょうか?
少し時間を取って考えてみると何か見えるものがあるかもしれませんね。

3.今までなかったサービスや商品は気にかけてみる

たとえば、いつしかタイムズのパーキングには当たり前のように置かれている、シェアリングカー。
「こんな時代になったんだなぁ」と感慨深げに見てたのですが、それと同時進行でAirbnb(民泊)、Uber(タクシー配車サービス)なんていうのが話題になり始めました。
こう取り上げると、共通点は明白ですよね。
「シェア(共用)」です。

まず、新しいサービスや商品をみかけると、並べ挙げて共通点がないか探してみます。

そして、なぜこういった共有サービスが台頭してきたかを考えてみます。
安いから、というのもあるかもしれませんが、もう少し深堀してみるとだんだんと「所有」する事に魅力を感じない社会になったのかな?という考察ができます。
もう一つ思いつくのは、貸したい人とかりたい人を結びつける方法が、かつてはなかったけど、今はあるからかも、という考え方もできます。
もし、後者が大きな要因だとすると、貸す人と借りる人を結びつけるのは現在のキーテクノロジーかもしれませんね。
じゃあ、そのテクノロジーがどう発展していくのかを、素人なりに予想してみます。

実は「シェア」というキーワードでは、もっと前からプリントパックなんていうサービスがあった事を思い出します。
あれは、ある印刷業の方から聞いた話では、「印刷機のシェア」で安さを実現したという事でした。
私たちの目に見えるところに来る随分前から、BtoBのビジネスモデルではそういった動きがあるのが一般的かもしれません。

さらに、これらの事を「遠い業界で起こっている事」ととらえるのではなく、この骨組みを自分の業界に当てはめたらどうなるだろう?という検討をしてみます。
たとえば、私がこれまでかかわってきた保険業界ではどうなるか考えたときに、こんなことを思いつきました。
お金持ちと保険を必要としている人が、スマホでつながれば
「事故があったら2000万円までなら金持ちの私がお金を出そう。ただし、毎月〇万円ちょうだいね。」
という個人間での取引が可能になります。
お金持ち側から見れば「投資」、保険を必要とする人からすればお金持ちのお金をシェアできることになります。

お金持ち一人が保障するのは、信用できないとなれば、お金を持ち寄った共同体を作ればいいわけです。
これ、かつての共済みたいなものなわけです。
今の法律では現実的ではないものの、大きな力が押し寄せてきた場合法律の改正もないとは言い切れません。
冒頭で、「自分たちの業界のニュース」だけを見ていてはいけない、といったのはこういう事です。
業界に破壊的イノベーション(従来の技術を根本から覆す改革)をもたらすのは大抵よそ者です。

4.キーテクノロジーになりそうなものは一応かじっておく

今だとやっぱりAI(人工知能)ですね。
いくつかのAI関連の書籍を読んでみると、その可能性の広がりには驚かされます。
というより、既にもう私たちの社会の中にかなり溶け込んでますね。

こういったテクノロジーが、世の中にどんな変化を起こし、自分たちの仕事にどう影響を与えるかはあるていどイメージしておいたほうがいいと思います。
一見、自分たちに関係のないようなものに見えても、可能な範囲でニュースや書籍はフォローするよう努力します。

5.直感を大事に

上記のようなことに注意を向けるようにしていると、ふっと思いつく直感のようなものがあったりします。
意外とその直感を大事にしています。
たとえば、私は当時保険の仕事をがっつりやってたわけですが、2011年くらいにふっと思い浮かんだのは、
「この業界、このままだとヤバいかも」
という思い付きです。
業界では、3.11がおこり保険の重要性はますます高まる、と言われていた時にです。

時間のある時に根拠をいろいろ探してみて、その直感は間違っていないような気がしており、大枠はその予想通りに動いているように思っています。

6.顧客の望みと業界常識のギャップを意識する

どんな業界であれ、顧客の望みと業界意識のギャップというものはあるものです。
高いか安いか、商品の不便と技術の限界、法的な規制と顧客の望み、そのギャップは本当に多岐にわたると思います。
ただ、あなたの業界の商品やサービスに、顧客が何かしらの不満を持っているとすれば、必ずその不満を解消する業者が現れます。
その不満が慢性的であればあるほど、前述したとおり改革はよそ者が行います。

「これが、限界なんですよ。」「法律で禁止されてるんですよ。」「そうはいいますけどね・・・」という言葉を顧客に対して伝えなければいけないシーンがあるとすれば、それは他業界からみればビジネスチャンス。
いつまでもそのままでビジネスができるとは考えないほうが無難です。

7.一本のストーリーにする

1~6までの内容を、頭の中でシャッフルします。
というか、普通は、こういった情報や自分なりの考察をする中で、一本の道筋みたいなのが見える時があります。
たとえば、1であの高名な方が言ってたことと、3が繋がってるなーとか、
2で得た情報って、実は6にある顧客の不満と繋がる話じゃないか?とか、
3のサービスっていうのは、4があるからできたのか、とか。

そんなつながりを一つ見つけたら、少し時間を取ってその考えを派生させてみてください。
そうすると、事実という点と点が繋がり、その延長線上にどんなものがあるかが想像しやすくなります。
その時に、原理原則というのがあると思います。
もっとも私が重視しているのは、顧客がいつまでも不満な状態でビジネスが成り立つわけがない、という事です。
古い業界は、顧客の不満を既得権益を守るために踏みつぶそうという力がかかることが多いようです。
それが何十年単位で維持された(業者側が強かった)事も多いのですが、そういった業界が次々と崩れている現実を皆さんは目の当たりにしていますよね?
インターネットがこれだけ普及すると、「ウソをつくのは簡単」な時代である反面、「ウソをつき続けるのは難しい」時代になっていると思います。
徐々にそういった流れが大きくなっているように思うので、古い業界ほど当面は大きな動きがある可能性が高いと思います。

ということで、必ず主語を「顧客が」「消費者が」「生活者が」という形で考えていくと、おおきく間違う事はないと思います。

まとめ

えらそうに長々と書いてしまいましたが、私も常にこれを実践してるわけではありません。
また、机に向って、メモを取りながら未来予測をしてるわけでもありません。
日頃、何に注目する癖をつけているか、という事ですからコツはたった二つ。

●気にかけてみる情報を広げる(とりあえずは広く浅くでOK)

●その情報が自分にとってどんな意味があるかを考える

目に入り、気にとまった情報は、大抵あなたにとって重要なものであるはずです。
それを「関係ない」と捨ててしまうのでなく、自分に関係があるとすればどういう事だろうか?と「考えてみる」という事を意識するだけでOKです。

 

そうすると、「仮説」ができます。
あとは、日々に触れる情報の中で、仮説が正しかったか、間違っていたかを検証し、なぜ間違えたかをちょっと考えてみればいいだけです。
だんだんと注目すべき情報の精度が上がり、仮説の精度もあがってきます。
あ、子細な部分まで当てようとしないでくださいね。
大枠が見えれば、会社の経営方針は考えやすくなりますからその程度で十分です。
占い師じゃないんですから(^^;

ギリギリにならないと動けない一夜漬け習慣な私にとっては、5年先の未来がイメージできないと危機感がなくて動けない。
自分のおしりに火をつけるために、編み出した(?)方法です。

 

最後に副作用を付け加えておきますと、そういうものの見方をすると今の仲間から変人扱いされたり、彼らとの会話がつまらなくなる可能性があります。
そこをご了承のうえで、関心がある方は試してみてください。

 

 

そうそう、前に記した方々とは比べ物にならないほど小物ですが、私の事フォローしてくださっても結構ですよ。
サブとしてでも光栄です。
あくまで自己責任でお願いします(^^;


私の著書です。

関心を持っていただいた方は、画像をクリック。

親の会社を継ぐ技術

親の会社を継ぐ技術

 

 

 

 

 

 

 

 


■小冊子『なぜ親子経営では確執がおこるのか?~そのメカニズムを知り、後継者が”今”を打開するための5つのステップ[要約版]』無料ダウンロードはコチラ

関連記事

  1. 跡継ぎ・二代目社長の事業承継がうまくいかないとき、順番を変えてみよう

  2. 会社の中で小さなトラブルが起き始めたとき、後継者がとるべき対応

  3. 考えを言語化できない後継者がまず試してみるべきこと

  4. 親の会社を継がなくったっていいじゃないか 但し、これだけは気を付けて

  5. 高い世界を目指しすぎて足がすくんでしまった後継者の話

  6. 親の要求でもNOを言う

  7. ”内向型”後継者が疲弊しないための戦略

  8. 同族企業の後継者に足りないもの

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。