後継者

事業承継の問題は心の問題

事業承継に関わらず、組織の問題はその根っこの部分に、人の心が関与しています。
考えてもみてください。
やらなきゃならない事は、多くの人がわかっています。
しかし、それができないのが人間ではないですか?
組織の育成も、事業承継における先代と後継者のバトンタッチも、人の心を無視してできる話は一つもありません。





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会社に一つのルールを導入したとします。
そのルールは、まったく定着せずにいつしかフェイドアウト。
よくあるパターンですね。
これ、そのルールや仕組みが問題だったのか?といえば、必ずしもそうではありません。
確かに、ルールや仕組みにも問題はあるでしょう。
しかし、根っこをたどったとき、そのルールを根付かせようという気持ちがメンバー一人一人にあればそのルールは定着します。
少しずつ改善を重ねながら。

 

組織が思うように動かないとき、そこには必ず人による抵抗があります。
その抵抗を、多くの場合は力で押さえつけようとする。
結果、組織にひずみはでき、いびつな状態になってしまうわけです。

多くの組織論は、「人」にフォーカスすることなく、ルールや仕組みが人を動かすという勘違いから組織をずたずたにしてしまいます。

 

親と子、先代と後継者という関係が特別なわけではなく、つねに2人以上の人が集う場では「人」とはいかなるものかを考えずして、スッキリ動く仕組みはできません。
極端な言い方をすれば、組織を作るという事は、人と向き合うという事です。

 

では、先代である親と、後継者である子がなぜ上手く行かないのでしょう。
そこには、それぞれの心の中に、抵抗があるからです。

 

このブログでは何度かお話ししていますが、前に進もうという気持ちと、前に進むまいという気持ちが心の中で綱引きをしているのです。

では、先代にはどんな心境が交錯しているのでしょうか。
先代の立場としては、口ではこういいます。
「早く経営をバトンタッチして、楽になりたい。」
それは、意識の上では本心かもしれませんが、裏には別の考えがあります。
経営をバトンタッチすることで、自分が失うものへの恐怖を無意識のうちに感じ取っているのです。

 

たとえば、

  • 今の収入を失う
  • 今の社会的地位を失う
  • 今の仕事を失う
  • 今の環境を失う

など、自分が築き上げてきたものを捨て去る覚悟が必要となります。

 

大変な仕事から距離を置きたい、という言葉は嘘ではないと思いますが、それ以上に失うものが大きい事を無意識レベルで察知しているのです。

それが言葉になるときには、

  • 後継者は頼りない
  • 会社のためにはまだまだ自分が働かなければならない

といった形に誤訳されてしまうから、問題はややこしくなります。

 

後継者の多くは、こういった「裏の目標」を考えずに、先代の頭の中身をデータ化したがります。
先代は、協力したいという思いはあるものの、それは自分が会社に残る必要性を低める行為です。
やりたいはずがありませんよね。

 

後継者においても同様です。
口では、早く代を譲ってほしい、というものの、

  • 一定以上の責任は負いたくない
  • 先代の仕事を自分がそのまま受け継ぎたくない
  • 人生を今の仕事に捧げるなんて・・・

といった思いが心の奥底に去来している可能性は高い。

 

こういった無意識の拒絶は、無意識な行動に現れます。
本心では会社や今の立場を譲りたくない先代は、権限を後継者に譲ろうとしません。
後継者もまた、それを奪い取ろうというところには躊躇しています。
オヤジが元気なうちは、矢面に立ってくれる方が楽だからです。

 

心の構造を知っていれば、改善の方法も見えます。
しかし、ほとんどの場合、この構造に気付かないのです。
これを表に出す方法として、ハーバード大学のロバート・キーガン博士は「免疫マップ」というものを開発しました。
詳しく知りたい方は、「なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流 自己変革の理論と実践」をご参照ください。
これはある程度のファシリテーション能力が必要になる方法だとは思いますが、参考になるものだと思います。

 

さて、この記事で何が言いたいかというと、相続対策や自社株対策をやったところで、親子関係は改善しない、という事です。
ましてや、会社の借り入れに対する個人保証をしても、後継者の発言権は高まることがありません。
もちろん、税金や”争”族、経営権の法的ディフェンスは重要なことですから、早く手を付けるに越したことはありません。

しかし、その問題と、心の問題は全く別物なのです。
ですから、税理士にも、弁護士にも、保険屋さんにも解決はおろかその認識さえない方がほとんどだと思います。
なぜなら、彼らは後継者ではないからです。

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