「理念経営」の違和感 ~仕事嫌いだから思い至った結論

むかし、ある経営者の集まりで、「理念経営」なる会話を耳にしました。
当時の私にとって、「理念では飯は食えない」。
そんな思いが強かったのです。
ハッキリ言って、そんなことより今の売上をあげたい。
それがすべてでした。

しかし、あるきっかけがあり、理念を見直すべき必要がある。
そう感じ始めたのです。





こんにちは。
中小企業二代目サポーター田村薫です。

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「理念」より「今の売上」?

ある経営者団体での違和感

まだ私が、父の会社の専務だったころ、ある経営者団体に参加していました。
これは勉強のため、というより営業のためです。
そこで知り合った人たちに営業して来い、と(苦笑)
これもまた、私が行きたいといったわけではなく、父が強制したものだったのですが。

それでもまじめに通っていると、その経営者団体、結構皆さんマジメに勉強されています。
そこで常に言われていたのが、「理念経営」と言われるもの。
理念、理念、理念・・・
まだ若い私にとっては、
「怪しい宗教団体か!?」
なんていう風に感じたこともありました。

正直、当時は経営理念が会社の業績につながるなんて、信じられなかったのです。

それよりもむしろ、今の売上を上げること。
それが私にとっての最大の関心ごとでした。
なにしろ、売上こそが自分の評価であるからです。

当時の私の目指すところ

若かりし頃の私が目指していたのは、人から称賛されることです。
取引先から認められ、同業者から認められ、父から認められる。
なにもかもが足りない自分にとって、重要なのは実績です。

だから、今すぐ効果の出る話以外に関心はない。
今の売上をお手軽にあげる方法。
そんなノウハウ以外、私の心を動かすものはありません。

今から考えると、まさに若気の至りですが、いたしかたありません。
何の実績もない自分は、存在価値の薄い存在。
だから早く実績をつくろう、と焦っていたのです。

何も動かない経営者たち

もうひとつ、その団体で違和感を感じたことがあります。
みな、口では理念、理念と唱えるのですが、話を伺う限り、何もやっていないのです。
具体的な行動が見えない中で、「理念経営」なんていう言葉だけ聞かされても、納得感はありません。
しかも、成功した人は、その会合には出席しなくなる。
幽霊会員になってしまうのです。

かなり失礼な言い方になりますが、この会合に集まる人たちは、成功できなかった人が残っているのだ。
きっと傷をなめあっているんだ。
そんな風に思って、その会を退会しました。

おぼろげに感じていた「必要性」

永遠にこの仕事をするつもりはない

さて、私が継ごうとしている父の会社は保険の販売会社です。
父の言葉を借りれば、「経営=営業」です。
そんな教育を受けていましたから、売ること以外にやることはない。

一方、私は、営業という仕事が大嫌いでした。
何が楽しくて、人に自分の価値観を押し付けなければならないのか。
もともと、私は他人に価値観を押し付けられるのも、その逆も好きではない。
なのに、その気もないお客様に、何とか振り向いてもらうべく営業活動をするなど、もはや拷問でしかありえません。

当時から、考えていたこと。
一日も早く現場を離れたい。
そのためには、一旦は周囲に認められる業績を残さねばならない。
そんなことばかりを考えていました。

「今」と同時に「未来」を考える

しかし、業績を残したのちに現場から離れるなら、「未来」をイメージした動きが同時進行で必要になってきます。
早くこの仕事から離れたい、と思いつつも仕事に対するこだわりはありました。
そのこだわりをほかの社員が理解しないことにいらつきも感じていたのです。
そんな時、頭の中に浮かんだのは、会社のDNAを固定しなければならない、ということです。

キチンとしたDNAができれば、そこから組織を増殖させても上手くいくはずだ。
そんな風に思っていました。
しかし、具体的なやり方がわからない。

もともと私は人と関わるのが好きなほうではありません。
自分では満足のいく業績を残しているわけでもありません。
自分がえらそうに、会社の中で「これからこうあるべき」などと発言することは、まだまだできない。
そんな風に思っていました。

まずは、自分が実績を残すことから始めなくてはならない。
そんな風に、考え始めると、やっぱり今の業績を何とかしなくては。
グルグルめぐる思いは、結局そこに行きつくのです。

社員は部品・・・?

そんな追い詰められた状況の中で、当時の私はこう考えていました。
社員は、交換可能な部品である。
私のやりたいことを実現するために、お金で雇う部品。
だから、余計なコミュニケーションは不要、ただ命令と従属があるのみ。
そんな風に考えていました。

彼らとのコミュニケーションの時間をとるくらいなら、お客さまのところに行く時間の方が大事だったのです。
だから社員との会話は必要最低限。
命令と報告だけです。

世の中では、確かに社員とのコミュニケーションを重視することが善である、といった考え方があるのは知っています。
しかしそれは、キレイごとであって、本質ではない。
みな、外向きにはいいことを言うが、実態はそうではないはずだ。
「理念、理念」と念仏のように唱えていた人たちと同様、社員は大事だ、なんていういい人ぶった人たちの自己アピールでしかない。
そんな風に考えていたのです。

しかし、結果は悲惨です。
社員が一気にやめていったのですから。

モチベーションの源泉

人は「お金」で動くのか?

社員が一斉にやめて、会社はほぼ機能不全状態。
同業者から、「アイツのところは終わった」なんていわれていたようです。
この時に、仕事と格闘しながら考えました。
人はなんのために働くのだろう、と。

当時は、お金がすべてだと思っていました。
高い報酬を出せば、それなりにやる気になる。
歩合給をつけてやれば、前向きに働く。
それこそが、社員を動かす唯一の方法だと考えていたのです。

しかし、それでは説明のつかないことが社会では起こっています。
勝ち組ともいえる会社に就職しつつも、それをなげうってボランティアに従事する若者が話題になったこともありました。
どうやら人は、お金で動くものとは限らないらしい。

その当時、色々なことを検証していきました。
社員一人一人にアンケートを取ってみたり、さまざまな文献をあさってみたり。
するとある事実が明確になりました。
それは、人は、人の役に立とうとしたときに、モチベーションが上がる、という事です。

その場限りの対処は面倒

その時に、もう一つ考えていたことは、まさにその場限りの対策などやりたくない、という事です。
キャンペーンを打つとかいう対応は、その場は盛り上がるかもしれないけど、すぐにしぼんでいく。
打ち上げ花火のように、パッと開いてパッと消えていくような対処は、面倒くさい。
いちいちそんなことにかまっていたくはないのです。

そこで考えたのが、会社の進む方向が人の役に立つというところへ向かう形をつくれないか?という事です。
そういう意味では、父が作った会社は保険の販売店です。
保険の普及は、社会をよくするものであることは間違いないはず。
だから・・・

しかし、それもどうやら見当違いのようでした。

社会での事業の役割の変化こそが事業承継の価値

今、事業承継が行われることの意味

家業においては、保険の普及こそが社会貢献。
はじめはそう思い込もうとしました。
しかし、どうしても忘れられないシーンが思い出されます。

自分だって、保険の普及は社会貢献だと言われながら、飛び込み営業をやった時期があります。
しかし、現実とのギャップはあまりに大きい。
水をかけられたり、塩をまかれたり。
時には口汚く罵られたり、バットを振り回しながら追いかけられたこともありました。
それほどまでに、保険の営業担当は世の中から、かなりの確率で拒絶されているのです。

その理由を必死で考えたのです。
その結果出てきたのが、こういう結論です。
保険は保険業界から見れば、すべての人に行き渡ったとは言えない。
しかし、お客さまの感覚としては、「もうたくさん」という状態なのだ、という事なのではないか?と。

父から引き継いだ会社は、商品の普及に貢献したが、私の代では別の社会における役割を明確にする必要があったのでしょう。
新しい価値を社会に提案しなければならない、という事に気づいたのです。
そのタイミングで、この父の会社で私の代に変わったことは、きっと意味のある事なのでしょう。

私は、この商品の持つ社内的な意味づけを変革することに決めました。

会社の新たな意味づけ

ここでいろんなことが結びついてきました。

  • 社員のモチベーションアップには、会社として社会を良い方向に変えていく理念が必要
  • その理念を考える際に、過去の会社が社会で担っていた役割から変化している可能性が高い
  • この再調整を行うことが後継者の役割の一つである

というのが大雑把なあらすじです。

このブログでも、「多くの事業は賞味期限切れになっている」という事を書いてきていますが、それは商品やサービスの在り方ではないかもしれません。
そもそも、社会の中でどのような役割を担うか、という部分の変化である事も多いのかもしれません。
もしそうだとすると、根本的な事業の変化を行わなくとも、その事業がもっていた役割の認識を変えるだけでも効果が出る可能性はありそうです。

商品やサービスの普及が社会のためであった過去と決別し、新たな価値を創造する。
そんな発想の転換が必要なのかもしれません。

その時に重要なのは、
私たちから見て自分たちの商品やサービスがどうあるべきか?ではなく、
お客さまから見てどうあるべきか?という視点です。

職人であり、こだわりのあるプロであるほど、顧客の視点から遠ざかる傾向があります。
自分たちの善ではなく、顧客にとっての善を考えてみてください。

きっと何かしらのヒントが見えてくるのではないでしょうか。

今日意識して明日答えの出る問題ではない

ここまでの過程、文章にしてしまえばたった数千字です。
しかし、実際には、それなりの結論に至るまでに、20年ほどかかっています。
その過程では、回り道もしていますし、間違いもありました。
それでも、自身に対して問い続ける事で、必ず自分なりの答えを見つけることができると思います。

問題意識さえあれば、必ず自分のゴールを見つけられるはずです。
今は苦しくとも、未来の自分を信じて進んでいってください。

最後に、ある方から授かった言葉をお送りします。
「世界はあなたにやさしい」

悔いのない人生を。

 

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