後継者

跡継ぎというのは職業というより生き様

親が会社をやっていて、その跡継ぎとして会社に入る。
これって、もはや職業というより生き様ですよね。
単なる職業なら、今のご時世けっこう辞めやすい。
しかし、親の跡継ぎとなるとそうはいきません。

入社した途端、その会社の未来がドサッと双肩に乗っかってくるのですから。

行くも地獄、戻るも地獄。
そんな状態に気づいたときには、身動きが取れなかった、なんてこともあるかもしれません。

 

本が出版されました!
関心を持っていただいた方は、画像をクリック。

——————————————

■後継者向けセミナー開催日程はこちら

 

 

■小冊子『なぜ親子経営では確執がおこるのか?~そのメカニズムを知り、後継者が”今”を打開するための5つのステップ[要約版]』無料ダウンロードはコチラ
■YouTubeチャンネルで動画配信も行っています!こちらをご覧ください。
■時々読書会をやっています。開催情報はこちらをクリック

 

「職業」という言葉を調べると、

生計を立てるために日常従事する仕事。

となります。

では、私達跡継ぎは、親の会社に「生計を立てるため」に入社したのでしょうか?
私も今まで考えたこともなかったのですが、入社するときに「初任給の確認」はしましたか?
たぶん私だけではないと思いますが、そういった諸条件を確認することなく入社しているんじゃないでしょうか。

そんな私でも、例えば原稿の仕事が入るとかすると、まずいくら頂けるかを確認します。
そのうえで、労働内容と合致するかを考えて、受けるか受けないかを考えます。

なのに、一生を決める跡継ぎとしての親の会社への入社は、お金の話なんてゼロ。
いえ、当時、営業社員は欲しかったから結構な報酬を出していたのに、私の報酬はあえて低く抑えられてました。
親族だから、差別しないよう、逆差別をしたわけです。

PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像

 

 

 

 

 

 

もうこの時点で、普通の「職業」とは根本的に違うんだと思います。

もはやお金の問題という損得勘定でもないのかもしれませんし、
一方で「悪いようにはしない」という含みに対する期待とかもあるのかもしれません。
私がいい加減だっただけかもしれませんが、業界研究とかも全くしませんでした。
「とりあえず、まじめにさえやっていれば、くいっぱぐれることはない」
という、当時社長であった父の言葉は今でも強く印象に残っています。

それは結局幻想だったのですが・・・苦笑
あまりに時代が変わりすぎました。

 

少なくとも若いころの私にとっては、親の会社を継ぐというのは先に言う「職業」、
つまり生計を立てる手段を超えたものだったように思います。

生計を立てるだけなら、文句を言いながらも言われたことを、提供される環境でやればいい。
しかし、そうではないのが跡継ぎで、文句を言えばそれはすべて未来の自分に返ってくることがわかっています。
会社との関係性が、期間限定の一般の社員とは決定的に違うわけですね。

すると、自分が働いているあいだだけ安泰であればいい、というわけでもないし、
そもそも自分が働いているあいだにおいても、できるだけ安定した運営をしたいし、
それについて責任を持てるのは自分しかいない、と悟るわけです。

 

さらに、そうやって会社のことが自分事となるとき、親との確執がおこったりしてぐちゃぐちゃになります。
そうすると、当初は生き様としての跡継ぎが、途端に職業にかわってしまいます。
辞めたい、って話です。
ああ、報酬だってもっともらってておかしくないし。
そんな俗っぽい話になっていきます。

aymane jdidiによるPixabayからの画像

 

 

 

 

 

 

はじめは、生き様として選んだ道なのに、なぜそんなことになるのでしょうか。
それは親の会社を継ぐという生き様は、「親の役に立ちたい」という思いに始まっている、と私は考えています。
そして、跡継ぎがその思いが潰えるのが、役に立とうと頑張っても親が認めてくれないときです。
自分は親のために頑張っているのに、親は自分のことを全く認めない。
認めないばかりか、自分を邪魔ものにさえ感じているように見えます。

それもそのはず、その時親は、跡継ぎに自分の地位を「奪われる」恐怖を感じているのですから。

この話は両者とも、無意識の深い部分における反応です。
こうやって文字にされてもピンとこない方は多いかもしれません。
しかし、よーく自分と対話してみると、これが間違いでないことがわかるはずです。

 

これが、跡継ぎが頑張れば頑張るほど、社内で親子の確執が深まっていく理由です。
逆に言うと、「職業」と割り切った跡継ぎなら、こういうことが起こりにくいのです。
なぜなら、跡継ぎにとって仕事はあくまで生活の手段に過ぎないからです。

逆に、会社を継ぐことが生き様だとすれば、会社での仕事は職業ではありません。
自分が生きていく中で何かしらを成し遂げたいとしたら、その手段として会社がある、と考えるのが自然ではないでしょうか。
たとえば、親の役に立ちたい、という自分から始まった事業承継があるとします。
それははじめのころは、親からのフィードバックや感謝を求めての行動だったかもしれません。
これでは親離れができていないと言われてもしょうがないですね。

じゃあ、そこから離れて、親がどう思うじゃなくて、自分はどんな人生を歩みたいかを考えてみます。
シャカリキに人のために働くというのもいいし、
何かを発明して世の中を変えるというのもいい。
逆に、ただコツコツとはたらき、自分の周りにいる人の幸せだけを考えるのもいい。
私に関して言えば、常に自信がもてなかった自分を少しでも成長させることが、永年のテーマだったような気がします。
それを満たすためにどう親の会社とかかわるか?と考え始めたとき、ぼんやりと今までと違うビジョンが見えてきたような気がします。

いきなりそこへの跳躍は難しいかもしれませんが、自分は何をしたいのかな?というのをあきらかにする意識は大事だと思います。

とはいっても、すぐには見つからないかもしれません。
それを見つけるコツは、たぶん、いろんなことを実際にやってみる、という事だと思います。
やらなきゃわからないことがいっぱいあります。
ならば、やってみればいいじゃない、って話です。
見てることとやってみる事は相当違うな、というのをいまさらながら実感しています。

いきなり大きなことを着手するのは大変かもしれませんが、とりあえずお昼のランチでいつも食べたかったけど自制してたものに手を出してみる。
もしかしたら、「なぜいままで、こんなにおいしいものを食べなかったんだろう?」と感動するかもしれませんよ?(さすがにオーバーか笑)

本が出版されました!
関心を持っていただいた方は、画像をクリック。

——————————————

■後継者向けセミナー開催日程はこちら

 

 

■小冊子『なぜ親子経営では確執がおこるのか?~そのメカニズムを知り、後継者が”今”を打開するための5つのステップ[要約版]』無料ダウンロードはコチラ
■YouTubeチャンネルで動画配信も行っています!こちらをご覧ください。
■時々読書会をやっています。開催情報はこちらをクリック

関連記事

  1. 後継者・跡継ぎは自分の「快」を見つけるため「素早く世に問おう!」

  2. 後継者が先代の行動を理解できないときは「動機」を見よう

  3. 「できない」の情報収集と「できる」の情報収集

  4. 後継者の近況報告会

  5. 後継者にとって「儲けたい」は「自信を得たい」

  6. 二代目社長・後継者は「富の独占」から「富の共有」へ

  7. 外注化と内製の考え方~同族経営の二代目経営者が持ちたい自立の感覚

  8. 後継者が親の会社を継ぐのはそれが目的なのか手段なのか