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「社長」と承認欲求の関係 ~後継者がチームを作るには承認欲求のコントロールが鍵

社長という生き物、特に中小企業の社長は、「承認欲求」というものとうまく付き合う必要があります。
それは社長や後継者に限った話ではありませんが、社長や後継者は特にその承認欲求が強い傾向がありますし、社会的な力がある分それを得るためにいろんなものを動かせてしまいます。
運転できない人が自動車を運転すればそれは走る凶器になります。
私たち、後継者や社長にとっての承認欲求もまた、社会の凶器になることだってあります。
そんな自覚が私たちには必要なのではないでしょうか。

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「承認欲求」をもつことが経営者や後継者に及ぼすメリットとデメリット

承認欲求という人間の原動力

「承認欲求」というと、イマドキはあまりよくない文脈で語られることが多いと思います。しかしそれは、例えば人が起業するにあたっての原動力となったり、会社を大きくしたりするエンジンになったりするのは想像に難くありません。
例えば、創業社長は多くの場合、子供の頃親に認められなかったとか、愛情を十分感じられなかったという過去を持つことが多く、「頑張って成果を出すこと」で認めてもらいたいという思いを強く持っていたりします。だから人一倍努力もするし、多少の困難にもへこたれないのです。
子どもにとって親は、世界そのもの。
その世界とつながるためですから、相当な困難でも乗り越えられるほど強いエンジンになるのです。

後継者はそんな親の元に生まれたことから、やはり親との関係に子供の頃からどこかした偏りを持っていることが多いようです。
特に、厳しい親が多いため、なかなか褒められたり、受け入れられることが少ないので、なんとか「いい子」になろうと頑張ります。
その結果、今、親の会社の後継者として親の会社に勤めている、なんていう状況になっているのではないかと思います。

つまり、創業社長・先代社長も、後継者も、承認されたい、という思いで一生懸命頑張っているのです。
これは承認欲求が生み出す正の効果と言えるでしょう。

承認欲求が起こす問題点

そんな承認欲求も、社会の中で様々な摩擦を起こすことになります。簡単に言うと「俺が、俺が」という事で自分がスポットライトを浴びていないと不安になるのが私たちです。
結果として、誰か他人を心底認め、支援するという事が苦手なのです。
後継者の視点で見ると、先代である親が承認欲求が強いため、親が後継者の承認欲求を満たすことができないんですね。
親が足りていない承認を、子どもとはいえ、誰かに与えることができないのです。
結果として、後継者も承認に飢えていますから、色々問題を起こしがちです。

まずは、社員との関係性です。
なぜか後継者は社員とのトラブルを起こして、クーデターを受けたり、大量退職が出たりします。

こういった事態を受けてやりがちなのが、給与体系の見直しだったり、社内規定の見直しだったり、仕組み化だったりしがちです。
それも必要なのかもしれませんが、多くの場合逆効果になりがちです。
「人」を変えるよりもむしろ、「リーダー自身」が変わる必要性が求められることが多いように思います。
それが、自身の承認欲求との付き合い方なのではないでしょうか。

自分が「承認を求めている」ことに気付く

承認欲求との付き合い方を変えるはじめの一歩

もし、仕事上や、社会や家庭での関わりの中で、色んな不都合を感じており、自身の承認欲求との付き合い方を変えたほうがいいのかもしれないと思ったとしたら、はじめにやることは何でしょうか。
シンプルに、自分の行動のベースに承認欲求があるんだ、という事を自覚することです。
不思議なことで、自分の承認欲求の存在を受け入れ、自覚することで度々自分の中に頭を出す承認欲求が見えるようになってきます。
本来なら社員を褒めるべきシーンなのに、自分がいかにおぜん立てをしたかを伝えようとしている自分に気付くかもしれません。
あるいは、家庭内でも配偶者に「いつも上から目線」なんて言われた時、自分の存在アピールをしていることに気付くかもしれません。
子どもが褒めてほしいと思ってすり寄っていることに、どこか嫌悪感を感じる自分に気付くかもしれません。

なんにせよ、承認されるのが足りない、もっと承認されたいという私の思いの存在をまずは受け止めてください。
「自分は承認欲求の塊だなぁ」とわかるだけでOKです。
そうすることで、自分が足りない承認を人に求めるばかりで、人を承認していないことに気付くことでしょう。
そういう事に気付くことができた時点で、心の離れた社員とも少しずつ絆を結び直すことができる距離感になっていくかもしれません。

親子の確執は承認欲求の戦い!?

そういう状態から眺めてみると、親子経営にありがちな親子の確執は、実はその裏にお互いが「承認しろよ」とばかりに認められることを突きつけあっている状態と気づくのではないでしょうか。
実は、戦略や経営方針の違いというのはあくまでいさかいを起こす手段。
むしろ目的は、相手を落とすことという事に気付くのではないでしょうか。
先代を会社から追い出すとか、後継者を首にするとか、そういう事が本質的な目的になってしまっているのです。
なぜかというと、承認を得られないからです。
とても恐ろしい構図が、親子経営の人間関係のなかでは起こりがちなのです。
そしてさらに恐ろしいのは、当人たちはそういった構図を認識していないという事。知らず知らずのうちに相手を排除しようとしているのです。

自分に強い承認欲求があり、そのせいで人を押しのけようという行動に気付いたら、次にすべきはそんな自分を受け入れることです。
自分は承認欲求で動いていて、そのせいで目立ちたがる。
だから素直に目立てばいいし、素直に、認めてほしいと言えばいい。
そうやって、自分の承認欲求を認めることで、他者にも寛容になることができます。
うまくできないのは、自分を抑えようとしているから、他者も抑えようとするのです。
だから承認欲求をコッソリ満たそうとするのではなく、明るい場所に出してきてやればいいのだと思います。
そんな事を意識してみると、新しい展開が見えてくるのではないでしょうか。

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