後継者

親の会社に入社してはじめの5年に後継者がやっておきたい事①ビジネス習得編

親の会社を継ぐために、親の会社に入社した後継者がやっておくべき事って何でしょうか。
このブログでは、後継者のための様々な情報発信を行っておりますが、一度基本に立ち返った内容を考えてみたいと思います。過去の内容とかぶる部分もあるかとは思いますが、ご参考になれば幸いです。

まず、親の会社を継ごうと入社した後継者にとってやはり大事なことは、現場を知る事だと思います。しかしその前に、親の会社の状況を見る前にできるならば学んでおきたいことがあります。今日はそんなことをお話ししたいと思います。

 

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現場を知ることの大切さと、現場を知る前に学んでおきたい事

親の会社に入る前

学生を卒業してすぐに親の会社に入る、というパターンも一定数あると思います。しかし、比較的多いのは同業他社、あるいは同業界の違う立場にある企業(たとえば、親の会社が販売会社であるならばメーカー)、もしくは全く親の会社と関係のない企業で社会経験を積むのが一般的ではないかと思います。私は個人的にはこの過程はけっこう大切だと思っています。一般的に言われているのは、「他人の飯を食う」段階が必要であるとか、「社会常識を学ぶ」とかいったことだと思います。もちろんそれも一つの目的ではあるかとは思いますが、私の考えでは「ビジネスを学ぶ」ということがその目的の一つではないかと思っています。

親の会社しか知らなければ、親の会社のビジネスしか知らないことになります。となると、何かを変えていこうにも比較対象するものがない。これはあまりにも発想が貧困になりますので、せめて比較対象となる1社でも、中から見ておくというのはとても大事なことだと思います。比較対象する企業を知ることで、親の会社の立ち位置というか、経営の立ち位置がなんとなくでも見えてきます。すると、危機感をいだくべきなのか、逆にけっこう先進性や独自性があるのか、といったことを判断できることになります。

だから、できることならば、親の会社を知る前に、別の会社を知っておくというのはとても大事なことだと思っています。

はじめの5年は実務を覚えることが最大のミッション

親の会社に入社した時に、古くからいる社員さんはどんな反応を取るでしょうか。年齢にもよりますが、20歳代であれば古参社員は余裕を見せていろいろと親切にする、あるいはあえて厳しく接してくれるかもしれません。あんがい普通の先輩であることが多いように思います。もしあなたが30歳代も半ばを過ぎてからであれば、「お手並み拝見」といった感じで遠巻きに見ているかもしれませんし、マウントを取ってくる可能性もあるでしょう。いずれのケースも、ちょっとよそよそしい人間関係にちょっと辟易することもあるかもしれません。この時期には、自分の考えを伝えることは大事ですが、それなりに足並みをそろえることも必要です。

はじめの5年間は会社の中では素直に、会社の今のやり方をしっかり覚え、体得することに集中しましょう。時に横柄な社員がいるかもしれませんが、彼らはあなたが仕事を一人前にこなせるようになればなるほど、焦ってマウントを取ってくる可能性もあります。ですから自分の成長を彼らの反応から読み取るように意識するといいかもしれません。実務で1番になる必要はありませんが、一般的には他の社員よりも早く仕事は上達します。なぜならば、彼らは安定した給料を得るために仕事をしている人が大半ですが、後継者候補であるあなたの最終目標は社長になる事です。県大会を目指す人と、オリンピックを目指す人ではおのずと実力の差が開くのと同じように、会社でも目指すところの違いで仕事の上達度は圧倒的に変わります。

出来る限り勉強の時間を持とう

実務をこなせるようになれば業界の垣根を越えた学びを

はじめの5年は実務に専念を、という話をしましたが3年もすれば一般的な実務は一通りできるようにはなってくるでしょう。その完成度を追求すれば霧はないと思いますが、そこそこできるようになれば徐々に気持ち的な余裕が出てくると思います。そのタイミングで、できればやっておきたいのは経営に関する知識の幅を広げていただきたいということ。実は多くの後継者の方は、「親の会社のビジネス」を学ぶことに集中しすぎて、だんだんと頭が固くなることが多いように思います。私と同世代の後継者(2021年時点で50歳代)の多くは実は親の会社のビジネスしか知らない人も多く、そのビジネスが時代から取り残されつつあることに気付かない人がけっこう多いように思います。先代は多くの場合、専門オタク的にその業界の仕事をどんどん深堀する傾向があるように思います。後継者的にそれをつきつめるのは一つのみちですが、少なくとももう少し視野を広くとったほうが、今のような大きな時代の転換点には柔軟性を発揮しやすくなると思います。

具体的には、なにかしら、業界以外の知識に触れる機会を作ってください。経営と言っても、会計や財務から、法務、労務、マーケティングや戦略策定など様々なジャンルがありますが、ひとまずはいろんなものをかじってみて、その中で特に関心のひかれるものを深堀するのがいいと思います。

方法は、最も手軽なのがビジネス書です。あとは、最近ではかなり格安のセミナーがオンラインで受講できることも多くなりましたし、経営者やコンサルタントによるオンラインサロンや、ビジネス雑誌でもOKだと思います。一過性で「ビジネス書を読みました!終了」とか、「セミナーに初めて参加しました!終了」みたいな感じで終わるのではなく、毎月、毎週、毎日、何かの形で継続的に学ぶ習慣を作る事をお勧めします。業界情報は多くの場合黙ってても入る仕組みを先代が作っておられると思います。後継者としてはそこから外れる情報収集のパターンを作ってください。

可能であれば経営者の交流会への参加を

これはもう少し先でもいいと思いますが、入社5年程度でそろそろ意識したいのが、リアルな経営者との交流の機会を作る事です。これはもう少し後でもいいと思いますが、様々な経営者の団体のようなものがあります。地元の商工会議所や中小企業家同友会、青年会議所、ライオンズクラブ、ロータリークラブ、倫理法人会、BNIなど・・・。いろんな目的があり、会によって会員経営者のイメージも相当違いますが、そのあたりはさすがに公には書けませんので、周囲の人に聞きながら検討してみてください。

ただし、注意すべきこともあります。実はこういった会は、人によってはとても居心地がいい場合もあります。特に、寄付などを目的とした会は経済的にゆとりのある会社の経営者も多く、それは結果として遊び重視の会になりがちなこともあります。どの会もそうですが、まじめに会合に通っていると1年くらいの間に必ずと言っていいほど役員へのお誘いがあり、役員の階級が上がれば上がるほど必須の会合が増えてきます。こういった役割を果たすことは大事ですが、一方で、会社に留守がちになって会社を潰す後継者はけっこうな頻度でいらっしゃいます。はまりすぎには注意してください。
特に、社内のコミュニケーションがしっかりできていないうちは、あくまで会社の中に常に自分の心をおいて出かけるような心構えは気をつけておかないと、「後継者は遊んでばかり」という状況は避けられません。

ただ、世の経営者の考えや姿勢を知ることができる大事な場ですので、節度を持って参加することはとても大事なことだと思います。

 

今回の内容の一部を動画で解説しております。
よろしければご覧ください。

 

次回は、②人心掌握編についてお話をしたいと思います。

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