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後継者・二代目社長は功を焦るとうまくいきにくい

後継者・二代目社長にとって、モチベーションの大きな源泉はなんでしょうか。案外、「バカ息子とは言われたくない」みたいなちょっとした恐怖心というか不安がその根底にあることはけっこう多いと思います。
そうすると多くの後継者・二代目社長がまじめで、勉強熱心であることの原因が見えるような気がします。バカと反対、つまり「賢い人」になろうとしがちです。それはすなわち、世間で言われる「経営者像」を割とストイックに目指すという方向に行くわけです。

ところが、私自身の経験でいくと、そういった自分の理想に早く到達したいと思えば思うほど、うまくいかないことが増えてきます。強引に自分の方法論を会社に持ち込もうとすると、親から、そして従業員からの反発を受けたりします。結果、親子の確執がおこり、社内は分断され、私たち後継者・二代目社長は孤立する。皮肉なことに、一生懸命であればあるほどそういったことが起こりやすくなるのです。では私たちはどうすればいいのでしょうか。

 

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結果としての実績か、実績を作るための頑張りか

「無理」は祟るもの

いろんな経験をしていくとわかる事があります。それはたとえ、会社の運営とか経営という自然とはかけ離れた物であっても、自然の法則が適用されるということです。自然は常に移りゆくものですが、会社経営だって常に変化を経験します。永遠とか、安定とかいう状態は無縁と考えておいたほうがいいと思います。つねに、外の世界とバランスを取りながら存在しているのだと思います。するとどこかで無理を強いると、どこかで問題が出てきます。

たとえば、組織の中で今期の売上が足りないとなると、手っ取り早く営業に発破をかける場合があります。すると一時的に売上は上がるかもしれませんが、お客様との関係が悪化するとか、無理な営業が行われて後日トラブルになるとか、今年は特に何の問題もなかったとしても、来年、再来年に影響が出てくるとか、しわ寄せは必ず出てくるものです。もちろんそれも含めて変化ではありますので、問題が起こってから対処するのも一つの方法かもしれませんが、そういったときにはたいてい悪者が必要になります。「ったく、だから言わんこっちゃない」なんて言う風に社内で愚痴が出始め、その愚痴の矛先が必要になってきます。それが多くの場合、後継者だったりします。

後継者は早く認められたい、実績を出したいと思うがあまり、社内で孤立してしまうということがけっこう起こりがちです。

実績を作ろうとするとモラルが下がる

年度目標売上〇億円!なんて掲げてそこに向かって走っていく。これはよくある会社の風景ですが、度が過ぎると社内のモラルは低下します。一時の証券会社は、朝、営業社員の実績が足りなければ数字が出るまで事務所に帰ってくるな、なんていう事があったようです。すると何をするかというと、お客様にきちんと説明せずに、「貯金みたいなもの」なんて言って元本割れのリスクのある商品を販売していたことが普通にあったようです。私がある資産家の方から伺ったのは、「今すぐ定期預金をやってくれなければここからどきません」と居座った銀行員もいたようです。めちゃくちゃなんですが、実績を作るための営業はこんな風に行われてきたのです。それが原因で、金融業界では顧客の迷惑になる営業をしてはならない、という決まりができたのは笑い話のようでいて、まじめな話です。

まあ程度の差こそあれ、会社の方針、あるいは後継者・二代目社長の方針が、「実績を作る」ことに傾倒するとそういった問題があちこちで起こり始めます。自動車メーカーのリコール隠しや、食品加工会社や小売店などでの産地の偽装や賞味期限切れ商品問題などは、実績ありきのマネジメントの結果でしょう。昭和の時代は、明治からの流れの富国強兵理論がベースとなっているのか、強くなるためにはいろんなことを犠牲にしてもいい、という文化がまだまだはびこっていたように思います。しかし、時代は令和。いまの時代にそれをやれば命取りになる事さえあります。

例えばよく耳にするのは、二代目社長と従業員の労使関係のトラブルはけっこう耳にします。やってきたことは先代と同じだったとしても、従業員にしてみれば後継者・二代目社長がやると冷たく感じるようです。そしてそれが大きくなれば、例えば未払い残業代訴訟になったり、パワハラ問題になったりします。そうなればもはや勝ち目はないことがほとんど。会社的には、致命傷と言えるかもしれません。

後継者・二代目社長としては「バカ社長」「ぼんくらな二代目」と言われたくないあまり、実績にこだわりたいことですが、グッとガマンが必要な時もあるのではないでしょうか。

後継者・二代目社長の仕事が称賛されることはない!?

トヨタの御曹司・豊田章男氏の言葉

書籍『豊田章男』の中で紹介されていたのですが、トヨタ自動車のCEO豊田章男氏は販売店の集まりでこんなことを語っています。

「人一倍努力しないと社長にはなれない。しかも、その努力は、誰も認めてくれません」

「努力の末に販売店の社長を継いだとしても、息子の場合、当然とみなされ、上げた成果も親の七光りといわれる」

「自分が生きているあいだに名声を得たいと考える人はたくさんいます。皆さんには、自分が死んだ後、先代のおかげで今があると言われる人を目指してほしい」

逆に私たちは、生きているあいだに名声を得たいと考えて、とにかく業績を作ろうとしてしまいます。
もちろん、章男氏は絶対に生きているあいだに名声を得られないと考えているわけではないと思います。そういったことに期待し、そこを目指そうとするとうまくいきにくい、ということをご自分の経験から感じ取っているのではないか、と私は考えています。

ここで確認しておきたいのは、少なくとも「称賛を受けるために何かをやる」という自分を見つけたときには、「ちょっと待てよ」と再考することが大事なのではないかと思うのです。

やってきたことの成果としての実績

称賛を得ることが目的で繰り出す施策は、うまくいかないか、長続きしないことが多いと思います。またそういった独善的な考えは従業員からはすぐに見破られてしまいます。ここで大事なのは、数字という実績を作る事というより、数字が上がってくるための行動を積み上げることではないかと思うのです。実績を作るというのはたとえて言うと、同じエンジンのまま、クルマを速く走らせようという行為だと思います。仕掛けも、ハードも変えないで、ただ回転数を上げて早く結果を出そうとする。するとエンジンは負荷が高くなりすぎるんじゃないかと思います。けど、エンジンを載せ変えるとか、モーターを追加するとか、いろんな組み換えをするともっとパフォーマンスアップはできるかもしれないのですが、簡単なことではないわけです。アクセルの踏み込みを深くするだけのほうが俄然楽に見えますね。けど、結果としては、ちゃんと速く走れる車に組み替えたほうが長い目で見るとよい形になると思います。数年しか会社を預からないことの多い大企業のサラリーマン社長なら、アクセル強く踏んでオーバーヒートまで会社を回せば、会社の業績を上げて退任することができるかもしれません。しかし、今後10年、20年という単位で会社を預かる私たちは、オーバーヒートを起こすわけにはいきません。だから、会社の中身を組み替えていく必要があるのです。

チームをまとめ、チームで考える

じゃあ何から手をつければいいのかというと、それぞれが自分で考えてください、という話なんですがもし何をやっていいかわからないということであれば、社内をチームとしてまとめていく、ということから取り組むことをお勧めします。なぜかというと、後継者・二代目社長というのはとかく何でもかんでも自分で抱え込みがちです。先代から言われたことも、従業員からの要望も、社外の取引先のことも、何から何まで自分で抱え込んで苦しんでいるケースはけっこうあります。しかし、社長だからと言って何でもかんでも自分でやるなら、組織を持つ意味などありません。組織を機能させるという意味では、自分が抱えていることを、組織で共有し、みんなで解決策を考えていけばいいのです。それができる土壌を作っておけば、会社の変革を始めやすくなります。アクセルを踏むだけでいいのか、モーターをつけたほうがいいのか円陣を載せ変えたほうがいいのか、そういった検討事項もチームでやればより多面的に解決策が見えてくるのではないでしょうか。

後継者・二代目社長は、功を焦る前に社員をまとめましょう。
忍耐力の必要な話ではありますが、それもまた後継者・二代目社長の成長につながる事ではないかと私は考えています。

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