後継者が気をもむ親の事業の将来性

近年、親の事業を継ぎたくない、という後継者がますます増えているようです。
家業を継がない、という明確な意思を持っているとすれば、それは尊重すべきことでしょう。しかし、その判断材料は恐らく限定的であったのではないかと思います。
何を持って継がないと決めたのか、少し見てみたいと思います。

 

こんにちは。
中小企業二代目サポーター田村薫です。

 

少し古いデータですが、こんな調査結果があります。
家業を継がない理由に関するアンケートです。

親の事業に将来性・魅力がないから 45.8%

自分には経営していく能力・資質がないから 36.0%

今の仕事・企業等がすきだから 16.9%

今の収入を維持できないから 13.9%

雇用者のほうが収入が安定しているから 12.8%

家族が反対するから 8.0%

その他 15.0%

株式会社ニッセイ基礎研究所 「働く人の就業実態・就業意識に関する調査」2004年
※複数回答につき合計は100を超える

中小企業白書より

2004年の調査ですから、もう十余年も前の事ですが、感覚的には今もさほど大きく変化はないような気がします。

 

これを見る限り、親の事業の将来性に疑問符をつける回答が圧倒的です。
次いで、自分の能力の問題を挙げています。

複数回答のアンケートですから、この両方にチェックを付けた人は結構多いのではないかと推察します。
しかし、これ、結構矛盾しているように感じるのは私だけでしょうか。
たとえば、一見将来性のある大企業もまた、今や次々と合併を繰り返し、その都度余った人員の処遇に頭を悩ませているように感じます。
ある会社は、一応対等合併という公表をしましたが、今や元の会社が小さかった会社の社員は本社からは一人もいなくなったなんていう話もありますし、そもそも多くが退職したという話も漏れ聞きます。
つまり、会社に将来性があろうがなかろうが、会社間の力関係や、部門の統廃合、システム化でいとも簡単に一社員の将来性は閉ざされるのが普通になりつつあるようです。

経営の資質がない、というのもおかしな話で、経営を知らない人間がそれを口にするというのもどうなんでしょう。
恐らく、親の苦労する背中を見て、自分にはとても・・・なんて思っているのかもしれません。

個人としての能力を磨かなければ、家業であれ他社への就職であれ、結局将来の不安は消えることはないのだと思います。

 

また、この議論には、完全に抜け落ちている視点があります。
それは、「自分はどうありたいのか?」という事です。
見ているのは、自分が置かれている環境の事ばかりを気にかけています。

どんなに恵まれた環境を手にしたところで、自分の行動が伴わなければそこは居心地の悪い場所になります。

実は、経営者と呼ばれる人も、大多数の人は環境に左右されています。
私は、仕事を通じて、様々な業種・規模の会社の経営者やビジネスマンとお目にかかる機会があります。
彼らの言葉に注目していると、2つのタイプに分類できます。
「景気が・・・」「世の中が・・・」「会社の方針が・・・」「メーカーが・・・」
と自分が直接コントロールできない事を主語にして話をされるタイプ。

もう一つが、自分を主語にするタイプです。

 

往々にして、前者のタイプの経営者の会社の業績は厳しく、いつも合言葉のように「どの業種が儲かってる?」なんてことをおっしゃいます。
前者タイプのビジネスマンに至っては、ザ・サラリーマンとでもいうのでしょうか。
自分の本心は内に隠し、会社の方針であることをかさに自分に対して嘘をつき、出世のために周囲を犠牲にします。
それで幸せか?といえば、いつも苦々しい顔をして、苦しんでいるようです。

 

後者のタイプは、少なくともすっきりした表情をしています。
時に厳しいシーンもあるのでしょうが、少なくとも、自分に嘘をつくことなく生きていることは見ていてわかります。
なによりも、仕事をすることが楽しそうなのです。

 

後継者として、会社に入ってからも同様です。
「オヤジが・・・」「番頭が・・・」
と環境ばかりを主語にしていると、いつまでもつらい状況が続くことが多いようです。

その主語を、「自分は」という言葉に切り替え、コントロールできない環境については、道端の石ころや、電柱同様である、と割り切ったときに自分の立場が恵まれていることに気付くようです。

 

「環境」に左右されるフェーズから、「自分のあり方」を表現するフェーズに早く移行したいものですね。

 

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