後継者

「痒み」への対処と二代目社長・後継者のメンタル

唐突ですが、ちょっと思い出してみてください。
背中がかゆい、としましょう。
どうしても手の届かないところがかゆいのです。

きっとイライラして、気になってしょうがない。

たいていは、気にしなければ忘れてしまうものだったとしてもです。

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背中がかゆい、けど手が届かない。その時あなたは?

対処できないことほど気になる?

今朝、会社に来ると、背中がかゆい。
私は体が固いので、なかなか届かない。
たぶん、普段なら、さほど気にも留めないのですが、かけない痒みほど気になるものはありません。
だから意地でもかこうとするわけです。
定規を探してみたり、何か某がないかと探してみたり、場合によっては柱の角にこすりつけようとするかもしれません。

けど、冷静に考えれば、それほど気になる我慢できないかゆさではないのです。
数分我慢すれば、もう忘れているくらいのものです。
それでも一度かゆくなると気になって仕方がない。
そんなこと、ありませんか?

気にしなけば気にならないのに、一度気になるとどうしようもなく気になるのです。

二代目社長・後継者が抱えがちな問題

二代目社長・後継者である私たちは、いろんな問題や悩みを抱えています。
その一つ一つは、時に重大なものもありますが、そうでないものもあります。
言ってみれば、背中の痒みのように、しばらく放置すれば忘れてしまうレベルの問題だって結構多いと思います。
かゆいから重大なことに見えて、実はどうでもいいことというか、少し時間がたてば「なんであんなことを気にしていたんだろう?」というレベルの悩みも少なからずあるんじゃないでしょうか。
私たち二代目社長・後継者は、大変な問題も、そうでない問題も、十把一からげにして「二代目社長・後継者としての問題・悩み」として同じラベルをつけているのかもしれません。
むしろ、本当の痛みには目を向けることを避けて、さほど大きいとは言えない痒い問題ばかりを注目しているという事さえあるのではないでしょうか。

緊急度と重要度のマトリクス

問題整理の分類法

問題を整理する中で、割と有名なのがこのマトリクスでしょう。
見方は、上に行くほど重要度が高く、下に行くほど重要度が低い。
そして、右に行くほど緊急度が高く、左に行くほど緊急度が低くなります。

二代目社長・後継者は、自分の問題を細分化して、書きこんでみると整理の足掛かりになるかもしれません。

重要度:高い
緊急度:低い 

 

重要度:高い
緊急度:高い
重要度:低い
緊急度:低い 

 

重要度:低い
緊急度:高い

たとえば、背中がかゆいのは、本来的には重要度もさほど高くなく、緊急度も高くないというか、程度にもよりますが放置しておいたほうが収まりやすいと考えられます。
実は左下というよりも、枠の外と考えてもいい問題なのですが、その時に意識に強く表面化しているからついつい重要度が高いというか、そのことで頭がいっぱいになってしまいがちです。

人間というのは、決して合理的な生き物ではありません。
それは行動経済学という分野の学者が数々の研究で証明していますが、気になるものは排除したくなるというもののようです。
それが重要でも緊急でもなかったとしても、です。

そして私たち二代目経営者・後継者は、結構いろんなことに対処しているように見えて、実は肝心なところにはその手が及んでいないという事も結構あるのではないでしょうか。

手数が多いけど、その多くが無駄うち。
けっこう疲労感だけ漂うパターンですが、思いのほか、そんな行動をしているケースは多いように思います。

本当に重要ですか?

そこでこういったマトリクスを使うかどうかはご本人次第ではありますが、今自分が気になっていることは本当に重要なのか?という事を問いかける必要があるかもしれません。
たとえば、「親を会社から排除する」なんて言うことが頭のイメージにあったとしましょう。
するとそれは、マストなことなのでしょうか?
あんがい、何か他の目的を達するためにそうせざるを得ない、という判断をどこかでされたんだと思います。
親を排除するのは、目的でなくて手段です。
で、必死に力を込めて親の排除に心奪われているうちに、本来の目的を忘れてしまうというのはよくあるパターンです。

子どもがケンカをしていて、いざ冷静になると、なんでケンカをしてたのか理由も思い出せない、なんていうのと同じですね。
私たちは目の前のことに集中すると、本来的な目的を忘れがちです。

実は親を排除しなくとも、二代目経営者・後継者がやりたいことがやることができる環境ができればそれでOKなはずです。
それを、どうしても親がいなくなるまで戦い続けるぞ、となってしまうんじゃないかと思います。
某家具屋さんも似たような状況だったのかもしれません。

で、私たちが考えたいことは、本当は何を成し遂げればいいのか、という事に常に立ち返ることです。
それは一時的に気になる背中の痒みとかではない、本質的な問題を常に視野にとらえることが大事なのだと思います。
そうすることで、一見複雑に見えた二代目経営者・後継者の問題は、スッキリ整理できるのではないかと思うのですがいかがでしょうか。

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