高い世界を目指しすぎて足がすくんでしまった後継者の話

家業の跡継ぎ・後継者の方の中でときおり耳にするのは、会社の仕事に一生懸命になれない、という話です。
こんな話、誰にも話せませんから、自分一人で悶々としてしまいます。
それがエスカレートしていくと、たとえばうつ病っぽい状態になったりすることもあります。

私に関して言えば、仕事に行くのが怖くて、足がすくむ時期がありました。

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学生時代、私は、飛び込みセールスのアルバイトをしていました。
50万円くらいする、学習教材の販売です。
中学生を捕まえて、名簿を買います(当時は、個人情報保護がうるさくなく、学級名簿が子どもたちに配られていました)
そして、そのリストをもとに、1件1件、飛び込み訪問でセールスするのです。

こういう仕事、普通は嫌なもんです。
今の若い子に、これやって来いと言ったら、たぶん1日持たない人が多いと思います。
けど、当時の私はさほど大変とは思わなかったんです。

売れても売れなくても、淡々と、毎日100件回ると決めて、お昼過ぎから夜までひたすらピンポンを押し続けました。
当時の感覚は、学生のアルバイトという事と、どんなに悪くても給料がもらえない(フルコミッションだったので売れなければ給与はゼロ)というのだけがリスク。
誰かを養っているわけでもなかったので、「あーあ、残念」程度で終わる事が出来ました。
その時の私の仕事は
「中学生の子供のお宅にピンポンを押して歩くこと」
だったのです。
売上を上げると言った結果ではなく、行動することが大事だったのです。

だから断られたってまったく気にならないし、まいにち100件回れば、自分のなかで「ああ、いい仕事した」と満足できたのです。
私の目的は、お金を稼ぐという事もありましたが、セールスという仕事を経験することが中心だったから、というのがその理由です。
親の保険販売会社に勤める前に、セールスというものを経験しておきたかったのです。

 

 

さて、それが親の会社を継ぐという前提で、親の会社に入社しました。
手に持つ商品は、学習教材から保険にかわりました。
セールスの難易度は上がり、私はスーツを着て、以前と同じようにセールスの現場に立ちました。
しかし、この時はなぜか、セールスが日に日につらくなりました。

なぜかというと、成果を焦るからです。
早く実績をあげなくてはならない、早くそのコツをつかまなければならない、
そして何よりも、失敗は許されないのです。

アルバイトなら、うまくいかなければ、辞めればいいのです。
しかし、親の仕事を継ぐと言った以上、辞めるわけにはいかないわけです。
すると何が起こるかというと、逃げられないプレシャーがより、現場での仕事にストレスをかけていきます。

上手くいかない現実があり、
その現実に焦りが見え、
焦り始めて失敗を重ね、
失敗を重ねるほどに焦りの気持ちは強くなる。

アルバイト時代は、セールスという過程を経験し、学ぶことが目的だったのに、
家業を継いだ途端そんなことは飛び越して、成果だけを求めてしまう。
学ぶことが目的であれば、日々の成長は喜びです。
しかし、成果だけを求めれば、70点が80点になっても失格で、セールスの成功という100点以外は認められなくなってしまいます。
本来、新人ならそこまでできなくて当然だというバーを目標にして、そこに到達しない自分を毎日責め続けるのです。

次第に何をやってもうまくいかないという感覚に陥り、身体が動かなくなってしまいます。

 

世の成功本を見ると、似たような逸話をよく見かけます。
だいたい、こんな感じじゃないでしょうか。

あるレンガ職人に「何をしているのか?」と聞くと、レンガを積んでいる、と答えた。
同じ仕事をする別のレンガ職人に同じ質問をすると、家を作っている、と答えた。
さらに同じ仕事をする別のレンガ職人に同じ質問をすると、ここに住む人の笑顔を作っている、と答えた。

こういった話をもとに、仕事の先を想像できる人が成功する、と説く話です。
確かにそれは大事だと思うのですが、一方で、人はその習熟度に応じて「レンガを積む」という事にコミットしたほうがいい時期もあるのかもしれません。
私のケースでいえば、とにかくはじめのうちは「セールスで訪問する」ことだけに意識を持ち、決めた件数を回れたらそれで自分にOKを出せばよかったのかも、と今なら思います。
そうやって一つ一つの段階をクリアしていき、徐々にステップアップをしていけばいいのです。

成功の道は一つではありません。
自分にあった道をすすめばいいのです。

 

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Aravind kumarによるPixabayからの画像

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