自分は損な役回りである。
後継者が時としてそんな思いにとらわれることがある。
たとえば、自分は長男。長女がいるのに何で自分が会社を継がなきゃならないのか、とか、
弟は好き勝手に自分のやりたいことをやっているのに、なぜ自分は親の会社を継いで責任を持たされているのか、とか、
他にも同族役員はいるのに、なぜ自分ばかりが借り入れの保証人になって、数字の責任を持たされているのか、とか。
こういったとき、一般的には、不公平な対象、たとえば自分より楽をしている同族役員に責任を持たせたいとか、積極的にかかわらせたいとかいう考えを持ちがちだと思います。
しかしそれは、徒労に終わることが多いのではないでしょうか。
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Contents
後継者にとって兄弟間の関係は「不公平」
後継者の役回り
面白いもので、親族で会社経営をやると、暗黙の了解の中で役割が明確になることがあります。
だいたい、親である創業者は、長男長女にはある程度一目を置くことも多いかもしれません。いいか悪いかは別にして、「頼りにする」という感じでしょうか。
自分にわからないことがあれば、長男長女に任せる。
会社の将来についても、基本的には長男長女に引き継ぐのが一般的でしょう。
長男長女は基本的にまじめですから、それに応えるべく、比較的「正しい」ふるまいをする傾向があると思います。
社内外に対して、そこそこしっかり者の顔を見せ、比較的安定感のある存在だったりします。
だからこそ親は、そういった長男長女に何かと責任を負わせます。
これは長男長女のしっかり者的性格のみならず、古くからある家長制度的な思い込みもあるのかもしれませんが、なんにせよ兄弟で言えばそれなりに重い役割を負うのが長男長女でしょう。
一方、次男次女の場合は比較的奔放というか、自由人であることが多いと思います。
周囲の空気を読むというよりかは、独自路線。
長男長女が親に対して反抗的な態度をとろうとすればけっこうな覚悟をもって行うのに対して、次男次女の場合は比較的そこは軽い。
これが末っ子になると、甘え上手だから、会社の中にいればヒエラルキーを飛び越えて、言いたいことを言い、取り繕うようなことはあまりしない傾向があるように思います。
もちろん一般的な話ですので、必ずしもそうとは言い切れません。逆転しているケースもありますが、仮にこういった状況があると仮定しましょう。
長男長女の立場にいる場合、時に感じるのは「自分ばかりが損な役回り」であるという事です。
自由に好き勝手振る舞うとか、自分の目の前の仕事だけに集中できる兄弟に比べて、自分だけがたくさんの役割をもっているような思いにさいなまれます。
不等と感じる理由
会社に限らず、組織においては多かれ少なかれ、そういった不均衡は存在するものです。
しかしそれが我慢ならないのは、「役割に応じた扱いを受けていない」と感じる時ではないでしょうか。
たとえば、役割の大きさに見合った報酬がないとか、役割に応じて尊重されていないとかいう事があります。
親は兄弟は仲良くやれ、兄弟は平等、などといいがちですが、長男長女にしてみれば、じゃあ役割も平等に配分してくれよ、というのが正直な気持ちではないでしょうか。
親の理論は「長男長女だから」という事でしょうが、ならば、扱いも「長男長女として十分に尊重してくれ」というのがその本心だと思います。
報酬に圧倒的な差をつけるとか、扱いに差をつけるとか、そういったことが必要だと長男長女は感じます。
長男長女的には、それがかなわないのであれば、彼らにも自分と同等の責任を持たせるべき、と考え始めます。
そんな一般社員と同じ仕事ではなく、もっと会社全体に関わる仕事させよう、もっと自分の助けになるよう育てよう、と考えるのです。
しかし、結果はたいていうまくいかない。
大抵の場合、親のいう事はかろうじて聞いても、兄弟のいう事はなかなか重く受け止めることはないからです。
これは兄弟平等という親の扱いの弊害といえるかもしれません。
そもそも人を変える、特に行動でなく責任という内面的な部分を変えるのはかなり難易度の高いことです。
後継者である長男長女は、不平不満から、そういった難易度を高い事を望み始めます。
なぜ「損」と考えるか?
相手を変えようとする前に本質を理解する
相手の価値観を変えるというのは相当に難しいことです。
長期的に見れば、会社経営に関わることですから、それも必要かもしれませんが、短期的に考えたときにある日突然、周囲の兄弟役員が思ったように変化することなどありません。
ではどうすればいいか、ですが、まず大事なのは後継者自身の思いをどこに持つかではないかと思うのです。
そもそも、仕事に対する役割に対して「損をしている」「自分だけ苦労をしている」と考える背景にあるのはどんな思いでしょうか。
それは恐らく、仕事がキライなんです。
とても大事なことなのでもう一度言います。
損をしていると感じるのは、仕事がキライだからです。
兄弟が楽してるからとか、親が自分に責任を押し付けてるとかという比較以前に、仕事がキライなのです。
なぜなら、仕事が好きならば、たくさんやって「損をする」なんて思わないはずです。
たとえば、サッカー大好き少年が、他の兄弟よりたくさんサッカーの練習ができて、「俺ばっかりしんどい練習をして、損してる!」なんて言わないでしょう。
キライだからたくさんやるとか、多くの役割を持つと損をすると感じるのです。
人との比較は後付けで、自分がやりたくないだけなのではないでしょうか。
役割に対してなのか、仕事の種類なのか
ここで明確にしていきたいのは、たとえば、仕事がキライだったとして、それは経営者という役割がキライなのか、今やっている会社の事業がキライなのか、という事を考えてみましょう。
あるご相談者の場合は、会社の事業そのものがつまらない、と感じているようでした。
後継者の場合でも、たとえば親の事業を10年、20年、30年と手伝っているとだんだん飽きてくる人もいれば、やればやるほど将来性に疑問を持つこともあります。
もしそうだとすれば、解決策は簡単です。
自分が好きな仕事を始めればいいのです。
後継者という立場は役割も重いですが、自由度も高いはずです。
逆にそういった自由度さえないならば、そこは主張してもいいのではないでしょうか。
それはそれでいろいろと障害もあるでしょうが、いつまでも自分の思った方向へ変わってくれない兄弟にやきもきするよりかは、ずっと精神的にも楽なんじゃないかと思います。
逆に経営者という立場があまりにも重すぎる、という事であるならば、どこかのタイミングで進退について検討する必要はあるのかもしれません。
自分以外の誰かに感情をゆだねることのリスク
自分の機嫌は自分でとろう
この「損している」という感情はほかに、少し前段で書きましたが「親から受けた役割の重さのわりに兄弟と同じ扱いというのは受け入れがたい」というものも含んでいます。つまり、えこひいきしてほしい、という感情です。尊重されたい、という思いが満たされないとき、「損をしている」という感情につながりがちです。
そして往々にして、「損をしている」という考えを持った時やることは、他人のふるまいを変えようとするのが基本のパターン。
親に自分にえこひいきしてもらいたい、兄弟に自分の思った通り動いてほしい、などといったことなのですが、この期待はたいてい裏切られ、その結果さらに自分は「損をしている」という思いを強くするのです。
このループが回りだすと、延々と続いてしまいます。
これは言ってみれば、自分の感情を自分の外で起こっている事にゆだねてしまっている状態といえると思います。
親が兄弟に甘い、という現実を見て感情が動くとか、
自分を大事にしないという事実を知って感情が動くとか、
そういうことになってしまっています。
大事なのは、誰かが何をしても、自分の機嫌は自分でとれることが大事で、ちょっと理不尽だな、ともう出来事も捉え方次第。
サッカー少年のたとえと同様で、好きなことに打ち込めば他の人がどんな扱いを受けていようが、自分とは関係のないこととして素直に受け止める事が出来るのではないでしょうか。
大事なことは、自分が打ち込める状態を作ることです。
そのために大事なのは、好きなことをしよう、という事なのではないでしょうか。
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