後継者

経営は偶然がつきものだから後継者は好きなスタイルを取ればいい

親の会社を継ごうと頑張っているのに今一つ報われない。そんな印象を持つ後継者は多いのではないでしょうか。次第に不安が募り、「自分は果たして正しい方向を向いて歩いているのだろうか?」という悩みを抱え始めます。

ただ、結論をはじめに言うと、経営に正しいも誤りもありません。
だから、信じた道を突き進むしかないのです。

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世界の成功者を後押しした「偶然」

PixalineによるPixabayからの画像

マイクロソフトが成功した理由

先日、ある書籍を読んでいて、ちょっとした驚きを感じました。たぶん、マイクロソフト社の製品を触ったことがない、という人はほぼいらっしゃらないと思います。WindowsというOSに始まり、WordにExcel、Powerpointなど、ビジネスにおける標準アプリとなっているものがたくさんあります。その結果、創業者のビル・ゲイツは桁違いの大富豪になったわけです。ただ、このマイクロソフト社がここまでの存在感を示すに至っては、様々な「タイミング」があったことは看過できない問題だと思います。

マイクロソフトの快進撃が始まった背景には、まずはAppleによるパーソナルコンピューター市場の掘り起こしがありました。これまで企業のものであったコンピューターを家庭に持ち込もうとした、スティーブ・ジョブズ率いるAppleコンピューターが、家庭用コンピューターの世界で大成功しました。これを見ていたIBMが、そこにあやかり個人市場に参入しようと考えました。その際に搭載するOSについてですが、今から開発したのでは時間がかかります。そこである会社に声をかけたのですが、その会社との契約はうまくいきませんでした。次の候補としてピックアップされたのが、マイクロソフト社でした。マイクロソフトも当時、画期的なOSを持っていたかというとそんなことはなく、彼らは他社製品を買い取りDOSを手直ししIBMへの提供を始めます。これが当時まだ誰も名も知らぬ零細企業だったマイクロソフトが、世界的企業に成長するスタートのころのエピソードです。

これを見ていくと、
・Apple社の家庭用コンピューターでの成功
・IBMのパーソナルコンピューター市場への参入
・マイクロソフトより前に声のかかったソフト会社がIBMと契約できなかった
・マイクロソフトが安価にDOSというプログラムを手に入れられた
といった様々な要素があってはじめて現在のマイクロソフト社への軌跡が描かれたと言っても過言ではないような気がします。

これは、マイクロソフト社の技術力とかというより、「たまたま」という要素がかなり大きいのではないかと私は感じますが、いかがでしょうか。

「たら」「れば」の話を考えてみると・・・

これだけの偶然をマイクロソフトのビル・ゲイツは「タイミングを計って」起こしたのでしょうか?どれだけ彼が有能だったと言っても、そうはいかないでしょう。ビジネスにおいては確かにタイミングは重要だと思いますが、まさに針の眼を通すようなタイミングを計ることは不可能ではないかと思います。

「たら」「れば」の話をしてしまえば、Appleの成功のタイミングが少し前後するとか、IBMが従来通り大型のメインフレームにこだわり続けるとか、IBMがはじめに声をかけた業者とOSを開発したらとか、そういった小さな偶然を排除した時、小さなままのマイクロソフト社が存在する世界が見えるかもしれません。

こういった世界的規模の会社になるか、ならないか、という話のみならず、たとえばTwitterなどでバズる投稿ってどんな投稿でしょうか。たぶん、Aさんがバズらせた投稿をBさんがまったく同じに投稿してもきっとバズることはないと思います。それは、タイミングや投稿者のキャラクターや知名度、影響力を持った人の目に触れるか否か、そんな様々な要素が絡まっているはずです。もちろんある程度までは努力でカバーできることもありますが、最後の最後は偶然という要素が強く影響しているものだと思います。

実はこれ、経営においても同じことがいえると思います。A社長がやって上手くいったことをB社長が真似をしてうまくいくかと言えば、たぶんそれは難しい。もちろん、多少は効果はあるかもしれませんが、一時的なモノに終わる可能性が高いと思います。ましてや、マイクロソフト社のような成功をビル・ゲイツの話をもとにコピーしようとしたって、うまくいくと考えるほうが不自然のように思うのですがいかがでしょうか。

正しいか誤りか

事業承継1.0

家業においてその跡を継ぐ後継者・跡継ぎの方々は、常に自分がどんな風に評価されるかが気になることと思います。先代が作った実績があり、それが先代に対する評価。その後を引き継ぐ後継者・跡継ぎとしては何かしらの爪痕を会社の歴史に残したい、と思うのは自然な考えです。むしろ、それが強迫観念的なプレッシャーとなって心にのしかかっている方も少なからずいらっしゃると思います。

そういった実績を残していくというのは、実はやり方を変えなければならないことが多いのではないかと私は考えています。今までと同じスタッフ、同じ市場、同じ商品で会社を運営している以上は、能力は同じなのでいくら頑張ってもさほど大きな変化を興せないのが普通です。同じやり方なら、対前年比100%~120%くらいがおそらく限界です。市場は多くの場合時間とともに疲弊していきますから、現実的には対前年比100%でさえも実は至難の業ではないでしょうか。このような形で、先代が敷いたレールの上で頑張っていこうというやりかたを「事業承継1.0」と名付けましょう。

事業承継1.0は、残念ながら圧倒的な業績の変化は見込むことが難しいのです。同じシステムで会社を稼働させるため、その回転数を上げるとか、物量を増やすとかでしかビジネスをスケールできません。ということは、効率はいっこうに良くならない可能性が高いわけです。しかしそれでも多くの後継者・跡継ぎがこの事業承継1.0を採用します。それはなぜかというと「失うことに対する強い恐れ」があるからではないかと思うのです。親の代の業績を、自分の代で下げてしまうともはや自分の評価は地に落ちる。そんな恐怖から、積極的に加点を目指すというより、減点されないことを優先する傾向が強いからではないかと思います。

しかしこの事業承継1.0においても、時に恐ろしいほど会社が飛躍することがあります。社会が変わって一気に需要が増えるとか、著名人に紹介されるとか、そういった外的な要素というか、まさに「たまたま」の要素によるものが一般的ではないかと思います。まじめにコツコツとやりつつ、「たまたま」の飛躍を夢見る。これが事業承継1.0の本質ではないかと思います。圧倒的な成果が出にくい形で、圧倒的な成果を夢見るというジレンマを内包している可能性がたかいパターンと言えるのではないでしょうか。昭和時代なら安全確実な事業承継と言えましたが、社会の変化の激しい現代ではリスクもはらんでいる可能性があります。

正解などない

「たまたま」という偶然は、ハプニングです。おそらく安定とは対極のところにあるのではないかと思います。おそらく「たまたま」一気に成長するきっかけを得たのは先ほどのマイクロソフトだけでなく、多くの会社が一気に成長するときなにかしらの「たまたま」の要素を経験しているんじゃないでしょうか。これを言い換えると「チャンス」と言えるかもしれません。そこで大事なのは「たまたまというチャンスを受け入れる心の準備」が必要となります。

事業承継1.0のスタイルで会社を継ごうとする後継者・跡継ぎは、会社をルールで縛る傾向が強いのではないかと思います。想定外の問題を起こさない安定路線を歩みたいから、想定外の行動をさせたくないのです。行動の範囲を制限した会社ということになると、おそらく「たまたま」という偶然は小さなものは起こるでしょうが、大きな偶然は起こりにくいんじゃないかと思うのです。逆に言うと、想定を外れた偶然を呼び寄せるには、いつもの規律とは外れた活動を通じてのほうが多いのではないかと思うのです。そしてその「たまたま」が目の前にやってきたときに、柔軟性をもっているかいないかでたまたまがチャンスにもなれば、ただの問題にしか見えないこともあるのではないかと思います。

とはいえ、そこそこ大きな「たまたま」はやってくるかもしれないし、やってこないかもしれない。偶然はコントロールできないから偶然なのですから、これにこだわりすぎるとおかしな方向に行ってしまいそうです。ただ大事なことは、いい意味でも悪い意味でも偶然はどこにでも発生する可能性があり、意外と会社の経営はその不確定要素に左右されます。

たとえば、今回のコロナウィルス。
たまたま新店のオープンを検討して、店舗の賃貸契約を結ぶ前にコロナがやってきた企業もあれば、逆もあります。
これから一気に攻めようと人を増やした途端自粛に入った企業もあれば、会社のスリム化を完成させたのちにコロナがやってきた企業もあります。
これなんてまさにたまたま以外のなにものでもありません。

少し刹那的な表現をお許しいただきたいのですが、会社経営なんて所詮どこまで一生懸命やったところで、結果を保証できる人などどこにもいません。経営というのは恐らくそんなもので、絶対的な正解などないものなのだと思います。

結果を保証できないのなら・・・

 

自分が楽しめるスタイル

どうせなにをやっても、偶然という要素にはかなわないとすれば、どうしますか。途方に暮れる人もいるかもしれませんが、こんな風に考えてはいかがでしょう。どうせ上手くいくかどうかもわからないのだから、好きなようにやればいい。実は私はそう思っています。

しんどい思いをして、自分に合わない経営スタイルをやってたって上手くいかないときはうまくいかないんだから。

なんとも刹那的ですけど、結局はそういったところから抜け出すことはできないんじゃないでしょうか。
まじめにコツコツやっても、好き放題やっても、いい結果が出るかどうかがわからないなら自分がやりたいようにやる、でいいんじゃないでしょうか。
また、なにかと後継者・跡継ぎに関して言えば、自分たちが重い責任を負っているようなイメージを持たされがちなんですが、どうせ誰がやってもうまくいくかどうかもわからないわけです。今の会社を、ビル・ゲイツや稲盛和夫が経営してもたぶんそんなに大きな違いはないんじゃないでしょうか。(彼らの私財や個人的な人脈を使うなら別でしょうが)

ならば、楽しくやれる方を選べばいいと思うのです。楽しいというのはたいてい自分の得意分野を活かした形になります。それは会社の軸を変更することにつながるかもしれませんが、それもアリだと思います。(私はこれを事業承継3.0と呼びます)いい加減に思われるかもしれませんが、どうせ結果なんて保証できないのですから。

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