コロナ禍は3つの”距離”を見直すチャンス

長引くのかそうでないか。
今まさに事のとき、常に中小企業経営者の頭の中には、コロナの影響とその先にあるものが去来しているのではないでしょうか。とくに、家業を継ぐ後継者・跡継ぎにとっては、自分の時代に関することですからその関心度は尋常ではないかと思います。

一時期の緊急事態宣言を抜けた現在(2020年6月)、何をどのように考えればいいのでしょうか。

 

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世界中が被災地となり人々の価値観は変わった?

ComfreakによるPixabayからの画像

「対岸の火事」とは考えられなくなった

私たち日本人は地震や台風、大雨など、様々な災害を経験しています。しかし、それらはなんだかんだ言って、被害は局地で敵です。あの東日本大震災だって、影響がなかったとは言いませんが西日本に暮らす人間にとっては、どこか遠い国の話のように感じることも多かったのではないでしょうか。こういった災害を、実際に直接的被害を受けない状況において、「当事者意識をもって」経験するのは難しいと思います。だから、ある人はそういった災害で、自身の価値観を大きく変える人もいれば、そうでない人もいるわけで、人々の足並みがそろうことはあまりなかったように思います。東日本と西日本の温度差、日本とそれ以外の国の温度差、といった風にいろんなところで温度差がありました。

しかし、今回のコロナ禍は少し性質を異にします。それは、世界中があまねく被災地となったということです。どこかの国が困っているからほかの国が助けに行くということもできず、各国が自国のことで精一杯になっていて、むしろその程度を悪化させないよう他国との行き来を制限するくらいなのですから。しかも、その正体も、その影響力も正しく測れぬまま、不確定な情報が流布されました。そんな中で、私たちはまだまだ笑いながら話せる余裕はあったとしても、そこそこ真剣に、生きることと死ぬことといった割と重い話をそれぞれが考えたのではないでしょうか。若かろうが老いていようが、死は隣にある、ということをなんとなく感じていたように思います。そういったことを家族で話し合ったりした家庭も少なからずあったのではないでしょうか。

ビジネスの難しさと人としての生き方

また、自粛期間中に目だったのは、公園で子どもと遊ぶお父さんの姿。このままでは会社は大丈夫なのだろうか?という不安は頭にあるものの、日頃はなかなか十分なコミュニケーションがとることができていない家族と向き合う時間ができました。これはある意味幸せの一つの形というか、人としてあるべき姿じゃないかと感じたのは私だけではないと思います。しかし、時間があるということは”ライスワーク”としての仕事に何かしら上手くいっていないこととのトレードオフであったりする可能性はあるかもしれません。仕事がないから、時間がある。なんだか妙な感覚です。また、テレワークということで在宅勤務などということを余儀なくされました。このような環境の中で不自由を感じる人もいれば、「いやいや、この方が絶対仕事がはかどる」という人が出てきました。働き方のバリエーションとして在宅ワークがこれからのトレンド、と言われつつできなかったことが皮肉にもコロナの影響で一気に進んでいきました。また、皮肉なことに自粛生活を強いられることで、世界各地で様々な環境汚染が止まったという報道もありました。そんなことを見聞きすると、私たちの生き方って何だろう、幸せって何だろう、そんな議論が自分の頭の中で去来した人は多いのではないでしょうか。

しかし、その答えも出ぬまま緊急事態宣言が解かれると、会社に戻れという命令が飛びます。今までどこか心もとない感覚を持っていた人たちは、そんな命令を聞いて「ホッ」とした人は多いような気がします。人としての生活以前に、稼がねば食っていけないからです。人間は、幸せを求めるよりももっと、不安への対処が優先されます。コロナ禍で、自分の人生って何だろう・・・と思った人も、これまでの日常に戻っていくのです。・・・しかし、本当に元の生活に戻るのでしょうか。私はこう思います。一度頭をもたげた疑問は、消えることがない、と。

ビジネスリーダーとして考えるべき3つの「距離」

随分と回り道をしましたが、ここから後継者・跡継ぎが考えたいお話しをさせていただきます。ビジネスにおいて、コロナを経て変わることというのは一言でまとめれば「距離」だと私は思っています。その「距離」には三つのベクトルがあります。一つは、顧客と我々の会社の距離。そして、社員と我々会社の距離。さらにはその他のステークホルダーとの距離。次章で具体的に考えてまいりましょう。

これからの中小企業が考えたい3つの距離

Ahmad ArdityによるPixabayからの画像

顧客との距離

多くの企業は、もう長い事顧客との距離感を変えていないのではないでしょうか。たとえば、製造業なら依頼があって、作る。案件があるときに顧客とコミュニケーションが始まり、納品して支払いを受けて終了。飲食業だともっとわかり安ですね。お客様が来店し、注文を受けて料理を作り、運び、食べ終えたら料金を頂く。これがコロナによって、かつてはビジネス上かなり重要であった「場所」というものが飛ばされることになりました。飲食業と言えば、場所が大事と言われることが多かったのですが、持ち帰りなら場所をショートカットできるかもしれません。それがたとえば、UberEatsだったり出前館だったりのサービスでしょう。そして厄介なことに、一人5,000円のお店も、一人500円のお店も、同じフィールドに立つことになってしまいます。今までなら考えもしなかったことが起こってしまうんですね。料理の素材へのこだわりは変わらなくても、出来立てをテーブルに即運ぶ店舗営業とは異なり、持ち帰りや出前になるとまた違った工夫が必要になるかもしれません。お店の雰囲気や静けさ、世界観なども商品の一つだと思うのですが、それらがない状態での営業ってどう変えていくべきなのでしょうか。たぶんですが、自分たちの事業の価値そのものを根底から見直す必要性を感じた人も少なからずいたのではないでしょうか。

たまたま私が先日感じた違和感は、あるお店がずっと店舗営業ができずお弁当営業をしていたのですが、自粛期間を終えてお弁当を何の前触れもなく辞めちゃいました。そのお店を応援したくて、ちょくちょくお弁当を買っていた人からすると、なんか残念な感じがあった場合もあるような気もします。苦しい時に支えてくれた顧客との関係、ちゃんと特定して、それなりに関係を結んだほうがいいのかも、なんて思いました。まあ、そんな一例もありますが、お客様との距離感というのをきっとこれから考え直す必要があると思います。つながり方、距離感、頻度など。まってたら来てくれるお客さんとだけつながるとか、たまたま来てくださるお客様を相手に営業するのもいいのですが、案外、困った時に助けるお客様って特定の層で、お店側はそういう人たちとより強い結びつきを考えたほうが良いのではないでしょうか。

また、私たちのように保険代理店みたいな仕事をしていると、もう対面営業が命、みたいになるわけです。オンライン相談をやったりしているケースもありますが、非常にクロージング率が低いのだとか。あるていどの対面営業のプレッシャーが必要みたいですね。ただ、プレッシャーかけた営業なんて非健全の極みです。じゃあどうするかと言えば、相談にくるお客様の質を変えていく努力が必要なのかもしれません。ある程度わかりやすい情報で、事前に検討を促したうえで、最終決断としてオンライン相談を活用いただく。そんな工夫をするには、動画など分かりやすい資料の開示が必要ですが、業界全体がそこに追いついていないのが現状。これを変えていく波ができるかもしれません。

また、値段において、様々なものやサービスが「安く」という方向感に行っていました。しかし、安いということは途上国の労働力や土地や電気代の安い場所での工場での生産ということがベースにあるように思います。案外、安くという価値観を「高いほうがいい」という価値観への転換を行う必要もありそうです。また早さもまた環境負荷を大きくすることもあり、労働環境の悪化も出てくるかもしれません。そんな観点から便利さに歯止めをかけるという価値観も今後出てくるかもしれません。

社員との距離

大企業だとあまり意味の感じられない「報告会的」会議や、「業績未達成者イジメ的」会議、「仕事をやってる感を醸成するためのアリバイ作り的」会議など、様々な会議があったのではないかと思います。しかしこれが、少しばかり変わりました。必要最小限の会議になったと言います。ただまあ、オンラインツールが行き渡ってからは逆に新しい営業手段を考えるより、わけのわからない会議をやって時間をつぶしている人も少なからずいるような話も聞きます。まあなんにしても会議がなくなり、一方でテレワークなどで事務所で集うことがなくなり、細分化された仕事をそれぞれがこなしていれば会社は回る、という印象がついてしまうと、社員と会社との関係というのがだんだん見えなくなって今います。これって、内職的に、やればいいんじゃないの?とか思うわけです。9時から5時という考え方にも縛られず、通勤電車にも乗らず、仕事が完結したらそれでええやん、という考え方です。

特にグローバル企業のマネをして、日本のそこそこの規模は仕事を細分化し、その細分化した内容に特化させるよう社員をマネ締めッとしてきた会社は多いと思います。そうすると、その細分化した仕事さえできればそれでいい、という感覚ができてまあ日常業務はそれで回ってしまうわけです。ここで困るのが、「日常の中でイノベーションを興すという仕事が意識されていない」という点です。いつもの仕事をいつものようにまわせればそれでOK。本人も、上司も、そう考えている。何も起こらないことが最も素晴らしいことで、問題を起こさないことを目的に仕事をしている会社は非常に多いと思います。そうすると会社にはイノベーションは起こらないし、それを興す場は会社にないから、会社への帰属意識はどんどん弱まる。特に個人の力量に長けた人ほどその傾向は強いんじゃないかと思います。面白くない仕事をやってる会社はどんどん有能な社員に見放されます。

まあそんなことを含めて、社員との心理距離も見直す必要性が出てきそうですね。出社して、与えられた仕事して、時間になると帰る。この作業のようなルーチンから抜け出す仕事や社内の関係性を作ることができない会社は、ちょっと今後が心配かもしれません。

その他のステークホルダーとの距離

たとえば、私たち保険代理店というビジネスにおいては、メーカーとの関係性が「密」でした。もともとメーカーがそういう関係性を設計しているのですが、多くの保険代理店の社長はそういった環境を無意識化では心地よくさえ感じていると思われます。なぜなら、次の一手をすべてメーカーが考えてくれるからです。自分では何も考えず、メーカーに言われることをやっていれば少なくともメーカーに評価される。それで何とか成り立ったのがこれまでの時代です。しかし、今のコロナ禍において、メーカーも世の中の行く末を読み切れていません。いえ、まずは自分たちが生きることで精いっぱいの状態です。そんな中、メーカーのほうを見て「次に何をすればいいのですか?」と問いかけるさまは何とも悲哀を感じます。

こんな時ほど、自分たちの指導者から決別し、自分の脳を起動させることがとても大事なのではないかと思います。

タブーがない今だから

Maike und Björn BröskampによるPixabayからの画像

先代はお手上げ!?

緊急事態宣言が明けて、多くの人は「元通り」に戻ろうという力が働いているかと思います。大企業でも、中小企業でもそれは同じです。その証拠に、通勤電車はまたもやひどい状況になってきました。ただ、これが震災や台風からの復興ならみんながみんな「元通りに復旧しよう!」というベクトルになりますが、今回ばかりは少し違うようです。「前とは違った常識を作ろう!」という思いが少なからずあるのは皆さんも感じているのではないでしょうか。「ニューノーマル」という言葉は、なんとなく「コロナ対策」と同義のような感じの印象がありますが、実はそうではないんだと思います。今まで過剰だったことを正し、今まで忘れていたことを取り戻し、新しい時代を作っていこうというメッセージだと私は思っています。この時代の境目において、一つの会社を任されるであろう後継者・跡継ぎの使命というのは、ビジネスを通じてそんな新しい世界を作ることなのではないかと私は感じています。

さて、人は自分の情報処理を超える情報に接するとお手上げをしてしまいます。「頭が真っ白になった」という表現はまさにそんな感じを表した言葉だと思います。今の時代、実は先代にとってはまさにそんな状況ではないでしょうか。何が何だかわからない、という状態だと思います。解らないけど、何かしらの変化を迫られていることは、肌感覚で感じています。そういったときに明確な指針を出す後継者・跡継ぎがいれば、あるいはその改革は進みやすい状況と言えるかもしれませんし、あなたの考えに先代が賛同する可能性も少なからずあるような気もします。

是非この機会に、一歩でも二歩でも、新しい世界への歩みを始めることを検討してみてはいかがでしょうか。たぶん、この先数十年単位で考えてもこれほどの機械はそうそうないと思います。今がまさにそのチャンス。考えがまとまらないならそれでもOKだとおもいます。ひとまず、今までやった事のない小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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