事業承継に関する本は、親の都合ばかりが書かれ、
親を敬えとか、
親孝行をせよとか、
親のためにとか、
そんな話ばかり。
跡継ぎの立場に立った本は今までほとんど見たことがありません。
だから、自分で書きました(笑)
そういう世論にがまんできないアトツギの方、ぜひ手にとってみてください。
…と宣伝はこのくらいにして、今日のお話は、
跡継ぎは世論に洗脳されてはいけない、というお話です。
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親子の事業承継で、誰が正義なのか。
私はあまり、正誤で物事を決めつけたくはないですが、
便宜上、世の中はどう見ているかを考えてみましょう。
世間的な見方は、圧倒的に「親が正しい」という方向に傾いています。
そもそも会社を作り育ててきた人だし、実績も経験もある。
そしてそもそも、子を産んだ親である。
だから親が正しい。
これが、世間の物の見方です。
一般の方は、その考えを何の疑いもなく受け入れます。
たぶん、後継者もはじめのうちはそう考えています。
けど厄介なことに、けっこう時代は変わっています。
たとえば、「人一倍働くことが、スバラシイ」と言われていたのは過去の話。
今や社内でそんなことを言えば、ブラック企業です。
会議室に灰皿が用意していなければ、新米社員は叱られたものですが、
今や、タバコ吸うことが悪になってしまいました。
しかし厄介なことに、中小企業の経営者というのは見てる世界が狭いことが多い。
たとえば、社員数20名の工場を営んでいる社長がいれば、日頃接するのは20名のイエスマン。
あとは、銀行とか、営業に来る人とか、宅配の人ぐらいです。
すごく狭い世界の中で、生きています。
これはたとえば、営業会社である当社の人間だってそうです。
あう人間は、なじみの顧客と、保険会社の社員、そして時々同業者といった感じ。
そして面白いことに、顧客の話は「別世界・異次元」の話として他人ごとにしか見ません。
意識しなければ、ムラから出ることはないのです。
そして大抵はムラから出ようとはしません。
なぜなら、居心地がいいからです。
さて、世間様が「正しい」と言っている経営者は、
今やブラック企業と言われる価値観を保持し続け、
周囲の社会の変化を取り込むことなく、
ムラの中から出ようとしない、
ジャングルの少数民族のような存在になっている可能性は高い。
大変失礼な表現をあえてしていますが、ムラの中では20年くらい前の空気が今も同様に流れていることも結構あります。
さて、ここで、はじめにお話しした「世論」について考えてみましょう。
世間一般の人は、中小企業の経営など何の関心も持たない人がほとんどです。
つまりは素人です。
世論…というか素人(かつ野次馬)は、まあ無責任です。
もし、自分が信頼する人が、親を敬い大事にせよというならそれを信じるのはアリだと思います。
しかし、誰が言ったかもわからない、世間一般の常識に合わせて生きるなんてばかばかしいと思っています。
常識というのは、所属するコミュニティの多数意見です。
そして常識を語るとき人は、自己欺瞞(自分をだます)にあふれています。
いい人ぶりたくなるんですね。
もちろん、人として自分を生んでくれた親を大事にすべきというのはあるでしょうが、経営とは別の話。
こういう素人やじうまに限って「親を敬え」と「会社で公私混同するな」という矛盾を平気で言ったりします。
公私混同しないなら、親じゃないでしょ、と思うのですが(苦笑)
古い価値観にとらわれた親のイエスマンになるのはちょっと違う。
こう気付いたときに後継者の苦悩は始まります。
村長様とのバトルが始まりますからね。
過去の歴史を紐解くと、価値観の変化のタイミングって、やっぱりいろんなことが起こります。
そういうモヤモヤした時期も、あるいは必須なのかもしれません。
そこで後継者として考えておきたいのは、親を説得できる材料は持っておきたいよね、という話です。
だからと言って説得できるわけではありません。
説得してくださいというつもりもありません。
けど、聞かれたらこたえられるようにはしておきたいもの。
なぜなら、他の社員に伝えなければならないから。
その内容は、「打倒オヤジ」という内容ではありませんよ。
親がいかに間違っているかを明確にしたって意味がないのです。
自分はどういう会社にしたいかを明確にしてください。
誰でもわかるような言葉で、シンプルに言葉にしてみましょう。
俺は「〇〇な会社を作りたいんだ~!」という感じ。
こういわれてハッとした人もいるかもしれません。
実は、「オヤジのやり方ではダメだ」といういかにも正しそうな意見を持っていても、
「これからの時代はこういう会社にするんだ」という意見を持っていない人はけっこう多いのです。
もがきながら探している状態かもしれませんが、そういったことを少しずつでも、
わからないなりに言葉にしていくように意識してみてはいかがでしょうか?
「親を敬うべき」といっている素人野次馬は何もアドバイスをくれませんが、会社の中にいる当事者の社員の人たちは、もしかしたらあなたの不完全な言葉の続きを一緒に考えてくれるかもしれません。
そうでなくとも、断片的であっても後継者であるあなたが進みたい道がわかれば、協力者が出てくる可能性はあります。
親を止める努力より、自分の考えを動かす努力に集中してみましょう。
そして世間様の意見と、後継者自身の考えは全く違うものだと思うのですが、いかがでしょうか。
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