親の会社を継ぐ私が親との確執を解消した際の3つのコツ

私が親の会社に入り、跡継ぎとして会社の役員になった時、やはり多くのみなさんと同様、親との確執めいたことがおこりました。
当時の感覚としては、とにかく不自由。
親の考えるやり方と何かが少しずれただけで、激しく注意される。
何をするのにも監視をされているようで、やろうとすることも批判的にみられているような感じがしていました。

しかし今では、ほどほどの距離感もあり、多少のぎくしゃくしたかんじ(たぶん普通の父息子もそんなもんでしょう)はあるものの、比較的普通に接することができています。
これほどに状況が変わった背景にあるのは何か?と聞かれると、実は自分の内面的な変化でした。

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先代である親を変えたい!?

親に対する不信感

家族経営も、はじめのうちはたぶんそんなに問題も起こりません。
親は子供のころからずっと目上で、会社に来ても、後継者である子どもはそれに従う。
親は上司で、子どもは部下。
この上下関係が後継者が小さくて何もできないころから一貫しているので、私は親に従うのは当たり前でした。

そりゃあ、仕事のこともわかりませんから、多少、厳しい言われようをしていてもそれが常識と考えていました。

しかし、だんだんと実務でも相応の自信をつけてくると、やっぱり自分の考え方と親のやり方の違いも出てきます。
たとえば、ある仕事の進め方ひとつとっても、無駄に手間をかけようとする親のやり方の意味が解らず手順を省略したりします。
それを見つけると、親に怒鳴られるわけです。
「なぜ、そんなやり方をするのか!」と。
教えたやり方と違う、というのです。

一方で、私は「教わった」記憶はありません。
見よう見まねでやっていて、次第に「意味がない」と感じた手順があったのでそれを省略しただけです。
それで何ら問題は起こらないのに怒鳴られる。
そうすると、親はとにかく自分だけが正しいと思っているのではないか、と感じていました。
確かに、私にはわからないところで、私が省略した手順が何かしらの意味を持っているかもしれませんが、それならそう教えてくればいい。
そう思うのに、それもない親に対する不信感は募っていきました。

現場の実務から会社のかじ取りへ

そういった実務上の小さな衝突を繰り返しながら、次第に視点は会社全体のマネジメントにうつっていきます。
そうすると、会社全体の非効率が目についてきます。
たとえば、親が出張に出ると、その机には決済や対応を待つ書類がどんどん積み上げられます。
こういったことを勝手にこちらで処理するとたいてい、やり方について叱られますから、手を出さないようにしています。
それで出張から帰ってきて、書類の山を見た親はイライラし始めます。
私から見れば、どういう事はどう対応しようという方針を明らかにして権限を委譲すればいいのに、それを行わずひとりイライラする親。
社員はみな、火の粉をかぶらないよう見て見ぬふりをします。

これはどうかと思って、色々と会社の仕事の進め方の提案を始めます。
小さなことは承認されますが、根本的な変更に関してはたいてい反対されます。
話し合いは、お互いイライラして結局は物別れに終わりがち。

ところで、後継者の私としては、正直なところ、当時は会社の社長なんてできる自信はありませんでした。
不安しかない自分の気持ちを抑えるには、権限や役割を分散させることが必要だったのです。
だから、今は何もかもの責任を親がもっている状況を、自分も含めた社内全体に薄く分散させたかったわけです。
しかし、中央集権を好む親と、地方分権を画策する私の中で、会社の方向性をめぐっての衝突が日々増えていきました。

当時の私の本音

この時に私が何を考えていたかを思い出すと、こんな感じだと思います。
会社の将来をたのむ、と言われて後継者として入社したんだ。
決して親の会社を継ぎたかったわけでもないのに、親のために会社を継ごうとしている。
だから、親もみんなも自分の言うとおりにすべきだ。

やってやってるんだから従え。
こうやって書くと、
また、今振り返ってみると、
ちょっと恥ずかしくなるんですが、当時の私はこんな自分の考え方が正しいと信じてやみませんでした。

親子に限らず「確執」というのは、お互いが自分の正しさを疑わない状態です。
自分が相手をひれ伏せさせようとする行為です。
お互いが相手を従わせようとする以上、どちらかが勝ち、どちらかが負けるまで勝負がつかないのです。
当然、人間は負けたくはありません。
もはやはじめの論理的な議論はどうでもよくなって、勝つか負けるかだけにフォーカスし、確執が確執を呼び、泥仕合の様相を呈してきます。

これ以上は無理と思った時に起こった変化

私が「確執のループ」から抜け出したキッカケ

小さなものから大きなものまで、親との対立は日々ありました。
そういった確執はたいてい「交渉決裂」となります。
一方実務は日々流れていきます。
それは従来のやり方で流れていくのです。

つまり、交渉決裂となった場合、「会社の何かを変えたい」と考えている側が実質的な負けになります。
なぜなら、変更の決定がなければ、物事は変わらないからです。
そうすると、大抵は後継者が「負け」という事になるでしょう。

当然、後継者のフラストレーションはたまっていきます。
親や周囲からは、「早く一人前になれ」的プレッシャーがかかりますし、そうしようと会社を変えようとすると変えられない。
この時は、親だけではなく、多くの場合社員も変化を求めないので、後継者一人が変えよう、変えよう、とするので完全孤立状態。
もうどうにでもなれ。
ある時私は切れました。

親に対して、暴言を吐き、
会社の什器を破壊し、
自暴自棄ともいえる状況に陥りました。

実は、私のなかで「確執のループ」から抜け出すきっかけを得たのはこの時なのです。

親子の確執を抜け出すために後継者が意識したい3つのコツ

親子の確執の原因はどっちにある!?

親子の確執の原因は、どっちにあるか?と聞けば、きっと後継者は「親が悪い」というでしょう。
逆に、親に聞けば、「後継者が悪い」というはずです。
そもそもそうやって相手の問題である、と双方が考えているから確執がおこるのですから当然です。

それぞれが自分の信念に基づいて、「相手を変えよう」とするのです。
親は後継者に対して、自分のコピーのように振る舞うことを求めるでしょう。
後継者は親を、自分のサポートとして自由自在に動かしたいと思うでしょう。
お互いが相手を操り人形のように操りたいというのですから、滑稽な話です。

この確執状態を抜け出すには、この「相手を変えよう」という気持ちを捨てることから始める必要があります。
もちろん、だからと言って相手にすべてを合わせて受け身になれ、というつもりはありません。
シンプルに言うと、「変えられるところは変える努力をし、変えられないものはそれを受け入れる」という事を徹底すればいいのです。
相手がワガママだとしたら、それを他人が変えることはできません。
ワガママな相手を前提として、そこから降りかかる火の粉をかぶっても大丈夫な自分になればいいのです。
そこで、私が意識した3つのコツ、「てへ、ぺろの魔法」・「何とかなるの法則」・「生涯初心者の心得」についてお伝えしたいと思います。

①見せたくない部分を先に見せる

これまでそこそこまじめで、小さくまとまっていた私が、キレて得たものがありました。
一旦キレて思いのたけを吐き出したとき、逆に妙に冷静になることができたのです。(だからといって、キレることはお勧めしませんが・・・)

それまで私は、自分が恥ずかしい思いをすることだけは避けたいと考えていました。
たとえば、会社の業績を落として、あそこの後継者は力がないとうわさされるとか、
会社をつぶしてしまって後ろ指さされるとか、
大ぶろしきを広げて実際には何もできていないと指摘されるとか、
リーダーシップを発揮できない弱い奴と思われるとか。

私は失敗した自分を他人に見られることが何より苦痛です。

だから、会社を引き継ぐことも何の問題もなく引き継ぎたいし、
混乱状態を作りたくないし、
そんな混乱の中でもがく自分を想像するだけで、恥ずかしいし、悲しいし、人間として価値がないと感じてしまうことに気付きました。
しかし、考えてみれば、どうでもいい人に自分のことをどう評されてもいいじゃないかと思います。

だから、この時からある訓練を始めました。
それは、自分が恥ずかしいと思うことをさらそう、と。
人にバレるのが怖いなら、先に自分でバラしちゃえ、と思ったのです。

たとえばYouTubeチャンネルを作りました。(後継者の方にも参考になると思われる内容もあるので良かったら見てみてください)
このチャンネル、はじめのころは動画再生数は一つの動画につき数回とかです。
超過疎ってますから、恥ずかしいです。
けど、あえて恥ずかしいことをさらし、SNSで拡散し、それを毎日やってます。
相変わらず過疎ってますが(3年以上やってチャンネル登録数230)、ある意味精神鍛錬です(笑)

他には、有名なビジネス書の著者のセミナーに行って、質問タイムが終わると駆け寄って「ツーショット写真」と「サイン」をおねだりに行くことを自分に課した時期もありました。
私は根がミーハーなので、今まで隠そうとしてたミーハー心を全開にしたんです。
(かつての私がそういう人を見たら、きっとミーハーな奴、とバカにしてたと思います)

もちろんこれだけでなく、自分が今まで隠したいと思っていたことをあまり隠さないように意識しました。
そして失敗すれば、笑って済ませる。

これを「てへ、ぺろの魔法」と名付けましょう。

そうやって、今まで隠そうとしてきたことを先に見せると、失敗するのがけっこう快感になってきました。
次に何が起こるかというと、新しい刺激を常に求めるようになってきて、行動の手数が増えました。

 

ところで、この「失敗を恐れない」ことと、親子の確執のどこに関連性があるのか?と思う方も多いと思います。
実は、意外なところでこれはつながっています。

今から振り返ってみると、「新しいことをしようとしたとき、親に制限をかけられた」というもっともらしい言い訳を盾にして行動を起こさなかったことは多いと思います。
失敗しないという事は、新しいチャレンジをしないという事。
そういうチャレンジへの恐怖心という自分の弱い部分を見ずに、親のせいにすることで自分の安全を確保していたことに気付いたのです。
私は、親がうるさい、という事をスケープゴートにして、自分が挑戦できないことの言い訳にしていたのです。

良く自問自答した時、同じような状況の後継者の方、私だけでないのではないでしょうか?

 

②何が起こっても何とかする、と覚悟する

親や社員を自由に動かしたい、と思う背景には「何か問題がおこった時に自分が大混乱する」ことへの恐れがあるのではないでしょうか。
まあ、びくびくしてるときに限って、親や社員はやらかしてくれます。
想定外の顧客とのトラブルだったり、親の場合はコンプライアンス絡みでマズい行動をするケースは多いでしょう。
そういった問題を起こさないためにも、自分の言う通り動かしたいと思うのです。

自分にとって想定外のことがおこれば、将来責任を負うのは後継者。
その責任を取るのは結構きついと思うから、どうか変な問題を起こさないでくれ、という気持ちから社員や親をルールで縛り付けようとします。

ただ、トラブルって、どれだけ逃げても追いかけてくるような気がしませんか?
どれだけこちらが正しいことをやっていても起こりだすお客様はいるし、どれだけ気にかけてもおかしな問題を起こす社員は出てくる。
ルールで縛って解決できる問題はあるかもしれませんが、そうすればそうすると別の問題が起きてきます。
どうせカリカリとしながら「不測の事態ゼロ」を目指しても防ぐことができないなら、そもそも問題は起こるもの、という心構えにかえるだけで結構気楽になるものです。

そして私たちは、今まで経験したことのない問題を遠目にみていると、実際以上に恐怖心を抱くことがあります。

たとえば、学生時代に初めてのクラブ活動で、
或いはバイト先などで、
「こんな動作や仕事をこともなげにできる先輩ってすごいなー」
と思ったことはありませんか?

自動車の運転を教習所で習い始めたとき、自分にこんなことはできそうにない、とあきらめたくなったことはありませんか?

そうやって物事の入り口から覗いていると、果てしなく難しそうに見えることが、たいてい1年もすれば鼻歌交じりでできるようになったりすることもあるのではないでしょうか。
やったことのないことをやり始めたときは、とてもではないけどできそうには思えないことの連続を私たちは生きてきたのではないでしょうか。
しかし、結果としてそのほとんどのことをできています。

そのことを思い出せば、今目の前にある未来に対する不安や恐怖も、こう思えて来ないでしょうか?
今は難しく見えるけど、一生懸命やれば、簡単にこなせるようになる、と。
それは、ルーチンな仕事はもちろんですが、突発的な問題への対処も同様です。
経験を積めば大抵のことをできるようになる。
だから何が起こっても大丈夫。
そう考えることを「自信」といいます。

これを、「なんとかなるの法則」と名付けましょう。

遠くから見てるから怖いのですが、渦中に入れば雑念を気にしてる暇はないのです。

この法則を受け入れることができれば、親や社員が自分の想定外の動きをしても、「しゃーないなー」と舌打ちしながらも、起こる問題に冷静に対処できるようになります。

 

③不慣れな環境を楽しもう

唐突ですが、人間が生きる目的って何だと思いますか?
これをすごーく抽象的に表現すると、「幸せな日々を過ごす」という事じゃないかと思います。
実は、このこと、あのアリストテレスも言ってますし、最近の人だとZOOMの創業者エリック・ヤン氏も言ってます。

じゃあ、「幸せ」ってなんでしょう?
幸せって、なんにもない平和な日々・・・と言いたくなるかもしれませんが、それってたぶん退屈です。
毎日同じことを延々と繰り返して、突発的なことが何一つ起こらないって、1週間超えたらこう思い始めると思います。
「ゼンマイ仕掛けのように同じことを繰り返す自分に、これからも毎地同じことを繰り返す必要はあるのか?」と。

同じことの繰り返しするなら、10回くらいが関の山です。
それを何十年も繰り返すなんて、ぞっとします。

普通で言うと80年くらいある人生を一つの物語として考えたとき、やっぱりそこそこ起伏があったほうが
「ああ、人生を全うしたなぁ」と思えるんじゃないかと思います。
で、その「まっとうした感」はどこから来るかというと、私は「一生懸命打ち込む時間」が大事なのです。
結果が伴えばベストですが、たとえ結果が伴わなくても、一生懸命集中してやり切ったことって、すごく充実感がありませんか?

危険な雪山にチャレンジするアルピニストは、登頂という結果を目指しますが、そこに至る過程を楽しんでいるんじゃないでしょうか。
だから、ある山を制覇すると、次の山を目指すわけです。
ここでいう山は、一般の方で言うと目標のようなものでしょう。
つまり、私達は、充実した人生を送りたいなら、「挑戦し続ける事」が必要になります。

挑戦とは変化です。
人は変化を恐れますが、すでに「てへ、ぺろの魔法」を身につけた方は、比較的軽やかに新しいことにチャレンジできるようになっているはずです。
さらに、「なんとかなるの法則」を知っていたら、その思いは加速しそうですね。
それらをフル活用して、不慣れな環境にこぎ出す。

この行動パターンを、「生涯初心者の心得」と呼びましょう。

3つのコツでなぜ親子の確執が解消へ向かうのか?

攻撃を無力化できる!?

私は、親子の確執がおこり、キレた結果、
・てへ、ぺろの魔法
・何とかなるの法則
・生涯初心者の心得
を意識し始めた。

これと、親子の確執は何の関係もなさそうに見えるかもしれません。

前述の通り、親子の確執は親と子が反対側に立って、相手を変えようとする行為です。
なぜ、相手を変えようとするかというと、その方が楽だからです。
また、てへ、ぺろの魔法でも少しお話ししたとおり、相手に自分の主張が通らないことを自分が動けないことの言い訳にしている部分もあります。

であれば、まず相手の考えを冷静に受け止めます。
今までは相手の考えを受け止めることなく、反射的に自分の考えを押し付けようとしていたのではないでしょうか?
これは、自分の権利を守ろうと必死な状態で、余裕がない状態と言えます。
たいてい親は自分の弱いところを攻撃してきますから、後継者としてはダメージを受けやすい。
時として、他の社員の前で後継者をなじったりすることもあり、後継者の尊厳はズタズタになることもあります。
それを恐れて、そうなる前に反撃しようとして、脊髄反射的に反論しがちです。

それは、たとえばてへ、ぺろの魔法をマスターしていれば、「すでに弱い部分、苦手な部分」を公にしてるので、何を言われてもダメージを受けません。
何かを言われて、不安になる時も「何とかなるの法則」を知っていれば、うろたえません。
何とかなるさ、と開き直れます。
つまり、相手の攻撃を無力化できるようになります。

その結果、すみわけというのでしょうか、一緒に会社にいる一方で、ある程度双方を尊重した関係ができ始めました。

そうやって冷静に親に対応できるようになると、今まで見えなかった親の弱さや、親の愛情といったものが見えるようになってきたりもします。
そうなれば、親との新たな関係も始まるかもしれません。

もし、親子経営の中で、確執に苦しんでいる後継者の方がこの文章を読んでくださったとしたら、この三つのコツ、ぜひ試してみてほしいと思います。
これは親子の確執から抜けるだけでなく、その後の人生をより豊かにするスキルとして役立つのではないかと考えています。

このような話題、後継者ONLINE倶楽部で、意見交換をしてみませんか?
必要に応じて、直接アドバイスや相談もさせていただきます。

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