親から継いだ家業が古臭い。
もうこのままいけば、どう見ても営業は難しい。
そう感じている後継者・跡継ぎの方は多いのではないでしょうか。
本日のブログは、
企業になぜ寿命があるのか?をあきらかにし、
後継者・跡継ぎの本来的な役割を明確にします。
そしてそこに向かうヒントをお届けします。
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Contents
多くの事業は「寿命」を迎えている
中小企業の廃業が増えている背景
様々な報道で、「後継者がおらず廃業する中小企業が多い」という情報をよく耳にします。
もしそれが情報として正しいなら、なぜ後継者がいないのでしょうか?
理由としては、いくつか考えられるものがあります。
たとえば・・・
・事業の魅力が後継者に伝わっていない
・事業の将来性に対して悲観的な観測しか出てこない
・親と働くという事そのものがイヤ
など、様々なものがあると思います。
最後の「親と働くのがイヤ」というのは、実は30年前からありました。
それは親と働くことそのものというより、「敷かれたレールの上を歩いている」という感じがイヤだったというケースが多いと思います。
なんにせよ、子どもが親を継ぐというのは、当たり前と言われていたわりには、必ずしも歓迎されていなかったわけです。
それでも30年前なら、まだメリットはありました。
なんだかんだ言って、ソコソコ会社が安定しており、儲かるイメージがありました。
しかし今や、家業を継ぐ中で「がっぽがっぽ儲けられる」と思って継ぐ人はほとんどいないのではないでしょうか。
企業の「寿命」
1980年代の日経ビジネスの調査によると、企業の寿命は約30年という事でした。
今は、もっと短くなっていると言われます。
では生き物でもないのになぜ、寿命があるのでしょうか?
それは私は、企業の組織の寿命というよりは「商品やサービス・ビジネスモデル」の寿命ではないかと考えています。
これは創業社長の生涯を追っていくとなんとなくイメージしやすいと思います。
中小企業は、たいてい創業社長が30歳前後で起業されます。
その頃には、まだ市場に普及していない商品やサービス、ビジネスモデルを社会に紹介します。
しかし、まだ世に普及していない者だけに、すぐには世の中に受け入れられません。
どうにかこうにか苦労して、10年くらいたって売り上げが立ち始め、会社のピークを迎えるのがさらにその後10年くらいの間でしょうか。
創業者年齢として、40歳くらいで会社にゆとりができ始め、50歳くらいでピークを迎えます。
しかし、こんどは、社会には競合商品や代替商品があふれ始めています。
つまり、ずっとメインで取り扱ってきた商品・サービス、ビジネスモデルが古くなってきます。
しかし30年来この仕事で飯を食ってきた創業社長に、これから30年を食つなぐ新しい商品を探せと言っても難しい。
なぜなら、旧来の商品でとりあえず飯は食えてる(つまり切実ではない)上に、新しい商品は失敗するリスクが高いからです。
そのチャレンジができない企業はそのまま下降線を描く。
そんなカラクリがあるのではないかと思っています。
中小企業の廃業はそんなに問題なのか?
廃業率より開業率
ここに中小企業庁の資料があります。
これを見る限り、廃業率は2015年時点においても決して高い水準とは言えなさそうです。
むしろ問題なのは、開業率の低さです。
1980年代は圧倒的に廃業率より開業率のほうが高かったのですが、2000年からの数年は、廃業率が開業率を上回っています。
この話と、先ほどの「企業の寿命」を掛け合わせて考えると、こんな疑問が頭をもたげます。
家業を同じ事業のまま続けることに果たして意味があるのだろうか?ということです。
会社を継ぐとしたときに、後継者の役割は次の30年会社を支える商品・サービス、ビジネスモデルを見つけ、作り、育てること。
だとすれば、事業を継ぐというよりかは、あるものを活かすという考え方がしっくりくるように思います。
社内起業
ここで浮き上がってくる、後継者・跡継ぎの仕事があります。
・会社の未来の売上のために働く
・これまでとは一味違う提案を社会に行う
という二つの仕事です。
まず、会社の未来の売上のために働く、というのは実は社内ではだれもできない仕事の一つです。
なぜなら、これまでは「今すぐお金になる仕事」しか社内で評価されなかったからです。
営業はこの四半期、今月、今週、今日の売上がすぐに現金化されます。
だから社内での「花形」の仕事と言えるでしょう。
営業がとってきた仕事を、納品できる状態にする製造部門もまた、それがあるから今日の現金につながります。
しかし、そこに終始するから会社の寿命は「30年」で終わるのです。
終わらせないためには、今は売上にはつながらないけど、未来の売上につながる商品・サービス、ビジネスモデルの実験を繰り返さなければなりません。
これは「今すぐ売上が上がる」仕事をしていなくても、(風当たりはキツイけど)なんとか会社に居座れる後継者しかできません。
言ってみれば社内起業のような立場と言えるかもしれません。
そして、起業家はその事業がうまくいかなければ、会社は倒産ですが、後継者は会社の売上が従来の商品で保たれているあいだに未来のビジネスをテスト出来ます。
とてもいい形での起業ができるのが、後継者の立場と言えるでしょう。
これが、「敷かれたレール」を逸脱できるルートともいえるでしょう。
「未来のビジネス」はどこから生まれるのか?
親の会社を見回してみる
古臭く見える親の会社。
実はここには宝の山があります。
たとえば、特定の作業に秀でた熟練の社員。
これまで何十年もの間に培ってきた技術や、設備機械。
そして様々な経験。
まずはじめに、こういった会社がもっている有形・無形の「資産」をチェックしてみましょう。
これらを活かせるフィールドは、これからの時代にないものでしょうか?
この時に、自分たちが「〇〇業である」というセルフイメージは捨ててください。
たとえば、「私たちは印刷業だ」と言い切った時点で、印刷から抜け出すことはできません。
もちろん同じ印刷でも、技術を応用することで例えば食品のデコレーションなどに参入することも可能でしょう。
しかし一方でたとえば、印刷そのものよりも価値ある「コンテンツ」を届けるという風に考え方をシフトすると、違ったビジネスが生まれるかもしれません。
顧客が印刷を通じて、社会にどんなインパクトを与えようとしているかを深く考えて行くと、これまでとは違った提案ができるようになる可能性はありそうです。
それらもすべて、まずは自分たちがもっているリソースをリスト化することからです。
そしてこういったリソースは、今までは同業他社との比較でみてきました。
しかし、同業他社と競うことは、これからしばらくは無意味です。
なにしろ、後継者は新たなビジネスを創り出すのですから、その業界とはおさらばです。
同業他社の中では劣っていても、一般の顧客よりかは優れているポイントを着目してみてください。
あるいは、異業種がやりたくてもできないことを、自分たちはいとも簡単にできるポイントに着目してください。
その時に本当の自社の強みが見え始めます。
会社のルーツはどこにあるのか?
もう一つのヒントは、創業社長が何を思ってこの事業を始めたか?というところにある事があります。
たとえば、食品製造業をスタートさせたとき、なぜそのように設備投資が必要な事業を始めたのでしょうか。
そこにはそれなりの理由があるはずです。
その結果が今の会社なのですが、今の会社が何を(what)やっているかはいったん無視して、なぜ(why)それを始めたかに着目していきます。
創業社長は食べることで貧しい思いをしたから、日本中においしいものを安価で提供したいと考えたのかもしれません。
もしそうだとすれば、社会としては今はすでにおいしいものが安価で出回っています。
ではその思いをさらに発展させ、今の社会にアジャストさせるとどんなことができるでしょうか?
最近は賞味期限が切れた食品を売るスーパーがあるようですが、そんなアイデアも出てくるのかもしれません。
何をやっているかを考えるところから、なぜやっているかを考えてみると、今まで見えなかった会社の側面が見えてくるかもしれません。
いつもとは違う角度から会社を眺めてみる
手術室にある「無影灯」はご存知だと思います。
天井にある、たくさんの電球は反射板のある、影のできない照明のこと。
これは沢山の乱反射を興すことで影ができないよう工夫しているようです。
会社もそんな光と似た側面があると思います。
今まではある一点からの光で会社を見ていたのだと思います。
すると当然、ある姿が鮮明に浮かび上がる半面、影の部分も色濃く見えます。
後継者にとっては、この影の部分にとても強い印象を受けるのだと思います。
なぜならそれは、自分が会社を継ぐ際のリスクだからです。
しかし、そんな会社もたくさんの光を乱反射させることで、違う姿が浮かび上がっていることもあります。
そのツール―を使って、新しいビジネスをこの世に生み出すこと。
後継者・跡継ぎの役割はそんなところにあるのではないでしょうか。
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