情報を業界縛りで見ている後継者は成長しない!?

今から約1年前、私は親子で経営を継承するための本を出版しました。その際に、私がかかわる家業の業界におけるイベントで即売会をさせていただきました。そこで、若い後継者の方がこんなことを尋ねられました。
「この本は、自分の業界に特化して書かれているんですか?」
私は「特化してないですけど使えるはずですよ」とお答えし、無理やり(?)買っていただきました。

業界に特化した情報・・・。
彼は何を求めていたのでしょうか?

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正しいことと誤ったことがあると信じている不思議

 

「答え合わせ」をしたがる後継者

跡継ぎ・後継者という立場に関わらず、人は何事にも正しいやり方と、誤ったやり方があると決めてかかることが多いようです。たとえば、会社経営とはこうあるべき、というなんとなくのイメージがある。特に、零細企業の後継者となると、大企業のマネジメントが正しいやり方で、自分たちのやり方は原始的と考えがちです。そういう跡継ぎ・後継者にとっては「大企業のやり方が正解で、自分たちはその正解に近づくよう努力すべきだ」と思い込みがちではないでしょうか。

それは決して悪い事とは言いませんが、しかしそこへ向かっていくと、だんだんとその考えに疑問を持ち始めます。なにしろ、大企業の意思決定プロセスは複雑だし、形式的です。そういった企業との付き合いの中で、「アイツらは何て融通が利かないんだ」と文句を言うわけですが、そこに向かって進んでいるのだから滑稽な話です。融通が利かないならそれはそれでよしとすればいいのですが、中小・零細企業が大企業と同じやり方をして、彼らより優位性を保てるでしょうか。たぶん、中小・零細企業においては、フットワークが結構大事で、阿吽の呼吸で顧客とのやり取りができるダイナミズムこそが持ち味な場合も多いと思います。だから、あえて、「大企業がやっていることが正解ではない」ということを私自身は体験の中で学びました。

じゃあ、正解はどこにあるのでしょうか。今だから言えますが、誰にでも当てはまる正解なんてどこにもありません。それでも「うまくいく」という確証が欲しいのが私たち跡継ぎ・後継者の立場です。失敗は許されないような気がする私たちの立場は、それなりに実証された方法だけを使っていきたいものなのではないでしょうか。

「業界特化」の情報は「模範解答」という誤解

冒頭の「業界に特化した内容ですか」と聞いてくれた若い跡取り息子君。彼の質問をもう少しわかりやすく翻訳するとこうなります。「この本に書いてある通りやれば上手くいきますか?」
売り手としては「もちろん!」と言いたいところですが、本音レベルでいうとそりゃあ無理でしょう、と私なら答えます。なぜなら、やり方が分かったからと言っても、うまくいくとは限らないからです。使い古された話ですが、自転車の乗り方を考えてみてください。自転車の乗り方は、本でも学べます。けど、実際のバランスのとり方は、実地でやって体で覚えなければ絶対にでできるようにはならないはずです。跡継ぎ・後継者としてのふるまいも同様で、理論やノウハウを詰め込めば、やり方はわかるかもしれません。しかし、わかるのとできるのでは圧倒的な差があります。だから最後はやってみるしかないのです。

では、自分の業界特有の事業承継の模範解答をまとめた巻物みたいなものがあって、跡継ぎ・後継者はその通りに振る舞ったとしましょう。何が起こるかというと、「思っていた事とは違う」経験がそこには待ち受けています。そして、その思いもよらない経験に一つ一つ対処していき、右に振れたらこういうことをし、左に振れたらこういうことを試し、ということの積み重ねの結果できるようになるわけです。その時にはもしかしたら、はじめに手にしていた教則本とは全く違うやり方になっているかもしれません。しかし、それはそれでいいのです。

模範解答を求め続けるリスク

会社をどう引き継げばいいかという問題に対して、同業他社の先輩に模範解答を求めると、実はそこにたくさんのリスクが潜んでいます。まず大事なのは、そのお手本が間違いであれば、あなたも間違った道を行くことになります。現時点で、業界の中でお手本になっているという人は、恐らくやっていることは古い。先進的なことをやっている人は、たいてい、変人として評価されないことの方が多いわけです。つまり、業界のスターみたいな人は業界の古い価値観におけるヒーローです。古いヒーローを追いかけて、つまりさらなる時差ののちに古いヒーローの成功パターンを踏襲する跡継ぎ・後継者はさらに古い企業を作り上げてしまうことになります。1970年代のように、まだまだ未来は同じベクトルで進んでいくと思えるような時代ならいざ知らず、世界中の価値観が変わりつつありますよなんて言われる2020年代においてその古さはかなり致命傷ではないでしょうか。

模範解答を求め続ける以上、先に模範解答を作る人より先に進むことはできません。先生より高い能力を示すことはできないというリスクを持つことになります。

では、皆さんの先生を皆さんがこえるポテンシャルを持っていないか?というと私はそうは思いません。どんどん変わる時代の中で大事なのは、昔に作られた模範解答のイメージ、いわば金型みたいなものに押し込んで作られる会社やマネジメントじゃないと思います。それって、やってる本人が一番しんどいと思います。大事なのは、業界のルールを逸脱していても、自分が正しいと思えることを進めることではないでしょうか。

「やり方」は成長へのきっかけでしかない

Photo MixによるPixabayからの画像

試行錯誤

以前、元メジャーリーガーのイチローさんがこんなことを言ってたと記憶しています。彼の活躍の背景には、自分をコーチする能力がある、的なことを。私なりに解釈すると、日々の練習の中で常にちょっとだけ変えてみて、その成果を見て、さらにまたちょっと工夫する。そういったことを、自分を俯瞰するような眼をもって日々積み重ねていくということをおっしゃっているのではないかと思います。多かれ少なかれ、スポーツの世界は野球、サッカーといった球技から、ダンスやバレエ、ヨガやランニングに至るまで、同じようなセルフコーチングが結構大事なんじゃないかと思います。常に自分をチェックし、改善していく。ちなみに、この改善することへの意識を失うとそこで成長が止まり、場当たり的な対応で「今日は良かった」「昨日は最悪のスコアだった」なんて言うことになるんだと思います。

それが上手になっていく過程では、いろんな微調整を試してみて、うまくいったものを残していくという過程が必ずあると思います。そういった過程なくして、果たしてうまく言出来ることが増える物なのでしょうか。

しかし私たちは、ビジネスやお金に関することだと、何か誤解をすることがけっこう多いのです。何かのノウハウを買えば、学べば、すべてがうまくいくような錯覚をイメージしたり、あるやり方を知るだけで目覚ましく業務が改善するとか簡単にお金儲けができると思い込んでみたり。もちろん、たまたまうまくいくこともあるとは思いますが、それが持続するとは考え難いと思われます。

つまり、やり方そのものを学ぶことも確かに大事なのですが、それはあくまでとっかかりです。そのやり方を学んだことで、背中を押されて行動を始めた私たちは、実はやり方そのものから学ぶというよりも、行動の繰り返しから学び、成長していくのだと思います。

学生時代の勉強においては、「解答」そのものも大事ですが、その「過程」が重視されることも多いと思います。数学で言えば、「式」だったりするわけです。それは答えを書くことそのものよりもむしろ、答えに至る道筋を学び、別の違ったパターンの場合でも答えられる地頭力をつけることが大事だからだと思うのです。後継者・跡継ぎは、やり方を求めるのは悪いことではないのですが、それはあくまでキッカケである、ということをしっかりと認識したほうが良いように思います。

応用のいらない同業者の情報

同業者の情報を欲しいと思う背景には、「そのまま使えそうな気がする」という一面もありそうです。なかなかインスタントな感じで魅力的ですね。ただこれもまた、すごく気を付けたいのは、考えるというステップを経ないため、やはり跡継ぎ・後継者を成長させることにはなりません。試行錯誤を削れば削るほど、リーダーとしての実力がつかないのです。これはなかなかの大問題。それでも手っ取り早く成果に飛びつきたくなるわけです。

急がば回れという言葉があります。もちろんたった一つの問題さえ解決すれば、親子の事業承継は完了します!という状態ならいいのかもしれませんが、大抵はそうではありません。なによりも、後継者が経験値を高める必要がある中で、タダの他社事例のマネってどうかと思います。たぶんそういうノウハウは、「やってみたけどウチには合わなかった」「試してみたけど自分には合わなかった」で終了になるんじゃないかと思います。なぜそう言えるかというと、私がずいぶんそういうことを繰り返してきたからです。経営やビジネススキルのみならず、自己啓発の世界でも、セミナージプシーと言われる人が結構いらっしゃいます。私もそんな時期がありました。こういうパターンに陥った時、「今すぐ使える何か手軽な方法」をずっと求めつづけている状態だと思います。試行錯誤を放棄しているんですね。そりゃあ、成功もどんどん遠ざかってしまいますから、なかなかに困った話です。

だから手っ取り早く使える情報ではなく、ひと手間かけなければならない情報を取るようにした方が、跡継ぎ・後継者にとっては長期的に見て良い結果が出るはずです。「試行錯誤」が前提だから、ちゃんと試行錯誤しながらやり遂げられる確率が高まるのです。

抽象化された情報は汎用性が高い

具体的であることは魅力的です。たとえば営業戦略であれば、
1顧客データをこういう条件で抽出し
2その顧客にこういうアプローチを行い
3顧客に対してこういう話をし
4こういった反論への対処を行う
なんていうマニュアルがあれば、きっと多くの人が飛びつくでしょう。

それはある会社では成果をあげた重要な情報だとは思うのですが、それがあなたの会社でも使えるかどうかは未知数です。考えてもみてください。あなたは同じことを親に言われた場合と、尊敬するビジネス界の先輩に言われた場合と、どちらがスッと心に入ってくるでしょうか?親の言葉は少し抵抗を感じる人も多いと思いますし、尊敬する人の言葉は重く感じる人が多いのではないでしょうか。逆の人もいるかもしれませんが、なんにせよ、言葉は誰が言うかでそのニュアンスが大きく変わるのです。

既存のお客様には何も連絡していないA社があって、毎月会報を送っているB社があった時、同じ営業スキームを試しても同じ成果が出るとは限りません。実はそういった細かな隙間を埋めていくことがとても大事なのですが、具体化した情報を手にしているとその情報が間違っている、という判断になりがちです。あるいは、情報は正しいけど何か実施の仕方が間違ってるに違いない、とそこに間違い探しをしてしまう。実際のところは、本来的な顧客との関係作りの差だったわけですが、そこには誰も気づかないわけです。なぜなら、マニュアルを作った企業でさえそのことに気付いていなかったからです。

しかしこれが、もう少し抽象化していたとすると、情報にたわみが出てきます。そのたわみは、そもそも実施者が埋めるという前提に則っているため、情報活用に際してはたわみ部分を埋める前提で使用します。ここに工夫や試行錯誤の余地ができるわけです。あっという間の成功は難しいかもしれませんが、その隙間を埋めるための努力は確実のそのチームやリーダーの経験値のアップには役立ちます。

自分を成長させる選択を

偉そうに後継者・跡継ぎの方にアドバイスをさせていただくとすれば、こういった時「安易にうまくいきそうなノウハウ」より、「自分を成長させる試行錯誤」が必要な選択をされることをお勧めします。どうせ「うまくいきそうなノウハウ」もすぐにはうまくはいかないのですから。
今すぐ使えそうなノウハウを手にすることで、本質的な成長を先送りすると、だんだんと年を取ってから大変になるんじゃないでしょうか。若い時期の苦労は買ってでもせよ、というのはそういったことなのかもしれません。

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