後継者

ふとした親の言葉に見る跡継ぎと先代の関係に潜む問題点

子が親の会社を継ぐに際して感じる、
不安、不満、困難や、不自由さ。

その根源はどこにあるかというと、一つはやはり
「親子」という関係性にあるのかもしれません。
それをある、小さな子を持つ親の言葉から感じることがありました。

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「だんだんと、言うことを聞くようになって成長したな、と感じてます」

幼稚園のお子さんを持つあるお母さんが何気なく言った言葉です。
なんだか重箱の隅をつつくようで申し訳ないのですが、この言葉が表すことはこうではないでしょうか。

親のいう事を聞く = 成長

もちろんその子はまだ幼稚園です。
だから、人から言われた注意をしっかり受け止め、自分の行動に反映させることができるようになったという意味では成長と言えます。
じゃあ、その感覚は、どのくらいの年齢になると変わってくるのでしょうか。

一般的には、高校卒業の18歳前後や、成人したころが一つの区切りになると思われます。
その頃になると、

独り立ちする = 成長

という事になりそうです。

Daniela DimitrovaによるPixabayからの画像

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、厄介なのが、言葉のニュアンスが変わっても、気持ちの部分で変わっていない可能性はけっこうありそうな気がします。
一般的にいえば、独り立ちという事は、親の庇護から抜け出して、一人で生きていくことが基本だと思います。
動物だとたいていは、一度巣立てば親の元には帰らないと思います。
けどときおり耳にするのは、親が年をとったら親の面倒を見なければならない、という一般的な考え方です。
ある一面においては独り立ちを推奨し、ある一面においては親を養うべきという考え方がある。
じゃあ、どっちをとればいいのか、って話ですね。

こういう時、たいてい人は、自分が都合のいいほうを無意識に選ぶのです。

 

親の立場としては、独り立ちせよというわりには、子どもに親のいう事を聞くように、という要望が強いと思います。
子どもが自分の会社に入ってくるということ、それは親にとっては「独り立ち」を先延ばしさせることなのかもしれません。
だから、ああだ、こうだと干渉します。

子としては、そういう状況がとても煩わしい一方、親が常に目を配ってくれている感覚があるから少し安心もします。
本当にヤバいときには、親に助けてもらえるというちょっとした下心というか、そんなものがあるんじゃないでしょうか。

そもそも子供としては、ずっと小さなころから服従させられてきて、「親の言うことこそが従うべき事」と教えられてきています。
そういったちょっとした洗脳的な強い刷り込みは、すぐには消えることはありません。
「いう事を聞く」から「独り立ちする」というところへのフェーズの転換はけっこう大変なんですが、独り立ちしようと心を決めても親がそばにいるので干渉は避けられません。
なにより、いつも自分で何かを決める前に親が決めてきたことが多かったので、自分で決めることに一抹の不安を感じずにはいられません。

お互いに葛藤がある状態なわけです。

親は「独り立ちさせるべき」と思っているけど「干渉」が止まらない。
子は「干渉」から抜け出そうとおもうけど「独り立ち」に対しては不安に感じる。
親子での事業承継というのは、端的に言ってしまえば、そんな親子双方が成長することが求められています。
しかし、多くの場合それができない。
というより、その問題の本質に誰も気づかないのです。
だから、お門違いの対策ばかりをうっては、「効果がない」と頭を抱えるのです。

 

跡継ぎ・後継者にとって、不安を感じるのは言ってみれば当たり前です。
やったことのない事をこれから成し遂げなければならないのですから、不安にならないほうがおかしい。
そこで人は、不安という感情に蓋をしようとしがちです。
なぜそう思うかというと、「後継者 不安」などというネット検索がけっこう多いのです。
この質問だと、共感を感じる情報は見つかるかもしれませんが、不安を克服する方法は見つからないでしょう。

経営に限らず不安を乗り越える方法ってどんなものが感じられるでしょうか?
不安を感じる行動に対して、学び、練習することです。
じゃあ、そこに対してどんな努力をしているでしょうか?
ビジネス書やビジネスセミナーに足しげく通うとか、
尊敬する経営者に教えを乞うとか、
立派な後継者に会いに行くとか、
そういう行動、意外ととっていなかったりしませんか?
そうだとすると、たぶん問題解決の糸口は見つからないでしょう。

 

話を元に戻しましょう。
親子の事業承継というのは、親子の人としての成長が求められます。
子である後継者は、親の成長をもとめ、
親は子の成長を求めます。
しかし、気をつけないといけないのは、おたがい、
自分ではなく相手を動かそうとしている
という現実です。

ハッキリ言いますが、個別の行動レベルならいざ知らず、思考から他人を変えるのは限りなく不可能に近い行為です。
私たちは、親子でその不可能に近いことを相手にたいしてもとめようとしているのです。
それよりももっと簡単なことは、自分を変えることです。

自分の行動を変えるのはもちろんですが、自分が知覚する世界に対する意味付けを変えるのです。
少し難しい表現かもしれませんが、その内容はセミナーなどでお伝えしています。
もしよかったら、開催情報などをチェックしていただけると嬉しいです。

 

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