後継者

跡継ぎとして親の会社に就職した私がやる気を取り戻した経緯

たいてい、何かを始めるとき、その時点でやる気がない人はあまりいないと思います。
はじめての環境、初めての就職、初めて手掛ける仕事・・・
夢をもって仕事に取り組むわけですが、跡継ぎの多くは前向きに仕事に取り組むことが苦痛になってきます。

私もご多分に漏れず、そういた状況にあり、会社に行くのさえ億劫になった時期がありました。
そんな私がいま、それなりに楽しく仕事をしている現在まで、どんな経緯をたどったかを少しお話ししたいと思います。

 

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大学を卒業し、すぐに親の仕事を継ぐことになった私。
少しの間同業者さんでお世話になったものの、1年を待たず親の会社に戻りました。
そこではじめにぶつかったのは、営業における壁でした。
まったく売れないのです。

もともと人当たりは悪くないほうで、中身はどうあれ誠実そうに見られていた私。
なぜ売れないかがよくわかりません。
後から考えると、自分の個性をかなり押し殺していたからだと思うのです。

たぶん私だけではないとは思うのですが、例えば学生時代に学校で見せる自分と、
親の前で見せる自分は全くの別人、ってことは多いのではないでしょうか。
イマドキのお子さんはそうでもないかもしれませんが、私の場合は親の前では「品行方正」であるべきだという思いにとらわれていましたし、
親の前で下ネタとかいえないわけです。

すると、随分抑えたキャラ(というかもはや別人)で仕事をしなければなりません。
当然ですが、自分を抑えたまま成果を上げるって、けっこう難しい。
結果として、自分は仕事があまりできない、という思いを自分に植え付ける期間となってしまいました。

で、できないことは楽しくない。
しかも、自分の本性を隠し続ける毎日。
結局は、面白くない、という風になってしまいました。
このころ、仕事に対するモチベーションは、ゼロというよりマイナスでした。

Esi GrünhagenによるPixabayからの画像

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、長い人生、このまんま、というわけにもいきません。
私なりにもがきました。
営業がうまくいかない、というトラウマがありますので、売上げ恐怖症になっていた私。
とにかく目指す結果は、売上げアップだ、という事になります。
そして営業せずして売上を上げる方法をすごい勢いで勉強しました。

具体的にはDMの書き方とか、マーケティングとかです。

じゃあそれを実践してみよう、とおもうとそこそこコストがかかるわけです。
DMを郵送するにも、印刷代や郵送代、名簿を集める必要がありましたし、
WEBサイト作るにも、当時は莫大な費用が掛かりました。
それを、言い出せないんです。
自分はちゃんと売り上げが挙げられてないのに、会社のお金使うなんて。

まあ自分のポケットマネーでちょっとした実験はしましたが、あまり大きく展開はできません。
で、当時は、「言い出せなかった」だけで、親から止められたわけではないのですが、なんか親に制止されていたような気がしていました。
それはたぶん、ウチの親がよく言う「実績が上がるならやればいい」という言葉の影響です。
実績が上がるかどうかわからないから、できない、というのが当時の私の解釈。
ああ、なんと自分に自信がないか、今から振り返っても赤面してしまいそうです(苦笑)

 

営業はできないし、DMやWEBのテストはイマイチ進まない。
実績を残せない自分と、いずれ会社を背負わなければならないという未来の自分を頭に浮かべて、もう不安しかない状態です。
何か起死回生の一発で実績を出せたら、なんて思うのですが、なかなかそんな目もありません。

特にこのころは、社内のマネジメントを少しやり始めていたころ。
緩い形ではあったのですが、自分の方向感と親の考えとが違うんだな、というのをおぼろげに感じ始めたころです。
父はこの仕事(保険代理店)の代表というのは、営業ができる人間であり、社員の分も社長が稼ぐべき仕事と考えていたようです。
私は営業ができないから、というのもあったのですが、その考え方に真っ向反対でした。
それならば別に会社組織にする必要なんてないじゃないか。
そう反発していました。

私は自分の能力の足りない部分を、会社全体をチームとして作り上げることでカバーしようとしました。
しかし、ことごとく父はそういった取り組みを取り潰してきました。
いえ、父はそれをつぶすつもりはまったくなかったのですが、私のやっていることを単に理解できず、自分流を通しただけです。
だから悪気はまったくないだけでなく、私が父のふるまいに怒っていることが理解できなかったことと思います。

Ben KerckxによるPixabayからの画像

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このころイラついたのは、社内ではそれなりに責任のある地位にいました。
しかし、社員も、社外の人間も、すべての判断を父に仰ぎました。
そして、父は私に聞くようにと促せばいいのに、そんな風にはしません。
私の決定は誰も重視しません。

ああ、自分ってないがしろにされてるなぁ・・・と。
自分はこの会社に必要とされてるんだろうか?
たぶんただのお荷物なんだろうなぁ。
そんな思考がぐるぐる回る時期がありました。

 

けど、こうやって書いていてもよくわかるのですが、
当時の私は周囲がおぜん立てをしてくれるのを期待し、
どうせ俺なんて、といじけていて、
自分を抑えていい子ぶって、
できない自分を責めるばかりで、
狭い思考の中に閉じ込められていました。

お恥ずかしい・・・。

 

けど、跡継ぎの方の相談を受けてると、けっこう近い話がよくあります。

 

じゃあそんな私が、どうやってこの自信がなくて、ヤル気のない状態をぬけだしたのかをお話しします。

STEP① 自分を偽っていることに気付いた
一番初めにある気づきがありました。
その気づきを促したのはいろんな出来事ですが例えば、私の血液型はO型なんですが、
お客様からは必ずA型じゃないかと言われていました。
それは「きっちりしている」という誉め言葉にとっていましたが、逆に言うと、
本性を見せていないんだな、という風にとらえることができます。

人は自分を偽って大きなパフォーマンスを得ることは難しい、と感じ始めていたので
自分の本心と、周囲の人の評価のギャップに注目して、自分がどんな風に自分を見せたがるのかに気付きました。

さらに言うなら、よく「完ぺき主義」と言われていました。
しかし、自分ではそんなこだわり派ではないのでこれもギャップでした。
ここで言う完ぺき主義というのは、「失敗しないところまで作りこまないとアウトプットしない」という意味で、
ネガティブな言葉を使うなら、「手数が少ない」という事がそう評されていると感じました。
そこで、未完成のものでも出すよう心掛けました。
(ちなみにこのブログは、誤字脱字が満載だと思います笑)

STEP② 自分が正しいと思っていることを疑ってみた
自分を偽っている、つまり他人ばかりではなく、自分さえも自分は騙している、と感じた私。
そこで、自分として「これはこうやってあたりまえでしょう」とか、「経営者である以上これは常識でしょう」といった、
一般的に信じられていること、自分がそれが正しいと信じていることを、思いつく限り疑ってみました。

仕事に関して言えば、父の仕事は保険の販売店。
そういったときに、メーカーとの関係性や、同業者との関係、私たち自身のプロフェッショナリズムなど、
この業界の中で言われている「常識」めいた話を全て疑ってみました。

すると、たくさんの「非常識」が見えてきました。

STEP③ 孤独の先に見つけたもの
業界の常識を疑い始めると、業界の仲間との関係性がギスギスすることがあります。
ソコソコ孤独を感じることもあるのですが、すると、今まで会うことのなかったタイプの人や業界の人との出会いを自然に求めるようになります。
というか、そういう人たちと出なければ、心が通じ合えないような気さえすることがあります。
すると、何が起こるかというと、私自身の視野が広がりました。
結果として、業界という狭い囲いの中で自分の会社のビジネスを見るのではなく、もっとひろい囲いの外側から自らのビジネスを見ることができるようになります。

その結果、今までだったら見えなかった、会社の将来像の選択肢が見えてきました。
これはなかなか楽しい。

・・・ということで、私は私なりの経緯をたどって、仕事の楽しさを見つけてきたように思います。

で、その仕事の楽しさというのは実は、仕事そのものをどうこうするという事から始まったのではなくて、
自分自身の姿勢というか、視点を改めることから始まりました。

すべての人にこういう話が当てはまるかどうかはわかりませんが、もし参考になれば幸いです。

 

私自身は、自分のあり方を変えることで、自分なりの道を見つけたような気がしています。
そういったことをセミナーや、書籍などを通じて多くの方にお届けしたいと思っています。
良かったら是非、そんな情報も見てみてください。

 

 

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