後継者

ゆとりのあった親の時代と、ゆとりのない後継者の時代

会社を後継者が継いだら、会社の業績がダウンした。
時々そんな話を耳にすることがあります。
そうして慌てふためいた後継者は、けっこうムチャをする。
そして更なる業績悪化に拍車をかける。

良くあるパターンじゃないでしょうか。

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先日たまたまtwitterで「職人の修業」に関する話が出ていました。
もはや職人の修業なんて時代遅れ。
マニュアル化で対応可能。
そんな話が中心でした。

私は一部賛成の部分はありますが、すべてがマニュアルで解決するとも思っていません。
やはり微妙な差というのは、マニュアルではどうにもならない部分です。
何度も繰り返し経験し、その中で培われるセンスのようなものはあると思っています。

一方で、今の時代、社員にいつまでも修行をさせる余裕がないのが中小企業の実情ではないでしょうか。
たしかに一人前になるまでは、何度も何度も繰り返し同じ作業をさせたい。
しかし、それだけの仕事量がないので、その機会を与えられない。
また、そんな全体の一部でしかない作業に人を貼り付けていられない。

昔から、それなりに社員が使い物になるには3年くらいかかると言われていました。
私の感覚でいうと、3年というのは「マニュアル化されにくい個別対応」への知恵をもつのに3年程度かかるという意味だと思っています。
確かにそれくらいになると、内外から非常に信頼される社員になるのですが、世間はそんなに悠長に待ってくれません。
半年で一人前になれ。
これがだいたいの企業における目安ではないでしょうか。

 

職人芸を期待できるほど熟練させる仕事と時間がないから、
人はセンスを磨くことができなくなります。
センスを磨くことができないから、平板なマニュアルでできる範囲のことで仕事を済ませようとします。
そしてマニュアル化できることは、たいてい機械で代替が可能になります。
中小企業は、そんな世間の「常識」に惑わされて、右往左往します。

Free-PhotosによるPixabayからの画像

 

 

 

 

 

本題に話を戻しましょう。
企業にはゆとりがなくなりました。
昔のように、下働き的な仕事で「職人」を働かせるほどの金銭的なゆとりもありません。
また、そういった下働きをタダでもいいから学びたいという人材もあまりいません。
さらにいうなら、最低賃金やら働き方改革やらで、例外が認められない世界になりつつあります。

つまり、これまでのやり方を許さない社会になっているのです。
当然、働き方だけではありません。
商品やサービスのあり方もまた、スキのない状況になりつつあるでしょう。

もはや昭和の緩い会社ではやっていくことができません。

 

そういうタイミングで、中小企業の代替わりはやってきます。
代替わりの瞬間、売り上げ減少が始まります。
なぜかというと、「取引先の代表が変わったし、今まで惰性でやってた取引をこの機会に見直すか」という顧客が続出するのです。
何かが変わる(取引先の代表が変わる)というキッカケが、顧客を動かすきっかけになります。
そして、「よくよく考えたら、もうこの会社との取引はあまり意味がなかったね」ということになる。
その価値はすでに失われていたのですが、変化のきっかけがあったせいで見直されてしまったという可能性があります。

つまり、後継者の問題ではない場合も結構あるのです。
すでにビジネスモデルが「終わっている」会社、代表が変わった時にそれが露呈したということなのです。

しかしそんなことが起こると、周囲は騒ぎ始めます。
後継者がしっかりしないから会社は傾いたぞ、と。
一番慌てるのは、後継者自身ですね。
そんな時に慌てふためいて、とる対策はたいてい裏目に出るものです。
営業強化を行い、社員のモチベーションを下げたり、顧客の信頼を失ったり。
社内のモチベーションを上げようと打つ手は、社員をシラケさせたり。

Ryan McGuireによるPixabayからの画像

 

 

 

 

 

そういう時には、まずは深呼吸が必要です。
本当は何が問題なのか、を考えることが大事です。
そして内外の「声の大きい人」のいうことには特に注意してください。
たいてい彼らの指示は間違えます。

人の意見を聴くことは大事ですが、最終的に何をやるかは自分で決めてください。
自分で決めさえすれば、何とかなるものです。

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