後継者

後継者にとって「儲けたい」は「自信を得たい」

手っ取り早く儲けたいなぁ。
私が若いころ、ずっとそんなことを考えていました。
いえ、今なお、その考えが捨てきれないことを白状しなくてはならないかもしれません。

手っ取り早く儲けたいということは、余計な回り道をすることなく結果を得たいということ。
その結果というのは、「儲けたい」という文脈から言えば、「お金を得る」ということになりそうです。
しかし、それはほんとうなんだろうか。と思うことがあります。

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お金そのものが好きな人はそんなに多くない!?

お金はデータ

さっき、LINE PAYの300億円キャンペーンというのがあって、1000円がチャージされました。
登録するだけで1000円分のいわば金券みたいなものを手にしたわけです。
そんなことを経験すると、ああ、お金って実はたいした意味がないものなんだなぁと思うわけです。

札束が目の前にあると、それはリアリティを伴います。
あの独特のニオイ、紙の束の存在感、複雑なデザイン。
「私はお札が好きなんです」
という人もいるかもしれません。

しかしたぶんほとんどの人にとっては、お金そのものには意味がないはずです。
お金があっても買うものも、使う場所もなければただの紙切れ。
お金というよりも、本来はその先にあるサービスやモノを買えるからお金は貴重なのだと思います。

たんなる交換手段を越えたお金の価値!?

とはいえ、もう少し深く考えていくと、実は今差し当たってそんなにお金が必要だろうか?
と思うこともあるんじゃないでしょうか。
いいクルマが欲しいとか、いい家が欲しいとか、いろんな望みはあります。
しかしそれってそんなに強い衝動じゃないのかも、なんてふとした時に思いついたりします。

それでもお金は欲しい。
これ、どういうことかというと、お金には実はモノやサービスと交換できる以外の機能があるのです。

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

儲けるという言葉の裏にあるもの

経営者としての自信と誇り

会社においてもお金は重要です。
たくさんあるに越したことはないけど、ありすぎても税金にもっていかれます。
それでも後継者って、とりあえず「手っ取り早く儲けたい」と思う人、多いのではないでしょうか。
冒頭白状したとおり、私もそうです。

それはなぜかというと、儲けることが経営者としての自信と誇りにつながるからです。
逆に言えば、後継者はコンプレックスを持っているのです。
経営者としては十分ではないとか、経営者としてしっかりしていないとか。
このコンプレックスを払しょくするために、二代目とか後継者とか、バカにされないためにどうでもいいから儲けたいのです。

売上を上げれば、誰もバカにしなくなる(ような気がします)
そういう思いで、手っ取り早く儲けたい、と考えているケースが多いのではないでしょうか。
つまり、お金そのものを手にしたいというよりも、自分の自信を確固たるものにしたい、という思いをお金に転嫁しているのです。

際限のない拡大戦略

そういった売り上げアップ策がそこそこうまくいったりすると、際限なく拡大を望むケースがけっこう見受けられます。
ある経営者団体の青年部に集う人は、そういう傾向が強いという話を聴いたことがあります。
結果として、会社が逆にギクシャクしてうまくいかなくなるケースも少なくないとか。

ムリして規模を伸長させようとすると、どこかに無理が出てくるのかもしれません。
大きく伸ばしたい、という思いは素晴らしいと思います。
しかし、そこに追い立てられるような焦燥感があるとしたらちょっと注意はしておいたほうがいいでしょう。
会社にかなり無理を強いている可能性もあるんじゃないかと思います。

「儲けたい」は「自信を得たい」

儲けへの探求をすることと自信を得る事

会社の経営者となるべき後継者ですから、儲けへのあくなき探求はあってしかるべきだと思います。
しかし、たぶんそれだけだと、永遠に「儲けたい」という思いから逃れられないのではないかと思います。
なぜなら、いくら儲けて、会社を大きくしても、自信は得られないからです。

ここでいう自信というのは、まさに自分に対する信頼です。
これを得るには、ちょっとしたコツがあります。
それは自分と向き合うことです。
こういった内面的なところを放置して、外部の状況を整えることに強い関心を持っている状態が、まさに「手っ取り早く儲けたい」という状況だと思います。
「簡単に儲かる!」という手合いの情報についつい反応してしまう、私やあなた。
ちょっと気を付けたほうがいいかもしれませんね(苦笑)

この「自信」というところがある程度落ち着いてくると、儲け方がエレガントになるんじゃないかな、と思ったりします。

「自信を得たい」は「受け入れられたい」

もう少し突っ込んで考えてみると、「自信を得たい」というのは他人に「受け入れられたい」という考えに近いんじゃないかと思います。
なぜなら、自信の有無というのは、他人との関係の中ではぐくまれていくからです。
今のままでオッケーというコミュニティでは、だんだんと自信を取り戻すことができます。
しかし、どこまで行ってもアウトだよ、と言われ続けるコミュニティでは自信は育たない。

そして「今のままでオッケー」ということは、「今のままのあなた」を受け入れてくれる人たちがいるということ。
結局、後継者はここを目指している(無意識に)んじゃないかと思います。
なぜならば、親には常に「まだまだだ」と言われるし、周囲からも「十分じゃない(親と比べて)」と扱われるし、誰一人OK出してくれないんですね。
本当なら自分が自分にOK出せるといいんですが、自分は周囲の「まだまだ」論に洗脳されてるから、やっぱり「まだまだ」と思ってしまう。
その「まだまだ」を解消するために、儲けようとする。
ああ、話が振出しに戻りましたね・・・。

要は、自信は、周囲の人に受け入れられることで回復します。
そして、そのためには実は、まず自分自身が周囲の人を受け入れなければならないのです。
この辺り、ちょっと深すぎるかもしれませんが、まあそういうことだと思ってください。

ということで結論です。
手っ取り早く「儲けなきゃ!」と焦ってる後継者は、まずは周囲の人を受け入れる努力から始めてください。
きっとすべてがよくなりますから。

rawpixelによるPixabayからの画像

 

 

 

 

 


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