後継者

後継者が社員をコントロールする方法

家業を継ごうと親の会社に入社して、5年、10年と経過する。
そして、そこそこ仕事も覚えてきた。
次のテーマは、リーダーシップ。
社員がついてくるようなリーダーにどうすればなれるか。
先代である親の顔色をうかがう社員を自分に向けさせなければならない。
威厳を誇示しようとすればするほど、社員の心は離れていく。
しかし、そんな状態を打ち破る方法は、決して難しいことではありません。

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後継者として家業を継ごうとすれば、まずは実務をおぼえる。
次にはリーダーシップ、ということでしょう。
それはけっこう難しいことに見えます。
たしかに、極めようとするといろいろ難しい側面もありますが、単に組織のリーダーになるのはさほど難しくはありません。
順を追って解説しましょう。

多くの後継者が陥りがちなのが、リーダーは威厳を保たなければならないという誤りです。
リーダーシップを発揮するのに威厳は必要ありません。

現場においては、社員が先代の顔色をうかがうのが、後継者にとっては面白くない。
だからなんとか、自分に振り向かせようとするわけです。
その時に、やりがちなのが「権威を振りかざす」ということです。

自分の立場を利用して、ルールを作り、規律を守らせようと躍起になります。
ということで、ルールを作り「明日からはこのルールに従うように」と社員に伝えます。
社員はそれをしっかりやるか?といえば、これ、だんだんと崩れてきます。
後継者はイライラして、「一度言ったらそのとおりやれよ!」と感じます。
言った通りしない社員を「自分のことを軽く見てる」という風に誤解します。

しかし考えても見てください。
誰しもルールに従うのは窮屈なもの。
そうするとだんだん崩れてくるのは、あなたの部下だけの話ではありません。

 

それでも後継者としては、自分の権威を保つため、言った通りやれ、と社員に伝えます。
こんどは、前以上に細かな指示を出します。
逆に、指示通りやっていないと、だんだんと腹が立ってきます。
しだいに、社員のすべてをコントロールしようとし始めます。
あれこれと、細かい指示を出すから、社員は何をするにも後継者にお伺いを立てないと物事を勧められなくなります。
ここで、完全に社員を自分に依存させる体制ができ始めました。
そうすると、社員は自主的に物事を進めなくなります。

そこで後継者はどう考えるか?といえば、「ウチの社員は自分で考えて仕事ができない」と思い始めます。
もはや泥沼。
社員は後継者を「箸の上げ下ろしまで指示する面倒な奴」と思うし、後継者は「何一つ自主的にできない社員」と思う。

一般的には、リーダーシップというと、自主的にリーダーに社員がついてくるイメージがあります。
もはや状況は正反対。
あーあ、という感じですね。

 

じゃあどうすればいいかというと、流れを逆にするんです。
そもそも、社員の細かなことに口出しするというのは、「私はあなたを信用していません」というシグナルを出しているということになります。
後継者にその気はなくとも、社員はそう感じるのです。
だから、社員もあなたを信用しない。

逆に言うと、「私はあなたを信用していますよ」というシグナルを出せばいいのです。
もっといえば、「私はそんなあなたを大事にしたい」となれば最高ですね。
といっても、社員を呼びつけて「俺さぁ、お前のことが大事なんだよ」なんて言うのはやめてくださいね。
白々しいので。

そうじゃなくて、相手を大事にしているシグナルというのは、相手の話をきちんと聞くことから始まります。
言葉を途中で遮るとかは最悪です。
身体も向けずに、作業しながらとかいうのも勘弁してください。
すかさず否定するのも、メガトン級のお困り行動です。

もちろん自分の意見を言うのはいいのですが、まずは相手の話を最後までしっかり聞いてください。
しっかり聞いたうえで、「判断を求めているのか?」「共感を求めているのか?」「指示を求めているのか?」ちゃんと見極めてください。
そして、判断や指示を求めているとわかっても、すぐには答えを出さないでください。
「君は、どう思う?」と聞くのです。
さらに、それがどうしようもないレベルでない限りは、「それをやってみよう。責任は俺がとる」と言ってください。

 

え?そんなこと、言えない?
失敗するじゃないか?
そもそもそれが、相手を信用していない、ということですよね。
「コイツにはできない」と決めつけている。

もちろん、予想通り失敗するかもしれませんけど、失敗はその人の糧になります。
あなたから任されて、期待されたのに失敗した社員は、何とかあなたの期待に報いようとします。
けど、すべてを指示通りこなして失敗した社員は、失敗はあなたのせいだと考えます。
だから信用して、受け入れて、任せないと、社員は育たないし、そもそもあなたの意向で動こうとはしてくれません。

後継者が社員を信用すれば、
社員は後継者を信用します。

これ、けっこう葛藤があると思いますけど、だんだん人間関係の基盤ができてくると、心地よくなります。
そして本当のリーダーは、後継者だ、と理解するようになってくれます。

そこで、後継者としてやり遂げたいこと、を伝え始めるときっとみんなこう思います。
「いつも自分のことを信用しているあの人のために、何とか貢献したい」
なんだか、お話がキレイすぎて、嘘くさいと思いますか?

それはご自分で確かめていただくほかありませんが、やってみて損はないと思います。
STEP1 社員の話をしっかり聞き
STEP2 社員のことを信頼して受け入れ
STEP3 後継者のやりたいことを語る

社員がついてこない本当の理由は、後継者の能力不足なんかじゃなくて、
後継者が社員を信用せず、受け入れないからなんだと思いますよ。

 

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