後継者が親の会社を継ぐのはそれが目的なのか手段なのか

私が子どものころ、卵は一日1つまでと言われていました。
それを超えると、心臓や血管に悪いというのです。
しかし、最近の考え方はそうではないようです。

もっと古い話だと、エビやイカはコレステロール値が高いので摂取しすぎると健康に良くない、と言われていたそうです。
これも最近では、あまり聞かなくなりました。

あたりまえのように信じていた話が崩れ去ることは、たかだか数十年の人生の中でも何度も訪れます。
それぐらい「常識」というのは、グラつきやすいものなのです。
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常識って何なんでしょう。
私は最近これを、「所属するコミュニティの多数意見」と定義しています。
だから、所属するコミュニティが変わると、常識は変わります。

よく、「〇〇業界の常識は、一般人の非常識」なんていう言葉を見かけますが、まさに象徴的な話だと思います。

冒頭のように、健康に関するトンデモ常識が流布する理由はシンプルです。
多くの人が関心を持つ分野でもあるため、多くの業者がそこで商売しようとしています。
そして、極端な主張でなければ世の中では目立つことができないので、極端な主張をする。
間違ってはいないけど、物事の一部分だけを強調するメッセージを発信する。
その結果、その業者が得をする(自社の商品の販売が成功する)、というカラクリがあります。

たいていの情報・常識は、誰かが得をするようにしかけられます。

 

親が商売をやっているなら、子どもが会社を継ぐべき。
そういう主張もまた、根拠の乏しい、トンデモ常識です。
たしかに、親子で経営を引き継ぐメリットはたくさんあります。
しかし、その気になれないならば、無理してそうする必要などありません。

コミュニティ(例えば古くは「ムラ」)の秩序を保つためには、親がコミュニティで担った役割を、子が引き継ぐのが都合がよかったのではないかと思います。
たとえば、村という共同体の中で、田吾作さんが大根を作ってたとします。
村で大根を作っている人は田吾作さん一人だとしましょう。
田吾作さんが年老いて働けなくなった時、その村に大根はなくなってしまいます。
だから、大根を代わりに作ってくれる人が必要になります。

しかし、どん兵衛さんは、米。
クマゴロウさんは、猟師。
太郎さんは、イモ。
みんなすでに役割があります。

そこで、小さな社会の中で役割を担えるのは、子どもです。
結果として、田吾作さんの大根畑は、田吾作ジュニアが担当せよ、ということになる。
親の代わりとして、村というシステムの中に組み込まれていくのです。

まあ、この話は、私の想像ですけどね(笑)

もしこれが正しいとすると、ムラ社会の機能を動かすためには、他の選択肢はないわけです。
ムラから出ようと言っても野垂れ死にでしょうし。
だから、大根農家の倅は、大根農家になるわけです。

それは次第にルール化されて、長男は大事にされる代わりに親の後を継ぐ、という常識が出来上がってきたんじゃないかと思います。

今でも「卵は一日一個以上食べちゃダメ」という迷信を信じている人がいるように、古い価値観を信じ続けている人はいます。
そういう人が、最新の科学的知見を耳にしたとき、こういいます。
「何を言ってるんだ、卵は一日一個までが正しんだ!」とね。
自分の信念を他人に強要したくなるんです。
なぜなら、村八分になりつつあることを受け入れたくないから。

社会のシステムが、「ムラ」時代と比べて大きくなった今、会社はいくらでも代替が効くようになりました。
あなたの親の会社が消えたとしても、誰も困らないんじゃないでしょうか?
たしかにお客さんや、社員は、一定期間慌てふためきますが、1年もすれば収まるところに収まる。
若干の不便はあれど、たいていは何とかなるものです。一方、ムラ時代の仕事(役割)は、社会やコミュニティを成立させるために不可欠なモノでした。

ところで、「仕事」というものには、私は二つの側面があると思っています。
①社会から見たとき、それは社会を構成するパーツであり、社会をよりよくするための活動です。
②仕事をする個人から見たとき、それは社会の期待に応えようとすることで、個人が人として成長をする学校のようなものだと思っています。

そして子は親の会社を継ぐべき、というのは①の一部をピックアップした形の主張だと思います。
社会を構成するパーツとして、親の会社がその価値を失いつつある、と感じたならば継がないという手もあると思います。
他人は「もったいない」というかもしれませんが、それは他人の常識です。

一方で、個人から見たとき、仕事は社会の期待に応えるものであるべき、と私は考えています。
そうでなければ、仕事がうまく回るとは思えません。
その手段としては、既存の企業に勤めるとか、フリーランスで仕事をするとか、会社を興すとか、そして親の会社を継ぐとか、いろんな方法が考えられると思います。
しかし、それはあくまで手段。

私は長年、親の会社を継ぐことを目的と考えてきました。
そうすると、まあ広がりはありませんし、なにより面白くないのです。
ゴールが会社を無難に運営することになってしまうので、ワクワクすることなどできません。
そんな状態が、ある方からの一言でハッとしたことを思い出しました。
そして最近もこの言葉をある本で目にし、目頭を熱くしました。

その言葉はとてもシンプルです。

「世界はあなたを待っている」

 

さて、もし世界があなたを待っているとしたら、私たちはどう応えることができるでしょうか?
人は持っている資質と、経験でできていると思います。
その資質と経験を活かすことで、世界のニーズにどうこたえることができるでしょうか?

そしてその期待に応えるための、リソース(資源)は何を持っているでしょうか?

そんな質問への回答を整理していくと、徐々に自分が今なすべきことが明確になってくるのではないでしょうか。

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