後継者

安全・安心・安定を求めると、たいていつまらなくなる

人は矛盾したことを言う場合がけっこうあります。
ダメ出ししかしないくせに、「自分の頭で考えろ」と言ったり、
経営権を譲る気もないくせに、「経営者感覚をもて」といったり。

その一つに、「安全・安心・安定」を心がけて、「面白いことないかなぁ」と探すということがあります。

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私が親の会社を継ぐとき、とても意識したことがあります。
それは、「突発的なことが起こらない会社」にしたい、ということです。
たとえば、何か問題が起こる都度、判断を迫られる会社ではなく、
想定される問題は、ルール通り淡々と処理される会社です。

すべてが管理下にあり、すべてがルール通りであり、すべてが機械的になるのが理想。
そんな風に考えていました。

もちろん、完ぺきにはならないでしょうが、出来る限りそのルールの中で動かしたいと思っていたんです。

 

しかし、あるとき、それはまずいかも、と思い始めました。
なぜならば、お堅い大企業だったり、役所だったり、
私たちが「融通利かないなぁ」と悪態をつきたくなるような組織へ向かう、ということです。
大きな組織が融通が利きにくいのはわかります。
けど、中小企業でやったら、大企業と同じ土壌で戦うことになってしまいます。
かなり無謀なことだと感じました。

 

そして何より、「つまらない」のです。
今日も、明日も、明後日も、1年後も、5年後も、ずーーーっとおんなじことやり続けてる。
人によっては、それが幸せという人もいるかもしれません。
しかし、たいていの人は飽きちゃうんじゃないでしょうか。

すでに会社の今の仕事が好きで好きでたまらない、という人ならずーーーっとおんなじでもいいかもしれません。
しかし、後継者って、そうじゃない人のほうが多いんじゃないでしょうか。

 

また、その安定が、安定した収入につながるのなら、それはそれでハッピーかもしれません。
しかし実際のところ、安定感なら前述の通り、大企業のほうが高いわけです。
しかも世の中は変化していきますから、同じことを続けていくと次第に時代遅れになってきます。
つまり、安定というのは幻想なんですね。

安全・安心・安定を求めて経営すると、いずれそれを失う、という皮肉な結果が予想されます。
もちろん、仕組みを常に見直す仕組みを作れば、それは防止できるかもしれません。
しかし、ルールで動かす社員は「失敗しないこと」を目的に働く傾向が強いと思います。
仕組みを見直す仕組みは、機能しにくい可能性があるわけです。

どうせ同じ結果に至るなら、安全・安心・安定を求めるより、変化を求めて動いたほうがいいんじゃないか。
そんな風に考え始めたんです。
すると、ある変化が現れました。
楽しいんです、仕事が。

もちろん、ハラハラすることもあるし、ドキドキすることもあります。
それを含めて楽しむというのは慣れないと難しいかもしれませんが、何かやったことのないことを始めるのは楽しい。
結果が予測できないから、困ったことになる可能性ももちろんありますが、予測を超えた結果をもたらすこともあるわけです。

だから、つまらない、と思ったら安定路線を外れてみるのがおすすめです。
初めは小さな冒険でもいいので、ちょっと違うことをやってみましょう。
その時のワクワク感、かみしめて、次の行動を考える参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

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