後継者

会っていただけない人と会っていただける人の違いから考えるビジネスモデル

ここ数か月、いろんな人とお目にかかる機会に恵まれています。
かつては、ある企業の社長に会うために、何枚受付に名刺を渡しても、それはかないませんでした。
なぜならば、当時の私は自分の都合で、その社長に会おうとしていたからです。
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春のさわやかさが過ぎ去って、じっとりとした空気が絡みつく梅雨を感じさせる季節でした。
私はある企業の入り口の前に立っていました。
私の目的は、その企業の社長に会うこと。
今日も昨日と変わらず、その企業の想いガラスのドアを開けます。

エアコンのかかった室内から、ふわっと乾燥した空気が頬をなでると、おもむろに受付嬢に伝えました。
「〇〇株式会社の田村と申します。社長はいらっしゃいますか?」
今日も受付嬢は引きつった笑顔とともに、社長の不在を告げます。
その後、受付の奥から顔を出した中年男性は、名刺の束をもってやってきました。

彼は私を見て言いました。
「もう迷惑だから、二度とこないでほしい。これは返します」
今までくる度に置いていった名刺を束にして突き返されてしまいました。
せめてその人が社長なら、と思いましたが中間管理職の方だったようです。
はぁ。
また訪問できる企業が一つ消えた。
肩を落としているのは、28年前の私。

 

私は、28年前に父の会社に入社し、保険の飛び込み営業を始めました。
いまなら、もう少しマシな方法も考えつくのですが、当時の私は学生を卒業したての世間知らず。
先輩に、「営業は根性だ」と言われれば、そういうものなのか、とそれを参考にする以外の知識はありませんでした。

 

こんな方法で、延べ数千軒の企業訪問をやったと思います。
それであってまともに話をできた企業はごくわずかだし、会って目的を達した事例と言えば片手で数えられるくらいかもしれません。

しかし最近は、ありがたいことに、わざわざ当社を訪問してくださる方もいるくらい。
経営者の名刺もここ数カ月で結構頂きました。
まあさすがに、新入社員の自分と比べれば、地位も違えば、経験や知識も違います。
やっと世の経営者と、まともにお話ができるレベルになったのかもしれません。

とはいえ、きっと私が自分の商売を案内するためにだけ、彼らと会おうとすると結果は新入社員のときと同じだと思います。
何度訪問しても、何枚名刺を渡しても、きっとあっていただくことは難しいでしょう。
この二つの違いは、シンプルです。
会いたいと思う何かがあるか、ないか、でしょう。

 

そして、会うことが普通になって、継続的なお付き合いをしていれば、自分のビジネスが相手のお役に立てるときに、そっとご案内することは可能なこともあると思います。
これ、最近の企業に多いビジネスモデルじゃないかと思います。
お客様が欲しいと思うものを、無料や安価で提供し、タイミングを見てそこそこ大きな解決策としてのバックエンド商品を提供する。
あのキンコンの西野さんなんて、そのあたりの仕組み、上手く作ってますよね。
無料で価値あるものを提供して、たくさんの人とつながる。
つながった人はいつしか、彼の本を買ったり作品やセミナーを買ったりと、気が付けばお金を払ってる・・・って感じですね。

逆に、私がはじめにやらかした失敗は、買ってほしいものを売ることでしか顧客とつながろうとしなかったこと。
そりゃあ、大変ですね。
奇跡的に「それが欲しかったんだよ」という人と出くわさなければ、会えないのですから。

持ってる名刺が訴えていることは変わらないのに、
追っても追ってもつかまえることができないケースと
向こうからやってきてくれるケース。
人(顧客)とのつながりを生み出すことは、発想の転換でいろんなバリエーションが考えられそうです。

後継者の方の中で、会社をどうにか変えていかないと・・・
と思っている人は多いと思います。
そういったことを考える際において、こんな「人間関係」から考えてみるのはいかがでしょうか。
あなたの会社が、顧客とどう出会って、どうつながるのか。

大事なのは、そういったことを常に考える組織を作る事だと思います。
一人で悶々と考えるのもいいですが、ぜひ遊び感覚の会議をやってみてください。
一度で名案が出るわけではありませんが、組織として「考える」習慣は持って損がないと思います。
セールスを恋愛関係に例える人がけっこういますが、ビジネスモデルのつくり方も同じだと思います。
結局相手は、人なのですから。

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