後継者の未来への時間投資~真似というカンニングが成果を出しにくい時代

親の会社を後継者が引き継ぐなら、後継者の役割の一つに会社を変化させる、というものがある。
私はそう考えています。
それはわかっているとしても、どう考えていいかわからない。
そういう後継者も多いのではないでしょうか。

そんな時やりがちな過ちは、同業他社を参考にする、ということです。

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先日、当社と同業の会社の前を通りました。
そこには以前には見かけなかった看板が立っていました。
なんだか、ウチが出してたものとそっくり。
自意識過剰かもしれませんが、もしかしたら当社を真似したのかも、と感じました。

まあそれはいいのですが、その看板のメッセージを見たとき、残念な印象を受けました。
「これではうまくいかないだろうな」と。

 

なぜそう思うかというと、似たようなことを当社もやって上手くいかなかったことを知っているからです。
そもそも扱っている商品自体が集客力を持っている業種ではない。
だからその商品の相談を「お気軽に」といっても、効果は出ません。
当社においては、そういった経験から、様々なテストの結果、ある決断を下しました。
直接当社の取扱商品に誘導するのではなく、集客力を持つオファーを前面に出し、「見込み客リスト」を作る目的で看板を書き換えました。
それが結果を生み始めていますが、たぶん真似をしている人にはそのからくりはわかりません。

そういった経験の蓄積と工夫は、外からは見えないからです。

 

余談ですが、かつてヤマト運輸が「クロネコ」マークで宅配業が急成長していた時期、運送業は「動物戦争」と言われていたそうです。
会社のイメージキャラクターを動物にすれば、業績が上がるらしい、と思ったのかどうかわかりませんが、ペリカン、パンダ、ゾウ、アリなど様々な動物マークが登場しました。
ヤマト運輸の当時の社長である小倉昌男氏の著書「小倉昌男 経営学」によると、ヤマト運輸の好業績の理由クロネコのマークではない、と断言しています。
こうやって見てみると、バカバカしくも見える話ですが、当時の運送業各社は真剣だったようです。

さて、看板の話に戻しましょう。
これ、他社の見える部分をマネをすると、「それが完成形である」かのように考えがちです。
しかし実際は、当社の看板がそうであったように、それは試行錯誤の過程であり、その後も看板の背後にある仕組みを含めて常に現在進行形です。
だけどマネをする場合は、その時に会った目に見えるものが完成形かのように扱うので、それ以上進化はしません。
けっきょく「マネはしてみたけど、上手くいかなかった。どうせアイツのところもおんなじだろう」なんて結論に落ち着きがち。

 

もし、件の競合社が本当に当社のマネをしていたとしたら、きっと答えが欲しかったのでしょう。
数学に例えていうなら途中の式はどうでもいいから、答えをしりたい、と。
手っ取り早い方法は、カンニングです。
他社のやっていることを覗き見し、自分の答案用紙に書けばとりあえず点数が取れるかもしれない。
けど、解き方はわからないから、永遠にカンニングをし続けなければならなくなります。

同じ業界や、同じ取扱商品の市場が広がっているときは、手っ取り早く答えを知ればよかったのです。
戦後多くの業種・業界が、その業界の商品を「広める」フェーズでしたから業界全体が同じことをやっていてOKだったのです。
そこで展開されていることがその時点での適性解だったと言えるかもしれません。
しかしそんな社会が変化を始めたとき、「正解」は存在しなくなりました。
従って「きちんと方程式を解く能力」が大事になってくるのではないかと思います。
何かを試して、試行錯誤をする過程で、顧客の動きや言葉にならない本音を知り、そこにどう調整していくかを考える能力です。

同業他社の事例は、そのまんまマネができるから、「問題を解く力」を必要としないのです。

 

もうひとつ、同業他社が今成果を上げている方法は、未来にも成果を上げるとは限りません。
そこに未来というエッセンスは加味されていないと考えるのが無難でしょう。
だからせめてマネをするなら、異業種であるほうがいいと思います。
なぜなら、異業種で当たり前のビジネスモデルも、自分たちの業種で採用されていないものが多数あるからです。
それを自分たちの業種に当てはめるのは、ちょっとした応用問題です。
少なくとも「考え・試し・修正していく」作業が必要な分、基礎能力を上げていきます。

 

結果は確かに大事なのですが、一方で、今は結果につながらないけど、将来結果を出すであろう動きは同時にやっておくべきだと思います。
こういった未来への投資を行いやすいのは、中小企業、オーナー企業ならではの強みです。
数年で成果を求められるサラリーマン社長では決断し、継続することはこんなんでしょう。
ある企業では、30年間お金にならない研究を続けて、二代目でやっと花咲いた(それがえげつないほどの利益を生み出した)事例も結構あります。
そこまではいかなくとも、5年、10年スパンで花開く(であろう)試みへ没頭する側面も持っていたいもの。
そのためにはそれなりの思い入れや確信がないとできないことも多いでしょう。

となると、「未来はこうなる、だからこうする」といった自分なりの将来イメージが必要となります。
それを作り上げるには、可能な限りの情報のインプットは欠かせないと思います。
偏りがあってもいい(むしろ偏っているほうがいい)ので、関心をもてる分野のことを徹底的に勉強してみてはいかがでしょうか。

ちょうど年末年始のタイミング、少し時間も取れるなら来年は、自分はどんなテーマで学ぶか?
そんなことを決めてみてはいかがでしょうか。

 

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