後継者

「自信がない」問題と、働く目的の違いがもたらす結果の違い

後継者の方からご相談いただく内容で、最も多いのが
家業の分野について、「自信がない」「知識不足」「経験不足」
という訴えです。

5年選手、10年選手、など色々なステージの人が同じ思いを抱いているようです。
この問題に、どう対処していけばいいのでしょうか。

————————————————————
小冊子無料ダウンロードはコチラ
Fecebookページに「いいね!」をお願いします。
後継者の社交場「後継者倶楽部」のご案内はこちら

 

 

 

さて、この「自信がない」問題。
かなりいろんなところで話を伺います。
一言で自信がない、といってもどうやらその内容は人によって違うようです。

実務レベルの自信がない。
経営レベルの自信がない。
大きく分けると、この二つにあるようです。

実務レベルの自信がない問題。
実は私も、駆け出しの時にそれを感じていたことがあります。
私の家業は、保険屋です。
保険と言えば、個人向け、法人向けを合わせると、
その種類は千種類を超えると言われています。
すべてに精通することはほとんど不可能。

特に、仕事を始めて間もないころは、飛び込み営業ばかりしていました。
飛び込み営業ということは、朝から晩まで100件、200件のお宅や、企業を訪問しても、
まともに自社商品の話をできるのは1日1件あるかないかです。
保険という商品のセールスは、嫌われ者ですからけっこう厳しい対応を受けます。

 

パンフレットの知識はある程度頭に入れています。
しかし、お話ししたお客さんからの質問は、とんでもない方向からやってきます。
これは後から分かったことですから、保険の資料はお客さんの感覚に沿って作られていない。
あくまで法的に必要とされる説明を、不足なく伝える資料です。
しかも、販売上強調したいところは大きく書かれ、そうでない場合は小さな文字で書かれています。
逆に言えば、お客さんが本当に知るべき内容は、小さな字で書かれているわけです。

だから、パンフレットで学んだ知識では、現場でのお客さんの質問への対応は難しい。
しかし、それを学ぼうにも、誰も教えてくれないわけです。
だからお客さんとのやり取りの中で、知るべきことを明確にし、あちこちに問い合わせをして学んでいかなければならない。
特に、当時はインターネットなんてなかった時代ですから、結構大変でした。

 

知識は当然、商品知識だけではありません。
お客様が事故を起こした時にどう対処すべきか。
法律がどう絡んでくるとか、税の問題はどうなのかとか、
まあ学ぶべきことは多岐にわたっています。
そんなことを問題提起してくれる人はお客さんしかいない。
なのに、そのお客さんとのコミュニケーションは、飛び込み営業の訪問先だけです。
つまり、1日1件、そんな会話があればいいほう、という日々が続きました。

先輩たちは、そんなことをこともなげにやっているように見える。
また、私とほぼ同時期に入社した社員は、既存のお客さんの担当を与えられている。
彼は、毎日何件かのお客さんと、普通にコミュニケーションをとってるわけです。
劣っている知識、経験といった劣等感に、これを習熟する場もない。
かなり焦りました。

 

けど、それから数年もしたとき感じたんです。
ああ、この人たち大したことないな、と。
知ってるふりをしてるけど、深い知識は持っていない。
なぜなら、彼らが働く目的は給料を手にするためです。
だからそこに必要な知識以上には、学ぼうとしない。

しかし私は違います。
将来の二代目経営者になることが目的でしたから、今必要なこと以外にも勉強しました。
お客さんの事故の対応を教えてくれる人がいなかったから、それまでほとんど読むことのなかった本を買いあさりました。
「自動車事故解決の実務」「交通事故における法律」とかそんな感じですね。
はっきり言って、本に書いてあることは内容がキレイすぎます。
必ずしも実務とは一致しないことが多い。
ただ、原則をこの時期に学んだのは、非常に今も役立っていると思います。

 

話がそれましたが、人は業務知識の有無を何で判断するのでしょうか。
それは相対的に、誰かと比べて、という事になります。
良くある話ですが、大学受験の会場に訪れたら、周りのみんなが賢く見える。
テストを終えたときの表情で、自分だけが自信がないのかもしれない。
そんな風に考えがちですね。
しかし、実際は誰もがそう思ってる(笑)

確かに、親の会社に入社した時には、まあ自信がないというのはわかります。
だんだんと経験を積むにつれ、それなりに必要な知識や経験は積んでいる。
あとは誰と比べるか、ですよね。
努力はしているはずです。
それを、もっとも経験の長い人と比べるとしたら、それはなかなか大変かもしれません。

とはいえ、そんな人もいずれ超えていくことになると思います。
繰り返しになりますが、彼らはそのタスクで給与を受けるのが目的。
そしてあなたは会社を引き継ぐのが目的。
目指しているゴールが違います。

だから、むやみやたらと不安になる必要はありません。
前向きな努力を続けていれば、何とでもなるものです。

 

そして、経営者としての知識。
これはこのブログでは何度かお話してる通り、やったことがないのだから自信がなくて当たり前。
必要な時に学んでいけばいいのです。
大事なことは、今どんな知識や経験が必要なのかをしっかりとつかむことでしょう。

 

「自信がない」問題は、不安を持ち続けても解決しません。
そこから逃げる選択をしても、罪悪感や劣等感は追いかけてきます。
腰を落ち着けて、その自信のなさと対峙する必要があるのではないでしょうか。
あなたの働く目的が、今をしのぐことでないのなら、その自信のなさはむしろ強み。
学ぼうとする意欲が持続する大いなる力となります。
————————————————————
小冊子無料ダウンロードはコチラ
Fecebookページに「いいね!」をお願いします。
後継者の社交場「後継者倶楽部」のご案内はこちら

関連記事

  1. 会社を大きく発展させた家業の跡継ぎ後継者の共通点

  2. 「祭」というプラットフォームビジネスを後継者はどう考えるか?

  3. 作って売るというシンプルなビジネスモデルの終焉

  4. ブルーオーシャン戦略と後継者の小さな試み

  5. 後継者の方にお伝えしたい、私がある誕生日に感じたこと

  6. 本業比率が七割以上を占め、社員の平均年齢が三十歳を超えた会社の後継者は…

  7. 後継者の「ただ見る」という修行!?

  8. 後継者にとっての「頼まれごとは試されごと」ということの意味

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。