後継者

人手不足は効率化のチャンス!?~同族企業の二代目社長の智恵

今、人材の確保が大変な状態です。
一般事務なら辛うじて応募もありますが、営業や作業員となると広告を出しても反応ゼロ。
そんな時、ちょっと発想を変えてみることも必要なのかもしれません。
その人員は、本当に必要なのか?と。

 





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その人材、本当に必要なのか?

「人」が解決するという妄信

私が父から引き継いだ会社は、販売会社です。
「欲しい」とお客さまが求めてくるというより、どちらかといえば営業が出向いて数字ができる商品を扱っています。
この業界に古くから信じられている迷信の一つに、営業社員の数と売り上げは比例する、というものです。

実は、私はこの事に、随分若いころから疑問を感じていました。
なぜかというと、先代は、営業社員を採用しては、「思ったように売り上げをあげてこない」と頭を抱えていたからです。
家業の業種における営業の一人当たりの限界値として、粗利(私の家業は手数料ビジネスなので≒売上)2千万円程度と言われています。
それを超えると、忙しすぎて営業に割く時間がなくなると言われています。

とはいえ、実際には2千万円を稼ぐ人はごくわずか。
大抵それぐらい稼ぐようになると、独立する、なんて話が出てきます。
仮に優秀な営業社員で、粗利2千万円を稼いできたとしましょう。
この営業社員を自分の会社にとどめておくために、相応の報酬を支払い、もろもろの経費を差し引き、社会保険料を払えばいったいいくら残るのでしょう。

見かけ上の売上は増えたとしても、会社に投資するお金は残りません。
しかも、粗利2千万円を稼げる営業社員など、数百人に一人もいません。
そんな背景から、この業界のスタンダードは、経営者が稼いで社員を養うというものでした。
社長の仕事は、誰よりも営業で直接的にお金を稼ぐ必要があったため、社長の営業力が会社のすべてでした。

それでもなぜ営業社員を採用するのか?

当時の先代は、稼げば稼いだ分、事務社員の給与と売れない営業社員に分配していました。
それでもなお、新たに営業社員を採用するのは、どうやら
「いつかは、稼げる営業社員が来てくれる」
という幻想を抱いていたからかもしれません。
実際は、稼げる営業社員は、当たり前のように独立していくのはほぼ間違いない話なのに。

しかし、それも無理はありません。
当時の業界内には、売上を上げるには営業社員を入れるべし。
未だ、メーカーは人を増やすことを指導しています。
そんな常識がはびこっており、それ以外の方法は誰も教えてくれなかったのですから。

「人」は最大のリスク

会社に欠けているものを人で補おう。
これは、一般的な考え方である一方、非常に高いリスクをはらんでいます。
なにしろ、一旦採用してしまえば、今の法律上、会社から解雇することは非常に困難です。
会社が求めているスキルを持っていなかったから辞めてください、とは言えないのが今の法律です。

もちろん、人を雇うな、と言っているわけではありません。
人の重要性は、私もよく理解しているつもりです。
しかし、人を入れるというのは、誤解を恐れず言えば、最終手段と考えてもいいぐらいではないでしょうか。

人が足りないからこそ工夫ができる

営業を増やさず売上を上げる

先程、私たちの業界では、営業社員一人当たり2千万円の粗利が限界値と言われているといいました。
しかし、それは今まで通りの営業スタイルに固執した場合です。
たとえば、営業社員が最も時間を使っているのは見込み客探しです。
これを仕組みで行うことができれば、一人当たり稼げる粗利はずいぶん増える可能性がありそうです。

特に新規開拓において、営業社員は、買わないお客さんに1日の時間の大半を費やしています。
そのせいで、買う気のあるお客さんに割ける時間が短くなってしまうのは本末転倒です。

テレアポ業者に委託する、FAXDMを使ってみる、WEBサイトで集客する。
今なら比較的安い料金で、様々な方法でお客さんにアクセスできます。
こういったサービスは、そこそこ使っても年間300万円もかかることはまれです。
しかも、効果がないと判断すれば、すぐに辞める事ができます。
人を雇うより、よほどリスクは低いはずです。

業務のフローを見直してみる

事務や製造部門においては、業務フローの見直しでずいぶんと人が削減できることがあります。
たとえば、私の会社の場合、役割分担について細かく分解していくと、二人でやっていた仕事が一人でも無理なくできる事がわかりました。
唯一の問題は、お客さんからの電話の対応だけです。
これを解決すればいいわけですから、在宅勤務者を設定するとか、パートで賄う事でもある程度までは対応できます。
非常時には、営業担当者の携帯に電話を転送してもいいでしょう。

これは、産休社員が休んでいる最中、一時的に雇える人がなかなか見つからなかった結果わかった事です。

製造業に関しては、そういった見直しをかなりの精度でやっている可能性はあります。
ですから、人がいなければ回らないことも少なからずある事でしょう。
しかし、一人社員が辞めたから単純に補充する、という前に、業務の見直しをしてみることで残業を減らしたりするヒントが見えるかもしれません。
また、システムや設備への投資も検討の余地があるかもしれません。
人への投資か、設備への投資かは、一度立ち止まって考えてみる価値はあるのではないでしょうか。

けがの功名

2人でやっていた仕事を3人でやり始めると、次第に3人でやることが当たり前になります。
たいていの場合、暇な状態を避けるため余計な仕事を作り出すものです。
それを全体を見直すことで、かなり改善できることは少なからずあります。

私自身、人が辞めたとか、産休で代替要員が確保できないとかいうシーンに出会うごとに、効率化をすすめてきました。
現状をお話しすると、業務がスリムになったうえで、産休社員が間もなく帰ってきます。
一人でやっていた仕事を二人で分担することになりますが、ゆとりができるのは間違いありません。
会社の社員全体としての人数は、「元の状態に戻る」だけなのですが、時間は以前よりゆとりがある状態なわけです。
そのゆとりを利用して、営業の効率を高める仕事を事務の方にはお願いしたいと考えています。

当たり前にやってはいけない

今回のお話で考えてみてほしいのは、「反射」で物事を決めない習慣をつける事です。
普通こうするものだから、当然こうする。
他の会社もこうやってるから、当社もこうする。
業界の標準だから、それに則る。
そうすると、決める段階では楽です。
実際は自分で決めていないのですから。

しかし、後々の効果を考えると、どっちがいいのでしょうか。
考えるというのは面倒くさい事です。
私も、何も考えずやることはたくさんあります。
しかし、人材不足といった頭を悩ませる自体がおこったときには、ぜひ
「ほかに方法はないか?」
という事を考えてみるのも一考ではないでしょうか。

つまずいたときは、何かを変えるタイミングなのかもしれません。

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