後継者

後継者の心にささやきかける”否定意見”はどこからくるのか?

なんだか押さえつけられているような気がする。
なかなか自由にさせてもらえない。
自分が思うようにできない。

二代目の方というのは、こういった思いを持っている方は多いのではないでしょうか。
現実問題として、後継者に否定的な親経営者というのはよくあるパターンです。
しかし、それがすべて親の言葉でないことも多いような気がします。

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後継者のストレスの原因

まじめゆえの苦しさ

親子経営における後継者にはある性格の傾向があります。
それは、責任感が強く、まじめであるという事。
どういう経緯であれ、会社の二代目としての仕事をスタートした以上は、
会社を守り、社員を守り、お客さんを守らなければならない。
そういった責任感を強く感じている事でしょう。

当たり前といえば当たり前です。
そしてそれは、健全なことです。

自分がきちんと職責を全うするためには、会社を変えていかねばならない。
その結果、社内改革を断行しようとするわけです。
しかし、その時に、頭の中にはそれを阻止する言葉がささやくのです。
「そんなことをしたら、先代から猛反発を食らうぞ。」と。

後継者の脳内に語り掛けられる言葉

私自身も経験があります。
たとえば、WEBサイトを使った集客をしたい。
そんな風に思ったとします。

はじめは、それが上手くいったときのイメージが浮かびます。
しかし、瞬時にそのイメージは切り替わります。
「そんなことができるわけない。」
「どうせ失敗するに決まってる。」
「金の無駄遣いだ。」
誰かが頭の中で語り掛けるのです。

実は、それは一瞬の事です。
ですから、そんな否定の言葉が頭の中を駆け巡っている事さえ気づいていないかもしれません。
しかし、思考をよく注意してみてください。
あなたの思考の中には、あなた以外の人の見解が住みついています。

終わりが見えない苦しみが一番ツライ

会社の今の状況に納得がいかないし、
自分の仕事の仕方にも満足できない。
考え抜いて打ち出した、そんな状況を打開するアイデアは、一瞬で脳内の言葉に否定された。
結果、後継者は動けなくなります。

それはそれでつらい状態ではあるのですが、もっとつらいのがいつ終わるとも知れないストレスです。
これから数十年単位で、家族を養い、会社を運営し、社員やお客さんを守らなければならない。
だから何か手を打たなければならない。
しかし、思いついた手段は、ことごとく否定される。

はたしてこの状況はいつ終わるのだろうか、と途方にくれます。
そんな時思いつくのは、先代が完全引退したら終わるのかもしれない、という考え。
自分らしい経営をするためには、会社から、オヤジを追い出すしかないのか。
そんな究極の選択肢が突き付けられます。

実は私にもそんな時期があり、その過程でバセドウ病、突発性難聴など、
ストレスが原因の一つと言われる病気に次々とかかりました。
30歳代前半には、どんどん白髪が増えて・・・
すべてを自分のおかれた立場のせいだ、と思っていた時期もありました。
実際に後継者としてのストレスが原因かどうかはわかるわけもありませんが、そう思っていたほうが楽なんです。
責める対象がありますから。

しかし、ある時、ふと思ったのです。
やろうとすることを止めているのは、誰かではなく自分であることに。

「こうあるべき」という姿は自分で決めている

出張時に感じる罪悪感

出張などでたまたま時間にゆとりができる事があります。
アポイントとアポイントの合間にまとまった時間ができたときですね。
こんな時、私が感じていたのは、罪悪感です。

学校をずる休みするような、どことなくいやぁな不安を感じるわけです。
平日はそれなりに仕事をしてるし、休日に仕事をすることもあるわけです。
しかし、平日の出張で、時間がぽっかりと開いてしまうと不安になるのです。
その不安の正体を自分なりに探ると、興味深い状況が見えてきます。

「また叱られるのではないか。」

という気持ちです。

実は、代替わりして10年以上たった今でも平日のゆとり時間には罪悪感を感じます。
ある時期、私は様々なセミナーに積極的に参加しました。
そんな時でさえ、家業の保険と直接関連性のないセミナーだと、それがビジネスに直結するものであってもなお、罪悪感を感じながらその時間を過ごしていました。

いつもビクビクしていたのです。

後継者の心にある警報装置

改めて振り返ってみると、
このような罪悪感を感じる時間を先代から叱られたことはあるか?
といえば、実はあまりありません。
もちろん、あからさまに不満げな態度をすることもあるし、中には直接否定されることもあります。
しかし、実際に否定されたりするのは、1/10くらいの確率かもしれません。

じゃあ、10回中9回は誰が否定しているのでしょうか。

それは、自分の中にいる先代の人格です。

 

私たちは、子供のころから親のいう事を聞くように育てられてきました。
親の意向に沿えないときは、当然、叱られます。
それを繰り返しているうちに、嫌な事(叱られること)を遠ざけるため、叱られないようふるまうようになります。
叱られないための警報装置が、脳内に埋め込まれているわけです。

先代が怒るだろうな、否定するだろうな、という事をやろうとすると脳内にビービーと警報を発令するのです。
私たちは、その警報を察知するや否や、自分を説得し始めます。
どうせ先代に叱られるのだから、そんなことしないほうがいい。
そうやって、後継者は自分の能力を封印してしまうのです。

事実確認

どうやら、人はやりたい、と思った事をやることができないとき、ストレスを感じるようです。
イライラして、充実感を感じられない。
実際、私は、何かをできないときのスケープゴートに、先代を利用していたのかもしれません。
自分の責任ではない、親が悪いのだ、と考えると少しは楽になります。

それでも、苦しいことには変わりはないのです。
結局、罪悪感を感じながら生きているのですから。

そこで、一度確認してみてほしい事があります。
それは、あなたができない、先代から否定されていると”思っている”事。
そのうちどのくらいのものが、明確に否定されたのでしょうか。

すべてのものが、明確に否定されていますか?
もしかしたら、皮肉っぽい事を言われただけで、「やってはいけない」とは言われていないかもしれない。
上手くいかなかったら「ほらみろ。」と言われそうな気がするだけで、まだ言われていないかもしれない。
苦々しい顔をしているけど、否定されているわけではないかもしれない。
もしそうだとすると、その行動を止めているのは、先代ではなくあなた自身なのかもしれません。

先代はあなたの人生に責任を取れない

親子経営で親をこえる事の本当の意味

後継者なら、耳にタコができるほど聞かされる言葉。
「親をこえろ。」というやつですね。
あれは、実務で親をこえろという意味に受け取ってはいけません。

私に言わせれば、頭の中でなる警報装置を解除する事です。
警報装置のほとんどは、親の価値観で作られたセンサーです。
そこに惑わされず、あなた自身の判断で前進すること。
この事こそが、親をこえる事に他ならない、と私は考えています。

そうは言っても、親には気づかいが必要で・・・
そんな思いもあるでしょう。
また、非道徳だと言われることもあるかもしれません。

しかし、間違いなく言えることは、あなたの人生はあなたが責任を持つしかないのです。
親はあなたの人生の責任を取ってはくれません。

そこを一度考えてみるべきではないでしょうか。
私もいろいろ悩みましたが、自分なりの答えを出したつもりです。

 

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  1. 2018年 2月 06日