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家族社員が鼻につく【長い長いプロフィール(6)】

前回、本質的対立の芽生え【長い長いプロフィール(5)】では、事務社員が一斉退職したところで終わりました。
一見まったく別の事のように見える話ですが、事務社員の退職と私と家族社員の意見の対立は根深いところでつながっていたのです。

ある朝、事務社員に呼び出されます。
「少し話があるのですが・・・」と。
話の内容は、こういったものでした。

自分は会社に貢献しているはずだ。
しかし、思うように昇給しない。
もっと給与を上げてほしい、というのがその要旨。

 

実は、この社員は以前にも同様の要求をしていました。
その際の私の回答は「NO」。
今の仕事を続けている以上、今以上のペースでの昇給はありえない。
だから、仕事の質を変えるように話をしました。

具体的には、自分で仕事を抱え込まず、リーダーとして事務部門を管理する役割、
そしてお客様とのコミュニケーションを積極的にとり、営業のサポートをすること。
この二点を彼女に要求しました。

 

しかし、彼女はそれはできない、といいます。
ならば、今のペースの昇給以外選択肢はない、と伝えました。
ハッキリ言って、事務社員としてはかなり破格の給与を出していました。

結果、彼女は後輩を連れて退職していきました。

さて、当初、彼女の退職は、言葉通り報酬にたいする不満だと思っていました。
とはいっても、経験者とはいえ当社での報酬以上の報酬を他社でいきなり出すとも思えませんし、そもそもそこからの昇給にそれほどの期待が持てるようにも思えません。
その本質を検討していくと、どうやら金銭面の不満以外の問題が潜んでいるようです。

なぜだろう?
ずっと考えていくにつけ、過去のある社員の言葉を思い出しました。
「家族同士の会話が鼻につく」
といったものでした。

 

当時、そこまで過激な言葉を選んではいませんでしたが、家族経営にありがちな経営者ファミリーの家族とそれ以外を分ける対応が気に食わなかったようなのです。
それは、家族だけを擁護する、というストレートなものだけでなく、家族だけに強く当たるというものも該当していたようです。
優しくしようが、厳しくしようが、家族とそれ以外の対応を変えている事が、その根本的な原因の一つではなかったかと思います。
一言で言えば、コミュニケーションの取り方を誤っていた、という事になります。

 

その後、新たな社員を雇った際、私は非常に気を使いました。
まずは彼女たちとのコミュニケーションをとることを重視し、そちらの視点から社内を見るようになりました。
その時、事務社員が一斉にやめていった理由が明確になったのです。

 

先代夫婦が交わすコソコソ話、
分をわきまえない末弟(弟も社内にいます)の態度、
何もかもが、会社としてはあるまじき状況でした。

そこに輪をかけるように、こんなことも起こりました。
社内で会議を重ね、不要な業務、優先順位の低い業務作業を辞めて効率化を目指した頃、あるお客様からの問い合わせがありました。
その問い合わせは、効率化前ならすぐに答えられる問い合わせ。
その資料が整理されていない!と先代は激怒。

実は、その資料に関しては、5年に1度程度しか問い合わせのない事なので、業務としては整理せず資料だけを残す決断をしたものでした。
社員にしてみれば、決め事に従ったのに叱られてはたまったものではありません。
結局、重ねたミーティングは水泡に帰し、事務社員はしぶしぶ5年に1度の問い合わせのために毎日一定時間をかけて資料の整理をせざるを得なくなりました。

末弟は、末子にありがちなマイペースぶり。
会社の組織などお構いなしに好き勝手やっています。
決して不真面目ではないのですが、私に言わせれば、「お前は何様だ?」といわんばかりの振る舞い。

 

このままでいけば、きっと同じことが繰り返されるでしょう。
そう考えた私は、まずは弟の排除を計画を検討し始めました。

 


今回は、一つのきっかけで、社内を見る目が変わりました。
単なる報酬に対する不満というところから、どうも本質はそこにはないという考えが私に浮かびました。
これは比較的よくある話のようで、本質的な問題を理由に辞めていく社員は意外と少ないようです。
お金の問題などに覆い隠されてしまうようです。

私自身、この時期に最も強いストレスを感じ、荒れていたと思います。
会社をこのままにしておくことはできず、どうにかしなければい行けない。
しかしそれを阻むのは親族だったという、なんとも笑い話にならない状況。

 

恐らく、多くの後継者はこういったシーンを経験されるのではないでしょうか。
当時の私は、それを仕方ない事として受け入れるか、拒否するかの二択に見えました。
後者を選んだ瞬間から、家族経営の難しい部分にダイレクトに切り込むことになりました。

当時の私にアドバイスするとしたら、
焦るな
の一言(笑)

 

焦りが決断を誤らせ、極論に向かいがちです。
先延ばしがいいとは思いませんが、ある日突然すべてを変えようと思うと、必要以上の抵抗が表面化します。
階段を上るように、一段一段登る実行計画を検討したほうがスムーズだったのでは?と感じることがあります。

 

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  1. 2016年 12月 26日