最近の若い人は、フェルナンデスと言われてもピンとこないかもしれません。
しかし、私と同世代(1968年生まれ)の方は、大抵耳にしたことがあるメーカー名ではないでしょうか。
ZOギターなどはとくに有名だったかと思います。
バンドブームを経験した私は、特に初心者向けの比較的低廉で質のいいエレキギターというとフェルナンデスが頭に浮かんだものです。
また、プロにも愛好者が多く、広く愛されたギターメーカーだと思います。
あの、ギターメーカーフェルナンデスが、破産というニュースを聞いて、なんとなく時代の流れを感じました。
この中で、もし私たちが後継者だったとしたら、何ができたでしょうか?
私の著書です。
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猫も杓子もギターに憧れたあのころ、フェルナンデスというのは、フェンダーやギブソンといった海外有名メーカーのコピーモデルを扱っていました。
しかし、独自の技術開発なども行い、アマチュアからプロまで、幅広い支持を受けていました。
当時、音楽を趣味にしている人ならば、フェルナンデスの社名は一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
約40年前には繁栄の一途だったフェルナンデス。
しかし、ここにきて、破産という憂き目に。
ホームページなどでは歴代経営者の名前はあまり前面に出てませんが、もしこの会社が親子経営だったとしたらどうでしょう。
きっと、親が創業した会社を息子の代でつぶした、なんてことになるんじゃないかと思います。
後継者である息子としては、けっこうなババを引くような感じになりそうです。
後継者というのは、時代の流れの中で、ちょっと不利な場にあるといえそうにも思えます。
ただしかし、後継者は創業者が負うような創業の苦しみは経験していません。
先代は恐らく、まだ何もない時に、何もない所から、この分野で生きていくという決断をし、背水の陣で現在のビジネスを作り出したことでしょう。
今回のフェルナンデスの事例で行くなら、ギター、音楽の世界で生きていくという創業者が会社を立ち上げたのだろうと想像します。
そして、会社、社員、お金、顧客、信頼、と言ったリソースを受け継ぐのが後継者です。
とはいえ、事業をそのまんま引き継いでしまうと、フェルナンデスの二の次を踏むかもしれません。
ギターが憧れだった時代が、DJやダンスが憧れとなる時代に変わっていったわけですが、その時代に乗り切れなかったという事なのでしょう。
これはけっして、フェルナンデスだけの話ではありません。
印刷業は、今やネット印刷があり、お手軽カラープリンタがあり、という事で従来型の企業としての存続が難しくなりました。
繊維関係の卸売業も、販売の仕組みが変わり、メーカー直販などもあって、存続が難しい企業が多いと聞いています。
和服の世界はさらに厳しいようですね。
それ以外でも、時代とともに、明らかに需要が下がっている業界はたくさんあります。
後継者というのは、そこに会社をアジャストさせていくことが大事なのではないでしょうか。
それは、ベタな言い方をすれば第二創業です。
リソースはあるけど、そのリソースが足かせになることもあります。
そういう意味では、創業社長とは違った苦労があるはずです。
けどその苦労を乗り越える、アントレプレナーシップを引き継ぐことこそが、今の後継者に求められることではないかと感じるのです。
そんな風に会社を見返してみたとき、何か見える世界が変わってはこないでしょうか?
活躍を期待しています。
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