後継者

困った妻に持て余す後継者 ~「決められない」ことからの脱却

たまたまこんな記事を見かけました。
【家族の秘密】「社長の器ではない」跡継ぎ息子を“ダメ男”に変えた、ハズレ嫁の浪費生活~その1~(サライ)
【家族の秘密】「社長の器ではない」跡継ぎ息子を“ダメ男”に変えた、ハズレ嫁の浪費生活~その2~(サライ)

簡単にあらすじをお話しするとこんな感じです。
ある食品加工会社の三代目社長(70歳)は、自分の息子と孫の生活ぶりを探偵に調査依頼しました。
というのもかつて、その会社の四代目として入社した息子は、会社にたったの2年しかいませんでした。理由は、古参幹部からの進言。「ご子息は社長にふさわしくない」と。
会社のことよりも個人優先で、あろうことか会社の金を使い込み、そのお金で高級外車を買い、タワマンに移り住み……という状況だったそうです。
さすがに三代目もかばいきれず、海外拠点でのやり直しを打診したものの、それを断って会社を辞めたそうです。
そんな、絵にかいたような「バカ息子」っぷり、「ポンコツ専務」ぶりは、その後、彼のエキセントリックな妻が原因だったことが分かります。

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後継者の妻は、贅沢好き、ブランド好きで、他人にマウントしたがる性格。
自分の意見が通らないと暴れ出すということで、かの後継者も体には傷だらけ。子どもたちも、母親をかなり怖がっていたと言います。
後継者は、そんなエキセントリックな妻が暴れ、子供たちに手を出すことを辞めさせるには、妻の言いなりになるしかなかった。
妻が欲しいと言った物を買い、妻が望んだ生活をする。
足りないお金は、会社のお金を使い込んででも手に入れなければならない。
そんな状況に陥っていたようです。

実は、程度の差こそあれ、このような話は意外とあるものです。
私もある後継者の話として直接耳にした事例もあります。
ではこれは、その妻がたまたまハズレだったのでしょうか?
実はもう少し深い話がここにはあるような気がします。

 

こういった事件(?)に巻き込まれやすい人、というのがいます。
それは、物ごとを「自分で決められない人」です。
決定を自分で行うのではなく、他人にゆだねがちな人です。

逆にこういった妻のような性格の人は、自分の思いが通りやすい相手を上手く見抜きます。
本人は無意識だけど、そこそこ経済的な自由度があり、自分が何かを主張してもそれを否定しない人を上手く見つけ、そこに入り込みます。

ここで出てきた後継者である「息子」は、かなり厳しく育てられたと言います。
それはすなわち、親に対して反論ができない環境で会ったことが想像できます。
そういった生育過程で、彼は「何かを自分で決めて主張したところでどうせ受け入れられない」「言われた通りやらないと褒められない」というパターンを創り出して、そのプログラムで生きてきています。
たとえば、私が知っている似た状況に陥った後継者は、大学選びも自分ではできず、親の言いなりでした。
大学を中退せざるを得なくなりましたが、そのあとの進路も自分で考える前に、親が半ば強制的に専門学校に入れました。
その後の就職についても、親が半強制的に自分の会社に引き込みました。

彼にしてみれば、あえて自分で考えて選択すると、衝突が生じる可能性がありますから、誰かに決めてもらうのが楽だったのでしょう。
そして彼の妻は、まさにブランド好き、子どもには虐待、上手くいかないことがあると家のなかでは食器を投げつけるような暴力をふるったりしていたそうです。
自分の子どもの命の危機があってなお、後継者は「離婚しよう」という言葉を出すことなく、親の介入で初めて離婚への流れができ始めました。

 

このような状況に陥ったのは、基本的には、後継者自身が「決めることを他人にゆだね続けてきた」ということに直接的に原因があると思います。
しかし、育った環境がそんな彼の性格を生み出し、そんな彼の性格を見込んで結婚した妻がいる、ということなのだと思います。

それぞれに立場はありますが、後継者自身にフォーカスしてお話をすると、「決めなかった自分」を後継者が認識することがスタート地点ではないかと思います。
衝突することを恐れ、自分の人生さえも他人の意向にゆだねている現状をまず把握し、小さなことから「自分で決めて、その意見を表現する」ということから始めることが重要かもしれません。
これまでは、自分の意見を言わないから比較的周囲の人間からは好かれていたと思いますが、そうすることで自分をないがしろにして生きるのはそろそろ見直すタイミングではないでしょうか。
はじめの一歩は、他人の顔色をあえてうかがわず、まずは自分の意見を持ち、それを口に出すことから始めて見てはいかがでしょうか。

 

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