初めて後継者の心境について、文章として書いたのはもう20年以上前の話です。
その内容に多くの方が共感を寄せてくださり、私の役割はもしかしたらこういった人たちのお役に立つことかもしれない、と思い始めました。
たくさんの人の話を伺い、たくさんの事例を知ると、「あるある」話はいくらでもできます。

しかし、ある時、私の文章に共感してくださった方へ、何かしらの情報提供すらできていないことに気付いたのです。

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「ブログを読んで、自分だけじゃないんだ、と涙が止まらなかった」
「誰にもわかってもらえない想いを、理解している人がいるのか、と初めて分かった」
「まるで自分のことを巳ながら書いているんじゃないかと思うほどのリアリティ」

私のブログに関して、そんな感想を送ってくださる方はけっこう多いです。

人は、孤独で苦しんでいるとき、自分の心情や立場を理解してもらえるだけでもうれしいものです。
今まで一人で歯を食いしばってきたことが、共有できる人がいるだけで安心できます。

そんな人たちの支えになるのなら、とブログを続けてきましたが、ある時一つの問題に気づきます。
共感を持っていただけても、読者の方に何かをお伝えできているか？と言えば何もなかったのです。
もちろん、カウンセリングであれば、そうやって話を聞くだけでも効果はあります。
しかし、本となればそういうわけにもいきません。

当時から、「こんなに喜んでいただける人がいるのなら」と書籍化を考えてはいましたがなかなかうまくは行きませんでした。
理由の一つが、読者に提供できるものがないからです。

そこで、自分の経験、集めた事例の共通点を探す作業を始めました。
その時に考えた方策の中心は、「いかに、親を会社から追い出すか？」でした。
しかしそこから数年。
その考えが間違いであることに気付きました。
そもそも、強引に親を会社から引きはがすことなく悩みを抱えている後継者は、仮にうまく親を会社から追い出したところで心に傷を抱えてしまうという結論に至りました。
そうでなければ、四の五の言わず、親を追い出すか、自分が辞めているのです。

ではどうすればいいのでしょう。
そこを深く考えたとき、親という強い戦力を会社の経営、しかも後継者が思うような経営に活かす方法はないか？ということです。
そしてつきつめて考えていくと、実は事業承継がうまくいかないのは親だけの問題ではないことも多いのです。

そういった部分の考察を経て、実践を経て、本書が仕上がりました。
初めての単行本ということで稚拙な部分があったり、考え方の部分でまだ未完成の部分もあるかもしれません。
それでも、皆さんが今まで耳にしてきた話とは少し違った視点で状況を斬っているつもりです。
よろしければ、手にとっていただければ幸いです。

親の会社を継ぐ技術~後継者のゆく手をはばむ5つの竜とのつきあい方~

2019年7月4日時点で判明している取扱店舗は以下の通りです。

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