後継者

後継者の役割:中小企業におけるイノベーション基本の「キ」

親から引き継いだ会社。
このままではどうもうまくいきそうにない。
イマドキは、「イノベーション」なんて言う言葉をよく聞く。
なんとなくイメージとしては、大げさなことのように感じるけど、
自分達の会社では考える必要がないのだろうか?

そんな問いに私なりの考えをお伝えします。

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そもそも「イノベーション」ってなに?

「イノベーション」を一言で表すと?

世の中では最近「イノベーション」という言葉をよく耳にします。
日本語で言うと、技術革新とか、そういった感じでしょうか。
なんとなくイメージはわかるけど、じゃあ具体的にはどうすればいいかいまいちわからない。
そんな時に、イノベーションの本質を分かりやすく説明してくれている人がいます。

経済学者のジョセフ・シュンペーター氏です。
日本ではさほど有名ではないかもしれませんが、最近特に注目されている人の一人。
このシュンペーター氏がイノベーションをこう語っています。

「馬車を何台つないでも、鉄道にはならない」

この言葉で、なんとなくイノベーションってこういうことなんだ、というのが雰囲気として理解できるのではないかと思います。
別の言い方をすると、連続的な変化の先にイノベーションはない、ということです。
思考の跳躍が必要なわけです。

目的と手段

この馬車のたとえでいえば、目的は馬車も鉄道も同じです。
物や人を運ぶことですね。
しかし、手段が変わるわけです。
疲れたり、病気になったり、日々の世話が必要な馬か、
必要な整備をしていれば安定して動く鉄道か、
という変化。

ハッキリ言って、鉄道だって維持管理は大変です。
レールを敷かなきゃならないし、鉄道自体も古くは石炭、今は電気が必要だし、レールも車体も整備は必要。
こういった新たなテクノロジーは、導入はけっこう大変なものです。
だけど安定感はあるし、連続稼働も可能だし、運転距離は長い。
人々は、その安定感を選んで、馬車はすたれていきました。

あなたの会社が提供している財やサービスのライバル

今のあなたの会社の商品やサービスは、何を目的としているでしょうか?
お客さんにどんな利便性や価値を提供しているでしょうか?
そしてそれを肩代わりする手段は生まれてきてはいないでしょうか?
もし、あなたの商品やサービスとは全く違うアプローチで、あなたの商品やサービスが提供する目的を提供する業者が存在するとしたら、
遠くない将来、あなたの会社は「馬車」としてすたれていく可能性もあるのかもしれません。

親の価値観を引き継ぐ後継者

後継者は親を超えるのではなく親と違う土俵で戦え

よく事業承継において言われることがあります。
親子経営で、後継者として子が会社に入ったら、「親を超えろ」と言われます。
わたしもウンザリするほどいろんな方からその言葉を聞かされました。
そんな言葉を聞いて、まじめな後継者は、親と同じ土俵で親を超えようと努力する。

そうすると、親とのギャップを感じてだんだんと自信がなくなってくる。
まあ昭和な人たちは、「それでも頑張って親を超えるんだ!」なんて言うかもしれません。
あしたのジョーの丹下段平よろしくに、「立つんだジョー!」なんて言っちゃう人が多い。
(ちょっとたとえが古すぎかもしれませんね・・・ごめんなさい)

親と同じ土俵で戦って超える。
これいかにももっともらしく見えますけど、はっきり言います。
それは相当やばいです。

まずは先代を疑う

誤解を恐れずに言います。
「先代の言っていることは間違っている」という前提でとらえてみてください。
よほど先進的な人でなければ、「馬車をたくさんつないで、大量輸送するぞ」という考えの方が多いからです。
たくさん作って、たくさん売る。
これ、昭和の価値観です。

そして、後継者というのは、親の価値観をなぞっているのが基本です。
それは人生の指導者が今までは親だったからです。
親に言われたことを(あるていど)守ってきたから、無事今の自分がある、という実績があるわけです。
だから、親のいうことは原則正しい、と(無意識に)感じ取っているわけです。
だからきっと、自分に子どもができたら、自分が親に言われたことを子供に言い聞かせていることはけっこう多い。

経営の世界ではそうはいきません。
時代が変わったことを感じ取ってる後継者は多いはずです。
仕事でいえば、大量生産・大量消費の時代は終わったことはもう感じているはずです。
世の中では鉄道がガンガン走り出してる中で、相変わらず「馬車の台数を増やそう!」なんて言ってたらおかしいですよね?

中小企業がイノベーションを起こすための基本のキ

参考書は世にあふれている

現在、イノベーションに関する書籍は、恐ろしいほどの数が出版されています。
イノベーションを起こしたい衝動にかられたなら、そんな本を数冊読めばなんとなくイメージがわいてくるでしょう。
ただ難しいのは、論理的にイノベーションを起こすってなかなか難しい。
そこそこインパクトのあるイノベーションは、たいてい直感から起こる事が多いような気がします。
そういう意味では、センスを磨くためにも、関連情報にたくさん触れる必要はあります。

考える

経営者と偉そうにしていても、自分で新しいものを考え出している人は少ない。
何かの教科書に習ったり、アドバイザーの言いなりだったり、業界とか他社の模倣だったりすることがほとんどです。
自ら本気で考え抜いた戦略をリアルに展開している中小企業経営者はごく一握りだと思います。
だから、物まねで、ライバルが多くて、価格競争が激しくなる。
まあ、当たり前にレッドオーシャン(たくさんの事業者がひしめき合う競争の激しい市場)に自ら飛び込んじゃってるわけです。

しかし、誰もやっていないこと、思いつかないことを考え、思いつくと、その市場には誰もいないわけです。
もちろん、誰もいない市場には、誰もいない市場である理由はあることが多いです。
その苦労をある程度覚悟したうえで飛び込み、ノウハウを蓄積していくと、そこには結構いいビジネスが出来上がる可能性はありそうです。

社史を紐解く

もう一つのヒントとして、自分の会社の歴史です。
はじめのところで、馬車の事例を引いたとき、「目的は変わらないけど、手段が変わった」的話をしました。
これは結構重要だと思っています。
あなたの会社が、そもそも顧客のどんな困りごとにフォーカスしてビジネスを始めたか、ということです。
その目的を、いまある商品やサービスとは違った手段で提供できないか?
すぐにはできないかもしれないけど、研究の余地はないか?
そんなことを考えてみると、かなり近道となりそうです。

こういったことを社内で定期的に話し合うことで、当初イメージしたゴールとは違ったゴールが出てくる可能性もあります。
1人でうんうん唸りながら考えるのもいいですが、社員を巻き込んでいくと会社をまとめるきっかけにもなります。

対話する

実は、人に対して話す、というのは考えをまとめたり、今まで気づかなかったことを気づくにはとても効果の高い方法です。
社内で社員を捕まえて話すのもいいと思います。
さらに、まったく違うバックグラウンドを持った人間との対話を通じて、気づかされることも多いはずです。
自分の業界では当たり前のことが、実はユーザーレベルでは当たり前ではなかった。
逆に、自分の業界ではやっていないことが、別の業界では当たり前だった。
そんな話は、いまだにごまんとあります。

そういった機会をつくれたら、という思いもあって私は後継者倶楽部というコミュニティを立ち上げました。
ぜひご検討いただければと思います。

おわりに

中小企業にとって「イノベーション」というとちょっと大げさに聞こえる言葉かもしれません。
しかし、世の中を変えるほどのインパクトのあるイノベーションもあれば、ちょっとした視点の転換でできるイノベーションもあります。
こればっかりは、定型のやり方というのはありません。
なぜなら、同じ方法で生み出したイノベーションは、もはやイノベーションとは言えないからです。

その背景には自由な発想が大事になってきます。
ぜひ、そういった発想を行う時間、そういった発想を話し合える場所を確保してみてください。

 

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