後継者

作って売るというシンプルなビジネスモデルの終焉

今までのビジネスモデルがうまくいかない業界は多い。
というより、上手くいく業界のほうが少ないかもしれません。
たとえば、話題の家具屋さん。

このケースは、親子での経営に大きな二つの問題があることを教えてくれているように思います。

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壮大な親子喧嘩の末、会社を分けた家具屋さん。
いま、後継者が預かる存続会社が非常に苦境に陥っているという報道を目にしました。
マネジメントの問題とか、赤字なのに配当を出してるとか、いろんな話はあるようです。

しかし、そもそも、家具屋さんって普通に売り上げを確保できるビジネスなのでしょうか?
国内市場をターゲットとしたとき、その対象となる人口は減っているわけです。

先代の時代は、人が増え、経済規模が大きくなり、核家族化が進み世帯数が増えた。
それらが今逆のベクトルに進みだしているわけですから、経営がうまくいかないのは当たり前です。
そこに親子の骨肉の争いでのイメージダウンが拍車をかけた形なのではないでしょうか。

 

どの業界でも、ものを作って売る、という今まで当たり前だったスタイルでのビジネスが難しくなってきています。
本を売る仕事は、利便性だけ考えるならAmazonには勝てません。
印刷業だって、安くて便利なのはプリントパックや、ビスタプリント、ラクスルなどがあります。
彼らは本来は印刷業ではないようですが・・・

また、ファーストフードの最終的な姿は、タッチパネルを押せば注文品がポンと出てくるスタイルでしょう。
ファミレスだって、わざわざウェイトレスやウェイターが注文を取りに来なくたって、素材を買って顧客がレンジに入れればいいのかもしれません。
その完成形が、コンビニのイートインコーナーという気もしないでもありません。

 

最近は、サブスクリプション方式と呼ばれる「ものを買うのではなく、一定期間の使用権を買う」方式がちょっとしたブームです。
わかりやすいのはソフトウェアで、昔は買取だったものが、今は月々の課金で最新版を使えるという仕組みに変わっていっていることを体感されてるのではないでしょうか。
最終的には買い取り方式よりも高い値段を払っていることも多いと思うのですが、ユーザーとしても思い切ることなく新しいソフトウェアに触れられるのはかなりのメリットだと思います。

 

ま、なんにせよ、意識してみるといろんなところで社会が変わっていることに気づきます。
そこで、家具屋さんが、今まで通り「いい家具をそろえれば、いいサービスをすれば、顧客は必ず買ってくれる」のか?と言えばかなり疑問です。
つまり、親が継続して経営していたとしても、子に代替わりを果たしたとしても、単に家具を販売するというビジネスモデルを見直さない限り、この家具屋さんはうまくいかなかった可能性が高い。
これが今の時代に事業承継を行うことの難しさではないでしょうか。
たまたまその時のリーダーの立場にいた人が、矢面に立たされる。
罰ゲームのようにも感じられますが、それが現実です。

さて、先ほど話に出たサブスクリプション方式。
これはたぶん、顧客の「悩み」を解決しているからこそブームになっているのではないかと思います。
使ってみたい商品があるけど、代金を支払って購入するにはちょっと勇気のいる値段。
その顧客が負うリスクを、業者側が肩代わりしたわけです。
顧客が勇気を出さずに商品やサービスを手にする方法を提案した、ということになるのではないでしょうか。

今までは顧客の「欲しい」を喚起して販売していたものが、
顧客が決断をする際の「リスクというハードル」を下げたのがサブスクリプション方式。
こんな風に、顧客が困っていることをいかにして改善していくかを考え抜くと、また新たなビジネスモデルを作ることができるかもしれません。
既存のほとんどの企業は、今そういうことを考えるタイミングに来ているのだと思います。
そこに進むにあたって先代とバトルを繰り広げる後継者もいるでしょう。
なかには、自分の立場と生きてる時代を恨めしく思う後継者もいるかもしれません。

それでも世の中は動いています。
このタイミングの面白さは、「過去のビジネスで必要とされたスキルが無効とされる(可能性が高い)」時期ではないかと思います。
つまり、「先代にはかなわない」と思っている後継者ほど、違った分野での能力が活かせる可能性が高まる時代と言えそうです。
自信を失った後継者が活躍できる時代。
そんなところに楽しみを見つけられるのではないでしょうか。
しめしめ、俺の時代が来たぞ、と(笑)

 

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