会社の中を見渡すと、
「なぜか顧客からのクレームを炎上させがち」
な人っていませんか?
同じクレームがあったとしても、
Aさんが対応すれば、2~3回のお詫びと説明でにこやかに終わるのに、
Bさんが対応すると、何回お客さんとやり取りしても、お客さんの怒りは収まらない。
実は、その根底には、ある「姿勢」が関係しているのではないかと思うのです。
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私の著書です。
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どんな組織にもいると思うのですが、お客さんからのクレーム対応がうまくいかない人がいます。
当初、小さな火種だったので、誠心誠意ご説明すればご納得いただけるだろう。
そう思っていた案件が、しばらくたつと大炎上。
お客さんの怒り心頭で、ほとほと困り果ててる担当者。
しかし、同じような性質のクレームでも、さらっと対応し、少しお話しするだけで最後は談笑。
クレームで始まった会話がうそのように、和やかに事が解決されている人もいる。
両者の違いにはいったい何があるのでしょうか。
いろいろな人を観察した結果、私が感じた決定的な違い。
それは立ち位置にあるのではないかと感じたのです。
立ち位置と言っても物理的な位置ではなく、心理的な立ち位置です。
もう少し詳しくご説明します。
まず、お客さんからクレームがあった時、私たちにはできることとできないことがあります。
それは、会社のルールであったり、法律の問題であったり、業界のしきたりであったり。
対応者は、守るべきものを持っています。
しかしお客さんには、そんなことは関係ありません。
憤りをぶつけ、振り上げたこぶしを下す場所を探しています。
ここで対立が起こります。
クレームを炎上させる人は、往々にしてこの時、完全に会社側の立場に立ちます。
お客さんの主張を、できる、できない、で判定し、お客さんをコントロールしようとします。
表現するなら、お客さんの前に盾をかざして、お客さんからの攻撃から、ルールや会社、そして自分を守ることを優先させます。
それ、お客さんから見ると
「こいつ、保身に走っている」
ということになるわけです。
お客さんの攻撃を受けないよう、強固な盾で防御して、自分は痛まないようにする。
そのことがありありと、お客さんには見えてしまう。
そもそも、クレームというのは、「自分を大事に扱ってもらえなかった」という思いが強いから起こるものです。
そこで怒りが頂点に達して、その旨を対応者に告げれば、対応者はお客さんより自分の都合を優先させる姿勢。
これでは火に油を注いでいます。
この状態をたとえるなら、まさに攻め込んできた敵(お客さん)と対峙する姿勢と言わざるを得ません。
対応者は、お客さんの立場に立つのではなく、あくまで会社側の立場に立っているわけです。
一方、こういったクレームへの対処のうまい人はどうするか。
簡単です。
お客さんからの攻撃を、素手で受け止める。
お客さんの痛みを、自分事として感じ取る。
そのうえで、お客さんの目線から見た解決策を考えていく。
お客さんの協力者という立場をとります。
その時点で、お客さんは自分を大切にしてくれている、という安心感を感じられるから、炎上することなくスムーズに解決されることが多いのではないかと思うのです。
お客さんと違う立場で交渉するからうまくいかない。
お客さんと同じ目線でサポートするからうまくいく。
こんなカラクリがあるのではないでしょうか。
さて、同族会社の事業承継、こと親子での経営の継承には確執がつきものです。
その確執が起こる背景には、ここまでお話ししたクレーム対応がうまくいく人とうまくいかない人のギャップに学ぶところが多いと思います。
同族経営で親子の確執が起こる背景には、双方が守りたいものがあります。
親は無意識に自分の地位を守りたいと考えます。
会社やお客さんから必要とされている自分、という状態を守り抜きたい。
子は子で、守りたいものがあります。
自分が認められる環境。
そしてそのためには、親の会社を自分用にアレンジしていく必要があるから、社内に変化を起こす許可。
それぞれが守りたいものを持っており、相手の状況について共感することなく対峙する状態。
これこそが、親の子の確執によこたわる潜在的な問題です。
すこし厳しい表現をすれば、お互いが自分たちの保身をすることを優先している状態です。
つまり、お互いがみえみえの自分の腹の内を隠しながら、相手を自分の思うようにコントロールしようとしているわけです。
これでは双方、いい感情は受けません。
まさに、クレームを炎上させる人の行動パターンをお互いで展開しているかのような状況に陥ります。
対立する状況を改善するために、必要なのはどうやら相手の立場でものを見る、ということではないかと思います。
感情的になっていると難しいのでしょうが、落ち着いたときに相手の心のうちに慮ってみる。
そのうえで、相手の立場で見たときの解決策を考えてみると、今まで見えなかったものが見えてきます。
はじめはキツイかもしれません。
しかし、ほんの少しだけ、そういった一歩を踏み出してみると、結果は大きく変わってくるかもしれません。
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