後継者の悩みは数あれど、その内容は時とともに変化します。
たとえば、30歳代の後継者の悩みと、
40歳代の後継者の悩みでは、少し違いが見られます。
それは後継者の方のステージが変わった、という事なのだと思います。
逆に言うと、一つの悩みを克服したら次の悩みがやってくる。
終わることのない苦行に、後継者はどのように対処していけばいいのでしょうか。
こんにちは。
中小企業二代目サポーター田村薫です。
私の著書です。
関心を持っていただいた方は、画像をクリック。
冒頭に書いたとおり、後継者といえでも年齢や経験によってなやみの中身は変わっていきます。
親の会社に入社した当初は、
・仕事をおぼえることに四苦八苦する
・この仕事が自分には合っていないのではないかと心配する
・お客さまの引継ぎが上手く出来るのだろうか?
・先代のやっている事を自分もできるのだろうか?という不安
といった事が悩みの中心ではないでしょうか。
言ってみれば、ビジネスパースンとしての悩みであると同時に、そんな自分が背負う責任について頭を痛めます。
その段階は、比較的自然に解消されるものです。
すると、次におこる悩みは、経営の戦略であったり、社内の最適化にかんする悩みです。
・いまの状態で会社を存続させるのは難しいのではないか?
・一極集中の意志決定プロセスでは、大変だ。
・社員と一緒に会社を盛り上げようと考えているのに、おもうようにいかない。
・なにか一手を打たなければいけないと思うけど、その一手が思いつかない。
このあたりで二つのパターンに分かれます。
親である先代と衝突するひとと、
親である先代にしたがうひと。
後者は、パッと見、おそらくうまく世の中を渡っていくのでしょう。
しかし、自分をいつわることはできません。
常に虚無感の中で生きているというか、モヤっとしたものを心に持ち続けるような気がします。
前者は前者で大変ですね。
日々、闘いです。
先代と争うたびに、自己嫌悪を感じ、罪悪感を感じる。
しかし、自分の想いを心の中には収めておくことができないから、つい口や態度に出す。
そんな経過の後、段々と先代は年を取り、体力も失っていきます。
会社へのかかわり方も薄くなりますし、そもそも実務もわからなくなってきます。
だから、細かい事に口を出すことはなくなります。
であれば、先代と後継者のコミュニケーションは復活か!?
と言えば事はそう単純ではなさそうです。
その頃には、後継者と先代のコミュニケーションはほとんどなくなっている事が多いでしょう。
だから先代も、何かを思いついても後継者には直接言わず、若い事務社員なんかに話しかける。
後継者にしてみれば、それさえもイラつくのです。
それを合理的に言葉にするとすれば、意味のない仕事を社員に勝手に先代が与えている、という感じかもしれません。
それさえなくなって、会社に先代が来るのが週に1度くらい。
そうなると、たまに来た時点で、もう後継者は得体のしれない圧迫感を感じます。
何か先代が資料を見ていると、口出ししないかと気が気でない。
監視されているようで窮屈。
もうこの場にいたくない。
もちろん、先代に悪気がない事は、頭では重々わかっています。
しかし、うっとうしく感じてしまうのだから仕方がない。
場合によっては、そう感じる自分に罪悪感さえ感じてしまう。
後継者の感覚としては、女性専用車両に何食わぬ顔で混じりこんでいるおじさんというか、
それぐらいの違和感を感じている事が多いのではないでしょうか。
もうここはあなたの場所ではない。
そういいたいものの、排除してしまうとこれはこれで困ったことがおこりそうな気配もある。
ここまで来てしまったら、どうすればいいのでしょう。
短絡的に考えると、先代を会社に出入り禁止にしてしまう。
自分にとって嫌な状況が起こらないようにしてしまえば解決しそうなものです。
しかし、多くの場合、それをやってしまうと良心の呵責にさいなまれます。
先代も傷つきますが、後継者自身も傷つきます。
では、なぜ、先代が会社に出社するだけで、そんな風に心がざわつくのでしょう。
それは、過去の習慣からくるものではないでしょうか。
つねに干渉されてきた、何十年にもわたる習慣です。
だから、また干渉されるのではないか、という恐れ。
この感情は、自分で認識している以上に大きいものです。
これを克服するには、ベタな話ですが自分が精神的優位に立つしかありません。
極端に反応しないよう。感情をコントロールする事です。
そしてもう一つは、自分の内面にも同じもの―他人に干渉しようとする傾向がないかをチェックしてみたほうがいいかもしれません。
他人の気になる行動は、往々にして自分がやっている事でもあります。
先代が自分に干渉しようと感じている一方で、あなたが先代の行動に干渉しようとしている傾向はないでしょうか?
そういった感情を手放すよう意識していくと、少しずつうっとうしさは緩んできます。
先代が会社に来ようが来なかろうが、何かを言おうが言うまいが、
普通に受け入れられないという事は、先代を出社させまい、先代に意見を言わせまい、というところにこだわる自分がいるのではないでしょうか。
そこに目くじらを立てずに済むようになれば、きっと、先代をうっとうしく思う事は少なくなってくるのだと思います。
私の著書です。
関心を持っていただいた方は、画像をクリック。
この記事へのコメントはありません。