ある本を読み返していました。
その本のあとがきには、こうありました。
本を書とは、とても”正気”ではできない行為です。
なんとなくわかる気がします。
それでも伝えたいことがあるから、書くわけですが・・・。
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親子の事業承継というと、すごく表面的にとらえられています。
ネットで検索すると、「適性ややる気のない後継者」を憂う記事。
後継者を家業から遠ざけるような関係性を作っていることに気付かない親。
カラ元気っぽい、「頑張れアトツギ」的な記事。
立場はそれぞれ、主張もそれぞれ。
ぼんやり眺めていると、そんな様子が見て取れます。
ところで、人は普通に自己欺瞞(自分で自分をだます)ができる生き物です。
というか、意識しなければ、常に自分をだまして生きるのが人間とさえ思えます。
どういう方向にだますかというと、「他人にどうみられるかを意識した行動を、まるで自分がそうしたかった」かのように自分に見せるのです。
たとえば、親はさももっともらしく、「後継者に適性がない」理由を挙げることができます。
しかし、後継者をそんな人間に育てたのも、親子なら親の責任。
会社に入って、5年も10年も働いて、期待通りの成長がないなら、成長を促すことができなかった上司の責任です。
また後継者は、「元気がない自分」「結構つらい自分」を欺こうとして、前向きな考えで脳を塗り込めようとします。
一昔前のホラーサスペンスではありませんが、壁に死体を塗り込めてもいつかはバレます。
それとおんなじで、自分の本心を抑えて、「それらしい姿」を演じてもどこかで調和を崩すものです。
今回上梓した本には、直接的にではありませんがそんな感じのことが書いてあります。
多くの人が「目に見えている問題」ではなく、誰も気づかない「目に見えていない問題」にフォーカスしています。
親の会社を継ぐ技術~後継者のゆく手をはばむ5つの顔を持つ龍とのつきあい方~
さて、冒頭の話に戻りますが、本を書くというのは正気ではなかなか難しい。
なぜならば、それは活字として残ります。
国会図書館には、日本で出版されるすべての本が納本されます。
これは法律上の義務。
つまり、今書いたことが半永久的に、保管されるのです。
書き始めはまだいいのですが、それをチェックする段階になるとちょっと怖くなってきます。
こんなこと書いてもいいのかなぁ。
ちょっと過激な考え方だから抑えたほうがいいかなぁ。
批判が来たら嫌だなぁ。
こんなのおかしい、と詰め寄られたら困るなぁ。
知ってる人に読まれるのは、恥ずかしい部分もあるよなぁ。
まあ、いろんな思いが去来します。
そしてそれは、何十年、何百年と残る。
それでも、自分の考えを偽り、大多数の意見に迎合するなら、そんなものを発表する意味はないわけです。
だから、批判を受けるであろう考え方も書き記しました。
少しだけお話しすると、親の会社を継ぐって、当たり前だけど人生の選択なんです。
自分の人生において、どんな舞台を選ぶか。
そしてたいていの人にとって、舞台というのは必然的なものではなくて、そこで演じる自分や登場人物こそがその劇を作り上げていくものです。
たとえて言うなら、恋愛ドラマも宇宙でやればSFになります。
舞台は宇宙で、登場人物が作る劇は恋愛です。
本質は、宇宙という舞台ではなく、恋愛劇ですよね?
人生においても、実は親の会社を継ぐとか継がないとかは、ただの舞台設定なわけです。
その舞台の中で、あなた自身がどんなキャラクターを演じ、どんなストーリーを紡ぐかが大事なのです。
しかし多くの場合、舞台設定を重視するあまり、本質を見失い、うつ状態になって今います。
そうなる原因は一つ。
誰も自分を尊重しないからです。
じゃあ尊重される状況を作ればいいじゃないですか。
そういう場づくりについてのことを割と重視して書いたつもりです。
さて、これが世間で受け入れられるかは、わかりません。
というか、それなりに存在感が出るほどに売れれば、批判は殺到するでしょう。
書いた時点で覚悟はしたつもりですが、そんなことを考えると今でも背筋が寒くなります。
けどいいんです。
それでも伝えたいと思ったから。
ところで、冒頭の私が読み返した本のあとがきはこんな風に締めくくっていました。
私は本書を書くことで、恥ずかしい気持ちも、自信のなさも、批判されることへの不安も、すべてをわかっていながら、それでも、自分の魂の底から突き上げる理想を信じて、偽らない情熱をカタチにしました。
次はあなたの番です。
私はそんなにスパルタではありませんが、何か本書から感じてくれる人が一人でもいてくれたらいいな、という思いを込めて書きました。
親の会社を継ぐ技術~後継者のゆく手をはばむ5つの顔を持つ龍とのつきあい方~