「雪が降っても、自分の責任」
起業の専門家と呼ばれる浜口隆則氏は経営者にはそんな覚悟が必要だと言います。
アタマではわかりますが、こんなこと考えてたら、もう押しつぶされそう。
そんな風に思ってしまいませんか?
私は後継者として、いずれ親の跡を継いで経営者とならねばならぬ立場である、という状態でそんなことばかり考えていました。
経営者になる事が怖かったのです。
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たとえば、ある一日、親が出張で会社を留守にしていたとします。
今なら携帯電話でたいてい連絡がつきますが、私が20代のころはせいぜいポケベルです。
そんな留守を任されていたとき、非常に判断に迷うような難しい問題が起きたらどうしよう?
親が出張から帰るまでに結論を出さなければならない問題が起きたらどうしよう?
若き日の私はけっこう不安に思ったものです。
何も起こらなければホッとする。
次の機会も、何も起こらなければいいな、と思う。
逆に何か問題がおこれば、冷や汗か脂汗かわからない汗をかきながら対処する。
もう二度とこんなことはごめんだ、と思う。
けどまあ、親が出張に行っている器官なんてたかが知れてるわけです。
数日レベルの話。
その間、何も起こらないことを祈りながら暮らす日々ってなんとも不毛な日々です。
これが、経営の代を変わると、毎日何かが起こらないことを祈り続け、数十年を過ごさなければなりません。
けど、たぶん、何十年もノートラブルで会社を運営することなんて出来っこありません。
とにかくトラブルを避けよう、避けようと、ビビりながら過ごす日々。
これだと、経営者なんて割に合わない立場です。
さらに、冒頭にあるように、「雪が降っても自分の責任」です。
社員が自分の目の届かないところで起こした問題も、経営者が責任を問われたりします。
社員教育の問題とかいわれたって、完璧なんてありえません。
たとえば顧客とのトラブルが発生した時、あんがい、モンスターな顧客であることも多かったりします。
そんなモンスターが、「社長を出せ!」と詰め寄っられた時、逃げ惑う社長も結構います。
こうやって逃げまどっていると、いつまでたっても、同種の問題は「不安材料」でしかありません。
たぶん同じ問題を、何度も何度も経験し、その都度、逃げたり、隠れたり、何とかならないかと傍観者を決め込んだりしがちです。
こういうことは、たぶん次も起こるし、次も脅威です。
けど、ある時、「もうダメもとだ!」とおもって、そういう問題に積極的に首を突っ込んでみました。
すると、だんだんと、平常心で対処できるようになります。
すると、物事が見え始めるんです。
ああ、こういう問題は、こういうパターンがあって、次はこうすればいいんだ。
そんな風に、対応する手順が見えてきます。
もちろん、問題が起こらないに越したことはないですが、問題に正面から突っ込んでいくと、今まで見えなかった解決のための作業手順がわかります。
いったん、そういったことが分かった問題は、問題ではなくなります。
ルーチンのように対処できるようになるわけです。
これを、「成長」といったり、「学習」と言ったりします。
やったことのないことを「責任を持て」と言われても結構きついものです。
しかし、やれるようになって振り返ると、「まあこんなもんか」と思えることが多いのも事実。
「雪が降っても自分の責任」というのは、心構えの問題です。
そう考えることで、問題に積極的になる事ができ、そこから学習できる、ということではないかと私は思っています。
ここに、冒頭の「雪が降っても自分の責任」のもとになるコラムを引用します。
参考になれば幸いです。
私たちは、失敗する。
必ず、失敗する。
理想を目指せば、日々、うまくいかないことだらけだ。
それが経営の現実。
しかし、それは他の誰の責任でもない。
すべては、経営者である私たちの責任だ。
失敗するのには、理由がある。
うまくいかないのには、理由がある。
失敗は、その理由を教えようとしてくれている。
「今のやり方は間違っているよ」と教えようとしてくれているのだ。
しかし、成功できない経営者は、失敗の原因やうまくいっていない理由を、
自分ではない他の誰かや何かの責任にして、その教えから、逃げている。
それで経営がより良くなっていくハズがない。
自分以外の責任にばかりしていないか?
言い訳ばかりになっていないか?
自分を冷静に見つめ直してみよう。
「 雪が降っても、自分の責任 」
それくらいの覚悟をした経営者だけが、
失敗を糧にして、一歩一歩、成功に近づいていく。
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