田村の頭の中

義務をどハマりにかえる13のコツ

後継者って、義務感から親の会社を継いでることも多いと思います。
本当はこんなことやりたくないんだけど、親のためにやってやってる。
いい加減辞めたいんだけど、辞めるわけにもいかないので仕方なくやってる。

そういう状態になってしまってること、けっこうあるんじゃないでしょうか。
まあそれでうまくいってるならまだしも、たいていはうまくいかないし、嫌々やってることで成功するとは思えません。
好きこそものの上手なれ、という言葉がありますが、あれは本当だと思います。
後継者としての義務をどハマり状態に変えるほうほう、考えてみました。

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後継者に限らず、義務感で何かをせざるを得ない時、けっこうあると思います。
で、そもそも「義務」ってなんぞや、と調べてみると、Wikipediaにはこんな語源が記されていました。

「義」は「恩義」等に見られる恩恵等に対してそれに報いる双務的な徳目。「務」は、他人に対して労役などを提供すること。

解釈として正しいかどうかはわかりませんが、「強制」という言葉との対比で考えると、
強制=拒否権がない
義務=一応拒否権はある(けど拒否した際の責任をかぶる覚悟は必要)
という感じでしょうか。

早い話が、「義務」は腹を決めれば逃れられるもの、と言えそうです。

「義」、つまり恩義に報いるために、
務めを果たす。

ああ、まさに、親に育ててもらった恩義を果たすために、親の会社を継ぐ。
なんとなく意味が通りそうです。
けど、義務がしんどいのは、自分のためじゃないからです。
コイツを自分のためにやろうと思えれば、それなりに愉しめる要素はあるかもしれません。

ということで、そんなコツを考えてみましょう。

コツその① 強制されたとは考えない

そもそも家業を継ぐのがこの義務、と考えたとして、義務はあくまで義務。強制ではありません。
逃げようと思えばいつでも逃げられます。
この感じ、結構大事だと思います。自分が一か所に縛られている、と考えると精神的に窮屈になります。
だけど、「その気になればいつでも逃げられる」と考えるとそれだけで楽です。

コツその② 義務感でやらない

強制より少し緩いとはいえ、義務でやるのもおすすめできません。
なにしろ、人は「自主的にやっている」という感覚こそが大事なので、義務でやってる時点でストレスは蓄積されていきます。
「やらなければならない」を「やりたいからやっている」に転換します。
そもそも、今の状況から一目散に逃げださないのは、今の状況にわずかでも「メリット」を感じているからです。
たとえば、親子だからクビにならないだろう、とか、多少の甘えは効くだろう、とか。
本来は、そういった思いは「よくない考え」として押し殺しがちですが、そういう裏の想いを炸裂させましょう。

コツその③ 仕事の中の楽しいことをリストアップする

今の環境や仕事が嫌だとしても、それを分解して作業レベルにしていくと、一つぐらい夢中になれることがあるんじゃないでしょうか。
たとえば、営業は嫌だけど、お客さんに会うことだけは好きとか、実行するのは苦手だけど企画を考えるのは楽しいとか。
曲を作ることに例えると、「作曲はできるけど、楽器は演奏できない」とか、「楽器は演奏できるけど、楽譜は読めない」という人でもミュージシャンとして一流の人はけっこういます。
ちなみに、ビートルズのジョン・レノンは、デビュー前にはギターのチューニングすらでたらめだったそうです。
仕事の多くは、成果物で一塊として語られがちですが、そのステップの1つだけでも好きとか、得意というジャンルがあればそれをリストアップしてみてください。

コツその④ 楽しいこと、出来ることを極める

音楽でいうなら、ギターを弾ける人、キーボードを弾ける人、歌を歌える人・・・そういう人が集まって、音楽を作り上げます。
会社だっておんなじハズです。
得意なことを、得意な人が担当すれば、全体としてちゃんと成立します。
コツ③でピックアップしたことを、ひとまずは極めていくことを意識してみてください。これは、なかなかに楽しい時間だと思います。

コツその⑤ 自分の能力を活かす方法を考える

コツ③、④で磨いている能力を、会社の中のどの部分に役立てることができるか。
またこれらを使って、会社を大躍進させる方法があるとすれば、どういう方法があるか。
そんなことを考えてみてください。
営業が苦手だけど、文章を書いたり、動画を作るのは好き・・・とすればそういった方法で、あなたの会社をアピールしてみてください。
また、新しい人と出会うのが得意だけど営業は苦手、ということならたくさんの人脈を作り、そこに営業が得意な人にサポートしてもらう仕組みを考えてみてください。
きっと、あなたの会社にいるほかの人も、「事務のココは得意だけど、ココは苦手」という人だったり、「営業のココは得意だけど、ココは苦手」という人はたくさんいます。
ある仕事の成果を目指す中で、そのすべての段階でトップクラス、という人はそうそういるものではありません。

コツその⑥ 自分の苦手分野をサポートしてくれる人を探す

自分が好きでないこと、苦痛なこと。
これを逆に「得意だし大好き!」という人はけっこういるものです。
たとえば、私は単純作業の繰り返しが大嫌いで、そんなことを人に頼むのもちょっと申し訳ないな、と思っていました。しかし、ある人は「単純作業大好き!」と言っています。
出来ないことは、得意な人に頼めばいい。そして、その前に、得意な人を探さないといけません。
さらにその前に、あなたの周囲にいる人の得意分野が何かを知らなければなりません。
そのための対話は、面倒くさがらずにやって、常にその人の卓越した才能は何か?を真剣に探してください。
あなたにとっての救世主になる人なのですから。

コツその⑦ 苦手なこと、嫌なことを手放す

嫌なこと、やりたくないことは手放してしまいましょう。
こういうと、たいてい「そんなことはなかなか難しい」という反論が出てきますが、それは思い込みであることが多いものです。
「こういう仕事を部下に任せるのはちょっと・・・」という人はたくさんいます。
きっと親がまさにそうしてるんじゃないですか。
だから、そこそこ思い切りが必要です。そして、リスクを受容する覚悟が必要です。
なにしろ、今までは自分がやっていて、それなりに現実が回っていたことを辞めるのですから、一時的に、良くないことが起こる事もあります。
それが起こっても、辞めると決めたんだから、辞める方向にもっていくぞ、という覚悟はそこそこ必要だと思います。

コツその⑧ 人に任せられない時はその理由を考える

人に任せられないのは、それを手放したくない証です。もしそんなことがあれば、なぜ手放したくないかを考えてみましょう。
自分でも気づかなかった、その仕事への執着があるのかもしれません。
また、自分の「ルーチンの仕事」を失って、自由になってしまうことへの恐怖心があるのかもしれません。
はたまた、あなたは任せる相手を信用できていないのかもしれません。
なんにせよ、嫌なことを手放せない理由の多くは、周囲にあるのではなく自分の内面にあることが多いのではないでしょうか。
その部分について、しっかり自問自答してみましょう。

コツその⑨ やりたいことと仕事を紐づける

ここまでくると、やりたいことがそこそこできる環境になってきました。
とはいえ、現実世界で生きる中では、そのやりたいことがお金を生む必要はまだあります。
そのやりたいこと(というよりやりたい”作業”)に集中する中で、それを仕事と紐づけることを考えてみましょう。
このステップでは、自分一人で考えるのもいいですが、大量の情報収集はやっておいたほうがいいと思います。
選択肢のバリエーションは増えますからね。
それなりに対等に話せるパートナーがいるなら、そんな人たちとの対話を通じて考えていってもいいでしょう。

コツその⑩ 親の会社の事業はいったん脇へ置く

自分の得意なところ×今後のビジネス と思考を広げていく中では、家業の事業が何かはいったん脇に置いておきましょう。
「家業の中でいかに自分を活かすか?」と考えていると、思考の範囲は狭くなります。
まずはすべての障壁を取っ払って、もうそうでも何でもいいのでとにかく大きく思考を広げます。
そうやって、次々とアイデアを出していき、出尽くした後、一つ一つのアイデアを検討していきます。

コツその⑪ 家業を守ろうとしてはいけない

後継者が陥りがちな罠として、「家業を守らねば・・・」なんて言う辛気臭い思いにとらわれてしまうことが挙げられます。
そもそも、それが面白くないから、義務感としか感じられないんじゃないでしょうか?
儲か業なんてどうでもいいから、目の前にあるもの、与えられたもの、手の届くもの、それらを使って楽しいことをやってやれ、という考えを起点にしたいところです。
どうせこのままいけば、家業は衰退するんじゃないですか?
だとしたら、それを守ることを第一に考えるよりも、家業が蓄積してきたものを活かして違う花を咲かせるくらいの考えが健全じゃないかと思います。

コツその⑫ つまらないアイデアは却下する

こういったことを考えていく中で、後継者というのはホント面白みのない考えを持ちがちです。
なんだか、教科書通りにしか考えないというか、冒険心がないというか、誰かに忖度してるとか・・・。
口にした時点で、ワクワクしないアイデアは基本、却下です。
まあ、いきなり却下するのはもったいないので、このアイデアがもう少し楽しそうになるにはどうすればいいか?という質問を加えてみるのもいいかもしれません。
この時に、やるか、やらないかは考えなくてもOKです。
アイデア出しの時点で、「やれそうな範囲で考えよう・・・」とするからつまらないアイデアしか出ません。
とりあえず、無責任に考えてみましょう。
責任に縛られがちな後継者は、それぐらいの感覚でちょうどいいんだと思います。

コツその⑬ ちょっとだけやり始めてみる

色々妄想して、ああ、こういうアイデア、面白そうだな、とおもったらまずは小さくやり始めてみます。
ここだけは、ちょっとばかり義務感とか強制感もってスタートしましょう。
何事も、始めるのが一番大変です。
もちろん、向かう方向はムチャな妄想であることもあると思いますが、それはやっていく中で軌道修正をしていけばいいのです。
そもそもが出来そうもないことに向けて動き出しているのですから、出来なくて当たり前です。
けど、それなりに真剣に取り組んでください。
もはやドン・キホーテのように見えるかもしれませんが、やり始めてみると結構ハマることはあるものです。
初めは隙間時間で、ほとんど予算をかけず、というスタートだと思いますが、熱中してくると面白いことが起こるかもしれません。
その熱を周囲に感染させる可能性もあります。
まぁ、なんにしてもまずは自分がどハマりすることができれば、そこでひとまずは成功です。
あとは、紆余曲折があれど、最後はそれなりの成功を収めるはずです。

なぜなら、どハマりしたら辞められないからです。

 

・・・ということで、義務感をどハマり状態に変えるコツ、書いてみました。

まああんまり整っている内容とは言えませんが、参考になる部分の一つや二つ、あるんじゃないでしょうか。
実践された方がいらっしゃれば、ぜひ、後日談も伺いたいところです。
幸運をお祈りしております!
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画像提供元:Gerd AltmannによるPixabayからの画像

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