後継者

「24時間働けますか?」時代と、「断捨離」時代

ふと「バブル」の時代について考える機会がありました。
不思議な時代で、売り上げはめちゃくちゃ上がる。
会社は儲かりすぎるから、経費はバリバリだす。
バリバリ出すから、お金は回る。

なんだか今から考えてみると、無駄を生産し続けて成り立っていたような気もします。
それでも当時は、売り手も買い手も、社会もそれを認めていたからそれなりにうまく回ってました。
では、今、親の会社を引き継いだ後継者は、その考えを継続していてもいいのでしょうか?

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たまたま出張先のホテルの朝食会場がファミレスだったので、朝のファミレスに足を踏み入れました。
東京・新宿から2駅ほどの場所です。
朝7時ごろ、ファミレスには3組ほどの客がいました。
彼らはそのお店で夜を明かしたようで、空になったドリンクバーのグラスを前に、居眠りをしていました。

フロアスタッフは、2名。
厨房にも人はいるのかもしれません。
例えば、深夜からこの時刻まで、果たしてどの程度の売り上げがあるのだろう。
人件費を負担してまであけておく意味があるのだろうか?とぼんやり考えていました。

 

今、コンビニの24時間営業が、揺れています。
確か、日本でコンビニが24時間営業を始めたのは、私が調べた範囲では1975年が始まりのようです。
その後1970年代後半~1980年代前半にかけて、次々と参入が増え、成長期に入ります。

ちょうど、バブル経済といった、無駄を消費する経済情勢の中で、「24時間働けますか?」というキャッチコピーに後押しされて今の24時間営業が定着しました。
ファミレスなんかもたぶん、そんな流れで24時間営業となったのでしょう。

 

ある記事では、ファミレスの24時間営業の意味が薄れたのは、若者のたまり場がリアルな場でなく、SNSなどで代用されるようになってきたから、と結んでいました。
また最近では、一人ならドリンクも食べ物も、うたた寝する場所もあるネットカフェもライバルでしょう。

コンビニに至っては、これを機に無人店舗化が進んでいくかもしれませんね。

 

社会全体の価値観としては、今どき「24時間働けますか?」なんてCMが流されたら、一瞬でアウト。
驚くのは、私が成人してから今までの約30年間で、180度価値観が変わってしまっています。
バブルの時は、「これもいるかも」といろんなものを加えてビジネスが成り立ってきたと思います。
今の流れはどちらかと言えば、「いらないものを省いた」ものが売れる流れかもしれません。

 

こういった時代の転換期に後継者が代を継ぐと、時々厄介なことが起こります。
「24時間働けますか?」の感性でここまで来た世代と、「断捨離」世代の決定的な価値観の違いが表出することがあります。
イマドキは、断捨離、ミニマリスト、そんな言葉が出る時代です。
たぶん、バブルの時代にこんなこと言ってたら、「デキない奴」と切り捨てられてたんじゃないかと思います。
なぜそれほどの価値観の変化があったかというと、私は「目的の変化」だと思います。

「24時間働けますか?」の時代は、「量」の時代だったと思います。
会社を大きくし、売り上げを最大化し、そのために必要な経費はジャブジャブ使う。
とにかく、量を増やすことが大事でした。

「断捨離」時代はたぶん、「中身」の時代だと思います。
手元にあるものの量を減らそうという人が増えているので、商品の供給者としては中身を充実させることが重要だと思います。
おいしいけど少量の料亭旅館の宿泊プランが象徴的かもしれません。

これでもか!と量を追求してたところから、いいものをちょっとだけ、だったり、いらないものは手放す、という意見もありますね、という感じ。
安くもない軽自動車が売れてたのは、「これで十分」なことに気付いた、ってことなのでしょう。

 

ちょっと怖いのは、後継者が「24時間働けますか?」の価値観を引きずってしまうこと。
量的なところに思いが吸い寄せられて、ふたを開けたら赤字だった、とか、
従業員から訴訟されちゃった、とか、
無理が祟って、会社が疲弊した、とか。

親の時代は、世の中全体が「24時間働けますか?」の時代だったのです。
売りても、買い手も、社会も、その基本ルールを受け入れていたからうまくいきました。
そして経済が伸びてたので、作れば、市場に出せば、売れたんです。
いまはそことはちょっと違うところに社会がずれてきています。
本当に大事なものを選び、そこに資源を集中していく必要があるんじゃないかと思います。

 

では、その大事なモノって何なんでしょうか。
利益?
もちろんそうかもしれません。
しかし利益はあくまで手段です。
その手段で、今の社会に何をもたらす会社でいたいのか。
少し深く考えてみる時間をとってみてはいかがでしょうか。

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画像提供元 Pixabayのthank__youによる画像です

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