わりと後継者が気にされることがあります。
それは、「中期経営計画はつくったほうがいいのか?」という質問。
結論から言うと、何か差し迫った理由がないのであれば、作りたければつくればいいし、面倒ならやめればいい。
どっちにしても、その中期経営計画書にどんな目的を持たせるか?が重要なのではないでしょうか。
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まず断っておきますと、私は経営計画書の専門家ではありません。
従って、実体験と、直接交流を行っている経営者との対話による私なりの考え方であることを、まずはご了承ください。
実は、私自身、数年前に中期経営計画を作る必要に迫られました。
メーカーさんから出せ、と言われたんです。
で、メーカーさんでテンプレートは提供されたのですが、当然それはメーカーが知りたいとこの内容しかない。
しかも実効性というよりも、誓いを立てさせて、それで煽る目的に使われるであろうことは容易に想像できました。
私はどうせ作るなら、それなりに実効性のあるものを・・・
と何冊かその手の本を探してみました。
書店で次々と中身を確認してみましたが、ちょっと「何かが違う」という感覚に陥りました。
よくよく著者を見てみると、税理士や会計士が書いているものがほとんど。
たまに中小企業診断士、という感じでしょうか。
やっぱり、という感じです。
そのとき何を感じたかというと、税理士や会計士、中小企業診断士の方々は、多くの場合、自身で会社を経営されていません。
もちろんクライアントと一心同体で伴走している方も一定数いますが、多数派は決められたことを決められた通りにやる人じゃないでしょうか。
そこに独自の戦略もなければ、マーケティング戦略もないことが多いように感じています。
ということはつまり、これは金融機関向けの事業計画書の書き方なんだ、という印象を抱きました。
融資を引き出すためだったり、取引先を安心させるため(?)のもの。
私が望んでいたものとはちょっと違います。
何が違うのかというと、お金の話ばかりで、そのお金をどう稼ぐかにあまりフォーカスされていないのです。
たとえば、3年後には設備投資をする、そのためにその頃に売り上げを幾らにする、そのために営業を増やす・・・とかですね。
一見論理的に見えますが、じゃあその「売上を上げるためには何をするんですか?」ということをあまり重視していません。
本ですから、それらしいことは書いています。
しかし、事業計画書や中期経営計画書が、未来のありたい姿を描くものだとすれば、その実行を助ける内容でなければ意味がないと思っています。
書面上の数字のつじつま合わせをして、「こうなれるようにがんばりましょう」・・・終了、ではちょっとそっけない気がします。
結果として、社員のおしりをたたくツールになりがちなのではないでしょうか。
一方で、中期経営計画書や、経営計画書は、社員に会社のビジョンを見せる役割を持つ、という話もあります。
これは確かにそうかもしれません。
ただし、そうであれば、これを何度も何度も見直す前提でなければならないと思います。
年に一回、経営計画発表をやるとか、四半期に一度振り返るとかいうのであれば、「ああ、そういやそんなの作ったな」レベルじゃないでしょうか。
せめて月単位、週単位くらいでは見直して、経営計画書がボロボロになるぐらい使うと、価値があるかもしれません。
また、これを作る過程に社員を参加させることで、社員の主体性をはぐくむ、という考え方もあるでしょう。
これはうまくやると、きっといい効果があるんじゃないかと思います。
やらされ仕事にならなければ・・・という前提ですが。
ということで、良い部分もあるし、苦労したほどの効果がないこともあります。
ただ、私のヒアリングした範囲では、作るまではいろいろとステップを踏んでやったけど、出来てからはたいした振り返りはしていない。
四半期に一度「こんなの作ったよね、進捗はどう?」、「あ、そうか。じゃあ頑張らなきゃね」以上。
そんな感じで、あるのかないのかわからないぐらいのトーンで終わっている企業も多いし、場合によってはその振り返りの機会を1年に一回しか設けていないケースもあるようです。
それだったら、作る必要あるのかなぁ、なんて思います。
ビジョンとかミッションの浸透には、ある程度繰り返しが必要だと思っていますので、作って終わりというより作ってからが大事なのではないか、と個人的には思っています。
ここまでで、中期経営計画や事業計画を紙などの資料に落とし込む目的をいくつか考えてみました。
最終的な結論として、その目的が明確で、その目的に合致したつくり方やフォーマット、そして振り返る仕組みをセットで考える中で、必要なら作ればいいし、必要なければつくらなくてもいい、と思います。
私の印象として、ここをきっちりやっているから会社が伸びているとか、やってないから伸びないとかいう明確な相関関係は見えないような気がします。
どちらかというと、書類として作ることより、社内でどんな風になりたいね、というものを共有できているかどうかが重要なのではないかと思います。
※金融機関や取引先対策というのも明確な理由の一つなので、その意図で作られる場合はその意図に応じた作り方をご検討ください。
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