非常時に鍛えたい後継者の判断力

このところ、一昔前と比べて大規模な災害が増えている。
そんな風に思うのですが、いかがでしょうか。
そんな時、経営者としては、決断の連続です。

工場を止めるか止めないか、
社員を帰すか帰さないか、
何を優先させて、何を後回しにするか、
何を捨てて、何を持ち続けるか。

こういった判断はその場限りで考えるというのは決してうまくいきません。
そして、「正しい」「間違い」というのもあまりないでしょう。
後継者が自信をもって経営をするためには、
常にそういったトレーニングが必要となります。

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有事の対応にはつねに「問題」が付きまとう

災害に遭遇した時にどう接するか?

私の親は、1970年に大阪で今の会社を創業しました。
それから約25年の間は、大規模な災害にあうことはありませんでした。
集中豪雨などの局地的な災害はあれど、会社自体が非常事態に巻き込まれることはほとんどなかったようです。
その状況を破ったのが、1995年に発生した阪神淡路大震災です。

その後、全国的にも何度かの広域災害が起こりましたが、幸いにして当社が巻き込まれるようなことはありませんでした。
そして2018年の台風21号。
数日前より予想されていた通り(もしくはそれ以上)の爪痕を、大阪の地に残していきました。
こういったときにどうふるまうか。

あるいは、まだ経営を任されていない後継者の方は、皆目見当もつかないかもしれません。
そんな状態をぼんやり見ているなかで、「自分にはそんなときの対応はできないかも・・・」としり込みする後継者の方もいらっしゃるかもしれません。

決断の連続

実は、こういった非日常的な経験は、決断の連続です。
・危険な台風なら社員を早く帰らせるか?休みにするか?
・日常業務を中断することで起こる損失はどうするか?
・営業を取りやめることでの取引先からのクレームはないだろうか?
瞬間瞬間で、決めるべきことが怒涛のように押し寄せてきます。

たいていは、何かを優先させれば、何かを失う。
決定的な判断が難しい選択肢が山のようにあるわけです。
日常的なシーンであれば、前例を調べたり、他社を調べながら決めることもできるでしょう。
しかし、災害の場合にはその余裕は、ないかもしれません。

雨天による決行?中止?

もっと身近なところで行けば、あなたが幼稚園の園長先生だったら「雨が予想される日」の運動会、やるかやらないか?
という問題にたとえてみてもいいでしょう。

やると言ってしまえば、早く切り上げる可能性があったり、屋内で簡素に済ませる必要があるかもしれません。
雨に濡れた子供が風邪を引いた、保護者の方もびしょびしょになってクレームが来るかもしれません。

順延と言ってしまえば、別日程を用意しなけれなりません。
当初予定していた土日開催なら、職員はまたもや休日出勤。
平日開催なら、見に来ることが難しい保護者のクレームが出てきそうです。

やはり、あちらを立てれば、こちらも立たず。
さらに、結論を出すのが遅れれば、「なんで早く案内してくれなかったんだ!?」というクレームも来ます。
けっきょく、どの選択肢をとっても、どの選択肢をとらなくても、文句は言われる可能性があるわけです。

シビアな選択には「正誤」はない

何が正しいではなく、なにを〇〇させるか

こういった問題に正誤はありません。
どの方針をとっても、誰かが困ったことになります。
こういったときの判断は、「正しい」ことを求めても答えは出てきません。

たとえば、猛威の振るう台風の中、「お客様のために無理をしてでも営業する」というのはある意味において正しい。
一方で、二次災害を招いたり、帰宅困難者を作るようなタイミングで営業することが良しとはされない時代であるのも事実です。
実際に、台風の中営業を続けた、デリバリーピザの配達員が台風で吹き飛ばされる動画がシェアされ「ありえない」という批判を受けています。

これも、「食べるものに困っている人に、食べ物を」という文脈で見れば、「がんばれ!」とエールを送る人もいるでしょう。
逆に、早々に休業を決めた店は、ある文脈では「常識的・社員を大事にしている」と言えますが、別の文脈では「仕事の社会的役割を放棄している」と言われてしまうこともあるでしょう。

つまり、当事者の外からの判断は、いかようにも変わります。
どっちをとったとしても、批判もあれば賞賛もある。
そこで、どの選択をとるかを決めるのは、あなた自身の優先順位。
それはいいかえれば、あなたの意志です。

後継者としてどんな価値観を大事にするか

こういった災害などのニュースを見たとき、まだ後継者が経営の実権を握っていない状態だとしたら、「自分だったら経営者としてどんな判断をするか?」というシミュレーションをしてみてほしいのです。
そのシミュレーションの過程では、「あなたが大事にする価値観」を明確にする必要があります。
あくまで、シミュレーションですから、他人の評価は一切無視して結構です。
ただただ、あなた自身が正しいと思う行動を、思考実験として行ってみてほしいのです。

そのときには、ある程度腹をくくる必要があります。
それが「責任」です。
こんな批判があろうとも、
あんなことを言われようと、
「自分はこういう思いでこういう行動をとった」
とはっきり自信をもって言える状態を想像の中で作っておくのです。

「自信がない」の正体

「自信がない」をいいかえると、ハラをくくることができていないことが原因の一つではないでしょうか。
どちらの選択をしても、問題は残る。
その残った問題を、自分の責任において抱える覚悟と言い換えてもいいかもしれません。

結局最後は、決断しなければならないわけですが、時間切れで仕方なく決めたことよりも、それなりの覚悟を持って決めたことではすべてにおいて意味が変わります。

 

さて、冒頭に、私の父は1970年に会社を興して、1995年の阪神淡路大震災までそういったシビア選択を迫られるケースはほとんどありませんでした。
当時、彼もそういった有事の対応については素人だったわけです。
きっと皆さんの先代も、実はこういったシビアな災害時の選択を経験した人はまだまだ少ないかもしれません。
しかし、傾向として、今の日本はこういった災害が多発する傾向にあるように思います。
そういったときのために、自分とは直接のない災害も「もし自分の会社が巻き込まれたなら」という前提で脳内シミュレーションをしてみてはいかがでしょうか?

実はその作業は、あなたがこれから握るであろう経営の根幹になる価値観を明確にしてくれるかもしれません。

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