後継者

後継者として苦しんだからこそ見えた生きる道

私が大学を卒業し、親の会社に入社したのが30年近く前のことになります。
その時には、働くということの意味をあまり考えたこともありませんでした。
単に、働かないと生活できないから。
働かないと、ホームレスにならざるを得ないから。
働かないと、飢えてしまうから。

ただ、生活のために働く、そんなイメージを持っていました。

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まずはこの3分ほどの動画を見ていただければと思います。

 

私は、親の会社に入社した当初は、夢と希望にあふれていました。
それが1年とたたず、絶望のどん底に落ちていきます。
まあそれは、自分の能力の問題だったりするわけです。
だからこそ自分を責めて、余計につらくなる。

その時にふと思ったことがあります。
ああ、この状態が、あと何十年も続くのかなぁ。
仮に先代である父が会社を退いたら、何でもかんでも自分でやらなきゃいけないのかなぁ。
ハッキリ言って、ネガティブモード全開です(苦笑)

 

当時、朝7時過ぎには会社に着いて、夜21時とか22時に会社を出る生活でした。
1日が24時間で、5時間寝てるとして、起きてる時間が19時間。
食事や、ふろ、その他生活に必要な時間を1時間としたら、残りは18時間。
で、自分のために使える時間は、一日3時間とか4時間です。

その時には、何とか今の状況を抜け出したいと思って、本を買って勉強したりもしてました。
その時間を一日1~2時間取ると、本当の意味で自分の時間なんてないわけです。

 

そんな毎日の繰り返しをしてると思うわけです。
ああ、自分って何のために生きてるんだろう、と。

そういえば、手塚治虫さんの漫画、ブラック・ジャックの中で、もぐりの名医ブラック・ジャックが放った言葉があります。
その言葉は、安楽死を生業とするドクターキリコが連れてきた患者を診てのセリフ。
キリコが連れてきたのは、もはや自発呼吸もできない超高齢の患者。
本人は死にたいのに、相続の関係からか周囲の遺族が大金をはたいて死なせないようかなり無理な治療をしています。
ブラック・ジャックは、キリコに対して、「この患者は何のためにいきてるんだ!?」と言います。
キリコはこう答えます。
「死なないためさ」

このやり取りをなんとなく思い出したんです。
ああ、自分は、死なないために生きてるんだ・・・。
(上記のエピソード、記憶が定かではないので細かい設定で間違ってたらごめんなさい)

なんとも生気のない話ですね(苦笑)

 

私に限らず、仕事を持つ人の多くは体が動く時期の大半を仕事に捧げます。
昔の価値観だと、それは当たり前、ということになるのでしょう。
もちろん仕事の中では、小さな喜びも経験します。
お客さんの役に立てたとか、目標が達成できたとか。
けど、それじゃあ足りないような気がしていました。
そもそも仕事が楽しいと感じないのは、けっこうキツい。
だって、一度限りの人生、生活のために働いて終了って、どうよ?って感じですよね。
石器時代なら、本能だけで「生きる」ことがすべてなのかもしれませんが、今の時代はそれじゃあ物足りない。
何のために、人はテクノロジーを発展させたのか、って話です。

 

ずっと、悶々とした思いはあったんですが、自分的には夢中になれるライフワークなんて思いつかない。
趣味らしい趣味もないし、誰かと違った才能も見当たらない。
そこで、そうだ!と思ったんです。
自分の無能さを力に変えられないか、と。
私が苦手とする分野を、会社の中から葬り去ってやろう、と。
(もちろん、ここに来るまではいろんなことがありましたが・・・)

自分の弱点をカバーするための勉強は、けっこうしてきたつもりです。
いよいよそれを発揮していこう、となったわけです。
失敗したら大コケだし、会社をつぶしてしまうかもしれません。
けど、腹をくくりました。
このまま、好きになれないことを続けて、「死なないために生きる」というのはゴメンです。

ということで、営業会社なのに、営業を不要にする、という目標を立てました。
社員にもそれを話し、理解を求めました。
そして、営業を不要にするにはどうすればいいのか?
お客さんが進んで集まってくださるには何をすればいいのか?
そんなことをテーマに話し合いを重ねていきました。
その結果、一つのキーワードとして「コミュニティの形成」というキーワードが見えてきました。
父の会社のある業界は、営業ありきの世界観ですから、当初は「営業を不要に」なんてなにいってんの?って感じでした。
しかし、慧眼と言ったら言い過ぎでしょうか、どうもこの業界も、人を介した営業が不要になる方向に向かっているような気配を感じ始めています。
私の無能さは、時代を感じ取るセンサーを鋭敏にしてくれたのかもしれません。

そして私は、父から継いだ会社では徐々に実務を自分から外していきました。
お客さんの引継ぎは、弟である専務へ。
父は当初難色を示していましたが、最近はあきらめたようです(苦笑)

おかげで今はずいぶんとストレスも減りましたし、毎日が楽しい。
けど、自分だけが楽しいのもなんか嫌らしいですね(;^_^A
ということで、もう一度会社の中を見回してみました。

あの時の自分は、自分の無能さを呪いました。
けどそれがあったから、違う道が見えたわけです。
これはある意味才能です。

じゃあ、社員一人一人にも、まだ見えていない才能があるはずです。
今までの会社の在り方だと発揮できないものかもしれないけど、逆にその才能を引き出すことに優先順位を置いてそこに合わせて仕事を組み立てていく。
会社に社員を合わせるんじゃなくて、社員の才能に合わせて会社を変えていく。
会社が無理なく変化していく着眼点の1つじゃないかな、と思っています。
小さい会社ですから、何があるわけでもない。
今ここに集った「人」だけです。
それを単なるロボットのように、「決められたことを決められたようにするだけ」「お金の代償に人生の一部を切り取って差し出すことを強要するだけ」が会社というのはやっぱり今の時代にはそぐわない。
だから、やっぱり会社は変えていく必要があるんだろうと思います。

 

まあエラそうなことを言いましたが、できてるわけではないんです。
やっと志したところです、そういうことを。
いつか諦めるかもしれないし、会社がもたないかもしれない。
けどそのままでいたっておんなじなんで、やってみようと思ったわけです。
一世一代の大博打かもしれませんけど、40歳代後半にして打ち始めたわけです。
あなたはきっと私より若い。
上手くいく可能性は、私よりも高いんじゃないかと思います。

もし、無駄に人生を時間を浪費してるとしたら、いっちょやらかしてみませんか?

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