後継者が会社を変化させる全過程1【社内会議リアルタイム実況】

後継者の役割の一つとして、会社を時代に即して変化させなければならないというものがあります。
古い考え方、古い価値観を脱ぎ捨て、会社を新たなステージに導く。
これを行えるのは、後継者の手腕にかかっているといえるでしょう。

さて、ここでは私自身の家業としてかかわっている会社を、どう変化させていくのか。
その過程をリアルタイムで実況していきます。
成功するか、失敗するかを含めて、楽しんで(?)頂ければと思います。





こんにちは。
中小企業二代目サポーター田村薫です。

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後継者として社内会議をスタートした背景

そのまま引き継ぐだけなら・・・

まずは今の私の家業の状況をお話しします。
父である会長は、現在、週に4日ペースで出社しています。
弟が専務として在籍しており、一応、営業の取りまとめを行っています。
そこに、2名の事務社員、経理1名、そして営業委託をしている人間が2名。
私を入れると、8名の小さな会社です。

保険代理店(保険の販売店)を行い、損害保険(自動車保険や火災保険など)及び生命保険の販売を行っています。

私は、大学卒業後この会社にすぐ入社しているので、もう26年勤めています。
15年ほど前に代表取締役に就任し、現在に至っています。

さて、この会社、以前は決算状況も悪くなく、優良なお客さんに恵まれ比較的安定した経営を行っていました。
前期も何とか、利益を出し、納税も行っています。
普通にがんばっていれば、さほど劇的な環境変化さえなければ、少なくとも私が退職するまでは、食べていく分には困らない状況だと思えました。
もともと、この会社を継ぐにあたって、親からは「まじめにさえやってれば、食いっぱくぐれることはない」と聞いていました(笑)

しかし、世の中の変化は思ったより早く、日本の経済システムの中にがっちり組み込まれた「保険」という当社の主業が、10年以内に劇的な変化を遂げる事をイメージし始めました。
こういった単一の商品を扱っている状況にかなりリスクを感じるようになったのです。

モノを売っていては未来はない

ここで強く意識したのは、パッケージされた商品(モノ)を売っているだけではそこに未来はない。
そう予感しました。
その理由を書き出すと、随分長くなってしまいますが、簡単にお話しすると、モノ不足の時代はモノをお客さんに届けることそのものが価値であったわけです。
しかし、どこでもモノを買える今の時代は、物を提供するだけでなく、お客さんが望む状態を実現する事こそが商品でなくてはならない、と感じています。

モノといいましたが、保険という商品もこの考え方からすると、モノです。
それを単に販売する事では、販売会社としての価値提供としては弱いと考えました。
確かに、契約を頂く際にはヒアリングやコンサルティングを行いますが、そこに費用を支払っていただく風土は今のところこの業界にはありません。
他の同業他社より、仮に高くても私どもで契約いただける、明確な価値が必要となります。
その価値とは何なのか?これを社員とともにあぶりだすのが、当面のミッションとなります。

共有したストーリー

とはいっても、今の私どもの業界では、私のような考え方はまだまだ少数派です。
どちらかといえば、保険を正しく・合理的に手配する事が、どの同業者もが考えている事のようです。
保険の専門家としての技術を磨くことが、業界内のトレンドなわけです。
そういう意味では、長年この業界の中にいた人間ほど、私の考え方を理解するのが難しい内容となります。
いきなり「私たちが提供する価値は何か?」という話をしたところで、恐らく頭の中が真っ白になる事でしょう。
そこで、社員の頭を少し柔らかくするため、私がこういった考え方を行うに至ったストーリーを共有しました。

それは、要約すると、以下のようなものです。

【ストーリー①】

3.11の時、ある自動車教習所が津波に飲み込まれました。
この時にその自動車教習所は、教習所内の従業員・生徒に対して避難を支持するのが遅れました。
結果、法廷で教習所の判断ミスという事で、逃げ遅れた人々に対して19億6,700万円という賠償義務が課せられました。
(その後、和解という形で支払うべき和解金は1,250万円と、かなり小さくなりました。)
この時、仮に、この自動車教習所がありとあらゆる保険に加入していたとしても、その賠償義務を保険で果たすことはできません。
(保険は、原則として地震による賠償責任を補償しません。)
こういったとき、この自動車教習所だったとき、私たちはどうあるべきだろうか?

【ストーリー②】

あるお客さまから、がん保険を契約いただきました。
その後、子宮がんが発見され、お客様は子宮を摘出することになりました。
未婚の20歳代後半のお客様に、「保険が支払われてよかったですね。」とは言えるものではありません。
そんな事例を見たとき、私たちはどうあるべきだろうか?

いずれも、私たちと直接かかわりがないお客さまではあるものの、実際に起こった実話です。

例えば、私たちが「安心と安全をお届けします。」という決まりきった言葉をベースに活動するとすれば、保険だけでこれらの人を救うことはできません。
そもそも、世の中にあるリスク(危険)に対応できる保険は、全体のごく一部です。
会社が経営不振に陥ったり、倒産したときに保険という商品にできる事はありません。
そんな状態で、「安心と安全」というのはあまりに、大ぶろしきを広げ過ぎではないか?という事を社内に向けて問いかけました。

これは感性の問題で、「私たちは保険屋だから、保険でできる範囲の事を考えればいい」とするのか、「お客さんを本当の意味で守りたい」と考えるのか。
私の感覚で言えば、前者で満足していれば、これからの時代は認められないのではないかと思っています。
お客さんの感覚からすれば、不信感しか残らないのではないか?と感じているのです。

頭を抱える社員たち

経験の浅いものほど消費者に近い

このような前提で始まった会議。
私たちは、どんな価値をこれまで提供したか、これからしていくのか。
この問いに、自信をもって答えられるものは一人としていません。

ブレインストーミング的に、次々と話をきいていきますが、なかなかうまく答えられるものはいません。
そもそも、このような問いを発する人間は今までいなかったのですから、無理もありません。
一回目は、それでいいと思っていました。
そして、週が変わって二回目のミーティングで、ほんの少し動きが出ました。

私は「どんな価値を提供するか?」という質問から、「本当はお客さんは何を望んでいるか?」という質問に変更しました。
すると、ポツリポツリと意見が出てきます。
「情報かな?」
あるベテラン社員は言いました。
私は聞き返します。
「お客さんが喉から手が出る情報というのは何?」

ある社員は言いました。
「知らなかったことや、驚くようなこと…。あ、得する情報。」

何となく対話が進み始めました。

 

じゃあ、得する情報ってなに?

 

ここで、ある女性社員が発言しました。
「誰にでもフィットする情報はなかなかないと思います。そもそも、お客さんを絞り込まないと・・・」
この女性社員は、もともと保険の事を全く知らない状態で採用した、最も保険の経験の浅い社員です。

驚くべきことに、マーケティングの基本的な設定項目に至ったのは、一番経験の浅い事務社員だったわけです。

じゃあ、どういったお客さんに対して情報発信するのか。
ここで今回の会議はタイムアップです。

わざわざ会議という場を使う意味

実は、この会議に関していえば、ある程度私なりの着地点はイメージしています。
私は私のゴールを持っているわけです。
この事は、ある意味においては誘導尋問的なムードを作る可能性もあります。
一方で、会議の中で考えながら物事を進めるという過程が重要なのではないか、と考えての事です。
もちろん、私のイメージするゴールと違うところに落ち着いても、それがそれなりに有効であればそれでいいと思っています。

単に私が、「こうあるべき」と語ったところで、それが腹落ちするかというときっと難しいでしょう。
それほど、今までやってきた実務とは、かけ離れた話だからです。
人が考えを変えていくには、時間と、家庭が重要なのではないか?と考えての事です。

これが、社員の感覚としてセレモニーにしか見えないこともあるかもしれません。
しかし、それはそれでいいと思います。
それでも、時間をかけて、今まで作ってきた常識を塗り替えていく過程として、わずかな作用でも及ぼすことができれば十分だと思っています。

さて、この会議、これからどうなっていくか私もわかりません。
しかし、こういう過程って、あまり公開されず、ビジネス書などではスタート地点とゴール地点だけが公表されます。
そんな中、生々しい現在進行形のお話を公開するのも面白いのではないか、とチャレンジしてみました。

紆余曲折の過程となるかもしれませんし、どこかでフェイドアウトしてしまうかもしれません。
なんにせよ、生中継で社員の意識改革の様子をお伝えしてまいります。

ブログの「カテゴリー」欄の「社内会議リアルタイム実況」から時系列でみて頂けると思います。
終わりのないドラマをご鑑賞ください(笑)

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