前回、プレッシャーの中で陥る視野狭窄【長い長いプロフィール(3)】では、営業に失敗して同業者での修行を中退したお話でした。
大阪に帰り、親の会社に入ったとき、私はいくつかの課題を見つけることになります。
失意の中、ハッチバックの車一台で大阪の自宅に帰ってきました。
父の会社は、修行でお世話になった会社からすると従業員数では、約1/8の小さな会社です。
当時、保険代理店といえば、まだまだ個人で営業しているところがほとんどでしたから、6名ほどの社員を抱える父の会社は大きいほうではありましたが、修行先は40名を超える企業。
このギャップの大きさに唖然としたことを覚えています。
その際の当面の目標は、修行先でお世話になった会社です。
とはいっても、現場の業務を何一つ知らない状態でしたから、おとなしく5年ほどは実務を覚えることに専念しました。
修行先を後にした時は、今から考えればうつ病の手前のような状態でしたかので、それだけの事でも気力を振り絞らないと出来ない状態です。
段々と実務がわかってくると、会社の中のあまりの非効率さが目に付き始めます。
事務の人間に、「ここ、こうすればもっと楽にならないですか?」といっても、事務社員は「NO」といいます。
「勝手に変えると、社長が怒り出すから。」
社長外出中にどんどん増えていくメモを見て、単純な伝言ゲームレベルの話さえも事務方で処理しない状況をみて不思議に思い聞いてみると、やはり、
「勝手にやると、社長が怒るから。」
そう、社内を変化させようものなら、社長(当時)に怒られるという事で、全社員が口をそろえて言います。
「いわれたこと以外をやると大変なんですよ。」
それでうまく社内が回っているかというと、外回りから帰ってきた社長はイライラモード。
誰一人、近づくことはできません。
また、当時いた番頭さんは、表向きは父と上手くやっていたように見えましたが、お互い影では悪口を言い合う関係。
営業に行くといって、喫茶店に直行するのを事務社員が目撃しており、それはほぼ毎日だったといいます。
父は彼に対して、もっとやれ、もっと数字を伸ばせの一点張り。
数字に対するモチベーションが低い事を、嘆いていました。
また、年代の近い先輩がいましたが、父は彼を買っていたようですが、どうも違和感があります。
営業として働いており、一生懸命ではあるものの、何かがおかしい。
少し時間を先送りして、その後の事をお話ししますと、
番頭さんは実質、分社してそこの代表として頑張って頂く事になりました。
売り上げの一部を持たせる形で、かなりの痛手ではありましたが、結果良かったと思っています。
年代の近い先輩は、私と口論になって翌日退職しました。
仕掛けたのは私だったような気がしますが・・・(^^;
その数週間後、ある保険会社から彼の件で連絡がありました。
「同業者仲間にマルチ商法の案内をしつこくやっていて、クレームが入っているんだが・・・」とのことでしたから、やはり違和感は間違ってなかったのでしょう。
事務社員は、それぞれの事情で退職し、今は、当時の社員は一人も残っていません。
当時はそれを意図していたわけではありませんが、結果としてリセットボタンを押したような形になりました。
将来、目の上のたん瘤になりそうな番頭さんを追い出し、先輩を追い出し(^^;
正当化するつもりはありませんが、番頭にも息子がおり、彼の会社を手伝いはじめた、という事を漏れ聞いたりもしました。
お互いにとって悪い話ではなかったのでしょう。
さて、私が入社した時点において、社長(先代)+補佐(事務)というのがこの会社の実態でした。
ですから、良くも悪くも社長(先代)の実力以上に会社は大きくならないし、先代がいなくなれば会社は終わりです。
一応、後継者の端くれ、さすがにそのままでは放置できません。
どうやら父も、周囲の人間も、この組織の中で、頭となる父と私だけをすげ替えればいい、と考えていた様子はありましたが、それはご免です。
やろうと思ってもできるとは思えませんし、そうしたいとも思いません。
先代一人の営業力で成り立っている会社に、営業でつまづいた後継者。
神様がいるとすれば、なんともいじわるな組み合わせですが、この対照的な状態のおかげで、やるべきことが少しずつ見えてきました。
それは、営業社員の力量に左右されず、如何にして売上を上げるのか?というテーマです。
かなり端折っていますが、地元に帰った当初から様々な不安は感じていました。
①実務をちゃんとできるのかという不安
②お客様の引継ぎをちゃんとできるのかという不安
③これからの経営をちゃんとやっていけるのかという不安
①と②は、結果として時が解決してくれました。
まじめにやってさえいれば、いずれ解消されますから、さほど気に病むこともないでしょう。
むしろ、②に関しては、捨てるべき関係も必ず出てくると思われます。
タイミングはともかくとして、おおきな取引先はいずれどこかのタイミングで手放す必要が出てくる心づもりを持っておきましょう。
決断すべき時に決断しなければ、後々ひきずることが出てくる可能性があります。
さて、この当時の自分にアドバイスするとしたら、
未来の事を思い煩うな。
という事でしょうか。
あれこれと先の事を考えすぎて不安になるより、やってしまったほうが楽になれることは意外と多いようです。
当時色々と不安はあったものの、後先考えずにやったことは、意外と結果として上手く行ってることが多い。
必要以上に考えすぎないくらいがちょうどいいのかもしれませんよ?
この記事へのコメントはありません。