少し前に読んだ本の中で興味深いエピソードが掲載されていました。
アメリカの大企業だったと思うのですが、その会社の幹部会議。
そこでいったい、なぜ、社員が十分なパフォーマンスを発揮できないのか?
という議論をしていたそうです。
その議論の結果は、自分達(幹部)がいるからだ、という結論に至ったそうです。
その日から、幹部は社員のやることに口出しをしなくなったそうです。
結果はどんどん会社が良くなっていったのだとか。
私の著書です。
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Contents
親の過干渉は子ども(後継者)を萎縮させる
近年多発する不登校と親子の事業承継
近年、よく耳にするのが、子供の不登校。
これって、昭和的には、たるんでるとか、怠慢だとか、そんな受け取られ方をされます。
しかし、心理学的な立場から見ると、親の問題であることが多い。
たいていそういったところへのアプローチは、親に対するカウンセリングを行うわけです。
子どもは、親からの過剰な干渉の結果、
・自分で決めることができない
という状況に陥り、いつも子どもの自主性が尊重されないことから、
・自己肯定感がどんどん削られていく
という状況が起こっているように思います。
親子の事業承継でも、実は似たようなことが起こっています。
後継者はみな一様に「自信がない」「不安」という言葉を口にします。
これは、強い親に従い続けた結果、自分では何もできない、という潜在的なメッセージを自分に植え付けている結果ではないでしょうか。
親へのカウンセリング
不登校の場合、いじめなどがない場合は、親がカウンセリングを受けるケースがとても多い。
それは、親が子へのかかわり方を変えないと、改善が難しいと考えられているからでしょう。
実は事業承継においても、親の役割はとても大事。
如何に、後継者に口を出さないか、というところが重要になってきます。
あまりこれを言う人は多くないのですが、親の関わり方が、親子の事業承継の成否を握っています。
後継者の良い部分を引き出す
親は自分のやり方を押し付けない
親である社長としては、これまで会社をつくり育ててきたのは自分である、という自負があると思います。
だから、そのやり方や、その場を、今のまま子供に引き継いでもらいたいと思っています。
変えてほしくなんてないし、自分の残り香を残したい。
そして後継者には自分のようになってほしいと思うことが多いと思います。
けど、後継者と先代は、親子ではあってもそれぞれ独立した人間です。
お互いがもっている持ち味は違うのです。
にも拘らず親と同じものを求められても困ります。
スポーツの才能がある人に、才のない芸術分野で頑張れ!なんて誰も言いません。
なのに、経営の世界ではそれを当たり前のように押し付けるのです。
ファミリービジネスの中での去り際
海外では、ファミリービジネスの研究が進んでいます。
その中では、去り際についても議論されています。
しかし日本ではそういう話はほとんど耳にしません。
冒頭のアメリカ企業の話のように、親が会社で強い発言権を持ち続けることで、
後継者は力を発揮できていない可能性は高い。
また、後継者は自分とは違う親と小名上な姿になろうとして、持ち味を使いきれていないケースも多い。
色んな意味で、問題が出てきているはずです。
ある伝説的経営者は、部下から「どうすればいいか?」と聞かれた時、
「君ならどうすれば良いと思う?」と聞き返したといいます。
先代である親は、一定時期を過ぎれば、そうやって後継者の決断を促すトレーニングにシフトしていくべきではないでしょうか。
親が元気で采配を振るっているうちに、後継者が次の後継者にバトンタッチするタイミングがおとずれるケースが今とても多いです。
生涯現役もいいですが、後継者の人生への配慮も必要なのではないでしょうか。
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