兄弟

兄弟経営で役員報酬に差を付けなければならない論理的理由

「平等に。」
親、そして兄弟がかかわる会社にありがちな言葉です。
たとえば、父(創業者)・母(経理)・兄・弟なんていう会社の場合、母の意向が強いことの多い考え方です。

だから、兄が後継者であったとしても、兄と弟は「平等に」接されることになります。
それは年収にも反映します。
多少は先輩格である兄が多くの年収を取るのかもしれませんが、弟との差はさほどない事が多いのではないでしょうか?
これでは会社経営においてはかなりな危険にさらされます。






こんにちは。
中小企業二代目サポーター田村薫です。

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兄弟経営で兄弟を平等に扱う事に、私は基本的に反対です。
それは心情的な理由もありますが、実はそれだけではありません。
同族企業は、血のつながりと会社経営をごっちゃ混ぜにしがちです。

それがいいときもあるのは事実です。
しかし、こんな問題がおこったときの事を考えてみる必要があるのではないでしょうか。

 

たとえば、借入金の返済が難しくなってきた時。
だれがその責任を負わされるのでしょうか。
間違いなく、後継社長といえるでしょう。
つまり、兄が会社を引き継げば、その責任は兄が負います。
もちろん弟も協力はするでしょう。
しかし、逃げる自由もあるわけです。

 

もう少し具体的な話をしましょう。
会社の連帯保証人として名前が挙がるのは誰でしょうか。
これもまた、後継社長という事になるでしょう。
この時点で、その兄弟も合わせて連帯保証人として名前を記載することはあまりないのではないでしょうか。

 

こういった部分も含めて、平等であるならいいでしょう。
しかし、銀行との関係においても、後継社長の年収は重要な要素です。
つまり、中小企業において経営者と、それ以外の人との比較では、会社と個人との境界線が全く違うのです。
後継者とて、法的に社長となった時点で、その人は会社そのものの一部となるのです。

それをサポートする立場の兄弟(一般的には弟)は、会社にとっての重要度は圧倒的に違うのです。

 

そもそも、会社に現金を持っておくと、どうしても税法上目減りする可能性が高い。
会社はお金をストックしているだけで毎年、毎年、税金がかかります。
しかし、個人で持つ分には長期に保有することが可能です。
(後継)社長の財布は、会社の財布の一部であるといえるでしょう。

会社の万一に備えた財布が、(後継)社長の財布です。

 

つまり、(後継)社長の報酬は、会社の簿外の財布を充実させるために、他と比べて圧倒的に差をつける必要があります。
仮に、後継者に兄弟がいようと、近い報酬でお茶を濁してはいけないのです。
こういった事を考えることなく、単なる信条的なこだわりだけで、兄弟の報酬に差をつけないケースは少なからずあります。

後継社長においても、自分がお金の管理を握ったとしても、こんなふうに考えがちです。
「会社の資金繰りが厳しいのは、自分の経営能力が足りないからだ。決して多くの報酬を取るわけにはいかない」と。
これは大きな間違いであることも多いのです。
経営能力があったにせよなかったにせよ、会社のお金を後継社長は自分の財布にあずかる必要があります。
だから可処分所得を増やさなければならないのです。
先代社長がお金を握っているのであれば、報酬は後継社長に集中させるよう検討してください。

本来は、税理士などからそんなアドバイスもあるのかもしれません。
しかし、それを聞き入れない社長は少なからずいるものです。
会社のためにも、キチンと考えて頂きたいものです。

 

もちろん、後継社長がそのお金をすべて自分のために使ってしまえば元も子もありません。
後継社長は、それを必要な時のためにストックする必要があります。
強制的に口座から引き落とされる仕組みをぜひ作っていただきたいと思います。

 

よく聞くのは、後継者に負荷をかけるため役員報酬を抑えている、という話があります。
それは後継者だけでなく、会社経営にも負荷をかけている認識を持つ必要があるのかもしれません。

もし、兄弟経営の会社で、後継社長の年収と兄弟の年収に差が少ないとすれば、今すぐ見直す必要があるのではないでしょうか。
その時に、きっちりとその理由を説明することが重要なのです。
兄を差別するためではありません。
会社の存続のために必要な事なのです。

 

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