たくさんの後継者にお目にかかっていると、にこやかな表情の裏にある悩みがちらつきます。
表ではとても落ち着いた彼らも、多くの場合人に話せない悩みを持っている。
自分の会社の将来、自分自身の将来、そして自分の不自由な状況における苦しみ。
私もそんな思いにとらわれて身動きが出来なくなっていたことがありました。
しかし、あることがきっかけで、その思いはずいぶんと楽になりました。
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Contents
「苦しさ」や「不安」に力を与える
親の会社を継いだ後継者の悩み
後継者は特殊な悩みを持ちがちです。
いえ、特殊な悩みというより、特殊なシチュエーションがもたらす悩みと言ったほうが正確かもしれません。
言葉を選ばずに言うなら、あたかもイジメにあっているような感じ。
いえ、もちろん誰も後継者をイジメようとは思っていません。
けどいじめられっ子のように、誰にも相談できず、孤独な中、なんとか今の苦境を抜け出そうともがいているのです。
はじめのうちは、一晩寝れば忘れてしまうような話が、だんだんと積み重なってくると、朝起きるたび感じる気の重さが不快になってくる。
気が付けば、どこまで行っても自分らしさを出せない窮屈さにつぶされてしまいそうになってしまいます。
それは、「悩みに力を与えている」のだ、とわかったのはずいぶん後になってからでした。
「怒り」の持続を明らかにした実験
ここである心理実験をご紹介しましょう。
それは、こんなものです。
オハイオ大学 ブラッド・ブッシュマンによる実験。
被験者を怒らせ、その怒りを三通りの表現をしてもらった。A:感情をあらわにする
怒りの対象の写真を思い描きながらサンドバッグを殴ってもらう
B:気を紛らわせる
身体を鍛えてるイメージを描きながらサンドバッグを殴ってもらう
C:静かに過ごしてもらう
2分間、静かに座ったままでいてもらう。結果は、Cは落ち着いたのに対し、Aがもっとも怒りに対して長い間執着していた。
つまり、心静かに「何もしない」状態で怒りは最も早く静まり、
怒りに対して、その怒りを何かにぶつける仕草を続けていると、いつまでも怒り続けていたというのです。
この「怒り」を「悩み」に読み替えてみると気づくこと、ないでしょうか。
私が「吹っ切れた」理由
呪いという怒りを持続させるシステム
先の実験から考えられることは、怒りを継続するには、怒りに固執させる仕掛けが必要なのではないでしょうか。
何もしなければ自然に怒りは収まるわけです。
しかし、何かする(例えば呪いの儀式)ことで、その怒りは静まることなく燃え盛るわけです。
そして人は呪いのことを考えるたび、怒りが再燃していく。
そんなループを繰り返すことで、怒りを「忘れない」ようにしている気がします。
では悩みについてはどうでしょうか。
後継者においては、悩みを常に起動させるスイッチがあるんです。
それは親の姿。
というより、親からかけられる言葉やプレッシャーじゃないでしょうか。
心穏やかに過ごしていると、親のプレッシャー(場合によっては後継者を否定する言葉)が押し寄せてくる。
悩まずに、自分らしくやっていこうと思うと、そんな圧がかかる。
これってある意味、呪いと同じ仕組みです。
そうやって後継者は「自信のない」状態から抜けられないのです。
自信のなさに執着している状態
後継者にとって、この「自信がない」とか「将来が不安」というのは、その不安に執着している状態じゃないかと思います。
後継者であってもなくても、将来に不安なんて誰にでもあります。
たとえば、わたしと同世代で、大手銀行や保険会社に就職した人、いつ首を斬られるかと不安におびえています。
ある主婦は、自分が社会的なつながりを持つことができず、また何もできないことに不安や自己嫌悪を持っています。
ある学生は、学校になじめない自分を責め、将来を悲観しています。
つまり、どんな人もみんな悩んでいるし、不安を感じています。
けどそこから抜け出す一握りの人たちは、「不安に執着する」という状況を何とかして断ち切ったのです。
判断基準を180度反転させた私
私も仕事を始めて、20年くらいはずっと「不安に執着」していました。
そんな私が、その不安と決別した方法はどういう方法かというと、判断基準を変えたのです。
それは「怖いからやる」ということをやめて、「うれしい・楽しいことがありそうだからやる」ということにかえました。
たとえば、これだけ売上を上げなければ、メーカーからの評価が下がる。
こういわれれば、泣きながらその評価を採ろうと動きました。
けどそれ、辞めたんです。
売上が下がると、とんでもないことがおこるぞー!と言われて、その不安にさいなまれて仕事をするということをやめました。
こんなことやったら親が怒るだろうなぁ、と思うことも気にせずやるようにしました。
怒りたけりゃおこればいい。
それは、親が勝手におこってるんだから、と。
はじめは勇気がいりましたけど、少しずつやってみると、何とかなっています。
今のところは、飢え死にすることなく生きています。
どうせ心配したって、おとなしくしてたって、うまくいかない時はうまくいかない。
じゃあ、自分がやりたいようにやったほうが後悔がなくていいんじゃないか、と思ったわけです。
コツは「悩み」に力を与えないこと
よく言うんですが、手に力を入れてください、というと人はその手を意識します。
逆に言うと、意識すると、そこに力が宿ります。
問題や悩みも同じで、そこを意識すると、問題や悩みが力を持ちます。
実はたいしたことのない問題や悩みも、なんだかとんでもないことのように感じがちです。
しかし、不安や恐怖は、実際に目の前にそれがやってくれば、人間たいていはちゃんと対応できるものです。
まあ対処できないほどの大きな事件もあるかもしれませんが、ほとんどはそこまでの話ではありません。
だからとりあえずは、不安や悩みに力を持たせない。
それが私からの提案です。
不安や悩みが力をもつのはそれを意識するときですね。
人は、判断基準を「不安や悩みの解消」とすると、常に意識してしまう。
だから不安や悩みに力が宿るわけです。
判断基準をそういった恐れからではない、楽しみからにかえていく。
すると結構いろんなことが変わってくるんじゃないかと思うのです。
少なくとも私は変わりました。
このていあん、ちょっと考えてみてはいかがでしょうか。
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