後継者

親子での事業承継にはいったいどのくらいの期間・計画が必要なのでしょうか?

事業承継、特に親子での事業承継というのは長期戦になります。
子どもが入社した時を起点とすると、
・社業を学び、
・社長の仕事を学び、
・独自の会社を作っていく
という時間軸で見ていく必要があります。

ただ、これらは一般化が難しい部分もあり、なにより、親子の関係性にも左右される問題です。
具体的に見ていきましょう。


私の著書です。

関心を持っていただいた方は、画像をクリック。

親の会社を継ぐ技術

親の会社を継ぐ技術

 

 

 

 

 

 

 

 


事業承継の始まりはどこか?

後継者が子どもの場合 ~伝統的企業

事業承継の始まりってどこにあるのでしょうか?
実は、親子での事業承継の場合、そもそも子育ての段階で、事業承継は始まっているといえるかもしれません。
その家のしきたりや、家訓といったものを受け継ぐ。
特に古い企業の場合はそういったものがしっかりしていて、人育てという観点で後継者を育てていると考えられます。

例えば、皇室などがそのお手本でしょう。
長年培った家の文化をどう伝え引き継ぐか、という事が古くから検討されているものと思います。

後継者が子どもの場合 ~昭和の脱サラ企業

一方で、昭和の時期に脱サラして起業するというブームがあったように聞きます。
この時代の企業は、前出の伝統的企業のような家訓というものはまだ醸成されていないことが多い。
創業者は、自己実現のために起業し、経済発展の波にうまく乗って会社を発展させてきたのではないでしょうか。
この場合、自分が「起業してよかった」という思いを、子どもにも享受してもらいたい、という思いがあるかもしれません。
また、自分が頑張ったことを認めてもらいたい、という思いもあって、子どもに継がせたい、と思う社長が多いように思います。

この場合は、家の統一的な方針があるわけではなく、ビジネスと家庭は別物、という感覚であることが多いと思います。
後継者である子どもは、親の会社に入社して初めて、会社の持つ文化に触れることとなります。

事業承継の始まりはどこで後継者が会社にジョインするか

こういう流れを見ていくと、会社というか、会社の持つ文化に後継者がいつ触れ始めるか?というところを起点に考えるのが良い気がします。
伝統的企業であれば、生まれた瞬間から、跡取り息子であるわけです。
一方、そうでない場合は、親の会社に就職するタイミングがスタートと言えるのではないでしょうか。

事業承継にはどれだけ時間がかかるのか?

始まりが違えばかかる時間は違う

先に見たように、企業の体質や、親(社長)の考え方などによって、スタートが違うわけです。
伝統的企業は、その企業を守るため、子どものころから会社と生活が一体になった家訓で子どもを育てます。
昭和企業は、後継者が生まれたときに起業したようなパターンも多いので、後継者は「跡継ぎ」というニュアンスでは育てられていません。
成長過程で、親の会社を継ぐというレールは意識せざるを得なくなりますが、その会社の軸のようなものを感じる機会はほとんどないでしょう。
きっと親である社長は、家にほとんどいないか、家ではだらだらしているかのどちらかでしょうから、子どもが会社が何を目指しているかを入社しるまでは知る機会もありません。

昭和企業の会社の事業承継期間

そんな事をかみしつつ考えると、昭和企業が事業承継を行うにあたって必要な期間は、最低でも10年単位にはなろうかと思います。
後継者が実務を学び、マネジメントを学び、お金の流れを学び、リーダーシップを学ぶ。
速習しても時間のかかることですが、実はこれを社内で教えられる人はいない。
実際に、後継者は壁にぶつかりながら学ぶことになるのが一般的です。

この過程で、会社を辞めたくなる後継者は多い。
それは自分の学修が、前に進みにくい苛立ちや、
学修の機会を先代に奪われる、という風に感じられることも少なからずあるという事になろうかと思います。

この期間を数字にすると、実は先代がビジネスを安定させるまでにかかった期間と同等、という感じが私の中であります。
つまり、10年~30年といったスパンで、事業承継が進んでいく、というのが一般的ではないかと思います。

一つのものを作り上げるには約10年!?

これは統計を見たわけではありませんが、私の感覚として、
1つの商売を作り上げ、軌道に乗せるにはだいたい10年くらいの年月が必要かな、と思っています。
たとえば、iPhoneがデビューしたのが、2007年。
そして、2017年でのスマートフォンの世帯普及率が70%ですから、かなり市民権を得ている状態になっていることと思います。

後継者は、まずは受け継ぎ、そこから自分の流れを作っていく。
後継者と先代の伴走期間にプラスして、後継者が自分の道を作っていく10年を加えて、事業承継期間と考えるのが私的には良いのではないかと思います。

後継者が元気な年齢に先代は完全引退

現在は寿命が延びており、先代80歳台、後継者50歳代なんていうパターンも結構多いと思います。
出来ることなら、後継者が50歳代でまだ体が元気なうちに、社内から先代のカラーは小さくしておきたいものです。
先代は生涯現役もいいのですが、だんだんと社内への発言を縮小していくことが大事ではないかと思います。
バトンタッチしたものの、渡したバトンを手放さなければ事業承継は終わりません。

結論

結論としては、事業承継にかかる期間は携帯にもよりますが、
10年~30年。
そして、後継者の自走期間10年くらいの間をもって官僚という形になると考えておりますがいかがでしょうか。

 

 


私の著書です。

関心を持っていただいた方は、画像をクリック。

親の会社を継ぐ技術

親の会社を継ぐ技術

 

 

 

 

 

 

 

 


関連記事

  1. 経営の「型」にはまろうとすると、後継者の不安はいっそう募る

  2. 目の前の苦しみを乗り越えられる後継者と、すすめなくなる後継者

  3. 後継者・経営者が経営の悩みを手放す3ステップ

  4. 後継者の近況報告会

  5. 跡継ぎ・後継者・二代目社長が一つのことを長くこだわる方法 ~遠くと近く…

  6. 後継者がリーダーとして活躍するために必要な考え方

  7. 課題発見能力があればPDCAが回りだす-後継者は余計なことをしなくてい…

  8. 後継者の目の前に繰り返し同じ問題が起こるとき